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インドの警察

最初から読む→【アーグラの夜猿】1日目

6月27日〜7月4日出来事をお伝えしました。

長い文章なのに最後まで読んで頂いてありがとうございます。

たった1週間の出来事ですが、
みてお分かりのようにわたしにはあの国に半年いたような気さえします。

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「そろそろ時間だ。」

時間まで女の子とホテルのレストランで話していたがそろそろ時間だ。

「シール貼ってあげようか?」

仲良くなるため、コミュニケーションを取るきっかけとして女の子が持ち歩いてるシール。

ホテルの従業員にも選ばせては貼ってあげていた。

意外とみんな喜んでいる。
わたしはなるほどなぁとコミュニケーションのきっかけに感心していた。

「これとこれしかない。どっちにする?」

そこには日本と韓国の国旗のシールがある。

わたしは「こっち。」と、
韓国のそれを肩に貼ってもらった。

ウンチャオからもらった韓国のシール
ウンチャオからもらった韓国のシール

情けない話だが、
韓国の女の子との別れを惜しみ、込み上げる物があった。

部屋で荷づくりをしている時が一番ヤバかった。

「素敵」というと柄じゃないけど、
わたしはたくさんのそれに似たような類いの思い出をその子からもらった。

ホテルをチェックアウトする。

従業員一人一人握手をして別れを告げる。

前に停まってるリクシャーに僕一人乗り込みアーグラカント駅を目指す。

女の子は歩いて行くという。
ここでお別れ。
「シーユーアゲイン」
をわたしは初めて使用した。

そんな余韻関係なしにリクシャーは黙って行く。

今日もインド国中でクラクションが鳴っている。

人との『別れ』程辛い事はない。
わたしはその時「いつかまた会える」を希望にした。

じゃなければとっくに膝から落ちて、手をつき、
おいおいやっていただろう。

アーグラカント駅になんとか着いた。
アーグラカント駅
これから4時間近く掛けて列車に乗りニューデリーに帰る。

そしてニューデリーからガンジー国際空港に向かう。

ふとわたしは今どんな顔をしているんだろう?と思った。

うん。
たくましい顔になったのかただ汚くなったのかよく分からない。

日本に帰ったら髭を剃らなくてはいけない。

次へ

「彼らが『ボートに乗らない?』って聞いてるけどケンジはどうする?」

タージ・マハル内で写真を撮っていたら韓国の女の子に聞かれた。

タージ・マハルは朝早くから人々で賑わっていた。

金髪の熟年夫婦、
家族連れ、
みんな重そうなカメラを首からぶら下げている。
サリーを着た大家族は意外にもはしゃいでいる。
はしゃいでいる所からして初タージなのだろう。
僕は「インド人もやっぱり観に来るんだ。」とタージ・マハルの人気に圧倒されている。

アジア系も多い。
そんな中で先程
韓国の女の子が同じ韓国の男の子2人組に出会った。
お互い「あ、韓国人だ!」と思ったのだろう。
韓国語で何やら話した後で一緒に行動していた。

向こうの男の子達は日本人の僕の方を見て女の子に「誰なの?」と聞いているみたいだ。

そこら辺は女の子がどう言ったか分からない。
多分「同じホテルで出会った。」と適当に紹介したと思う。
男の子達は「あ、そうか。」とすぐに『この変なコンビ』の謎が解けると、
「よかったら一緒に回らない?」と誘ってきた。

インドで自国の人と出会えて安心したのだろう。

以後、
韓国人3人と日本人1人の4人でタージ・マハルを回る事になる。

昨晩レストランで女の子と食事をしている時も韓国人女性2人組と知り合う。
そして4人で食事をした。インドではよく韓国人と会う。
そういえば成田から乗ったエアインディアの隣の席も韓国人だった。
韓国ではインド旅行が流行っているのかもしれない。

歩いてると彼らは多分これを聞けば共通点として盛り上がるだろうという質問をしてきた。
「ドゥユノー『カシオペア』?」
「カシオペア?」
僕は夜空に浮かぶ星座だよね?と説明したが違うみたい。

「歌手」らしい。

「ソーリー、アイドンノー、」
女の子が何やら韓国語で男の子に言っていた。

なんとなく「日本人は知らないんじゃない?」と言っているようだ。

僕も負けじと「『嵐』は知ってる?」と聞いたら
「知らない。」という。

韓国では知られてないのかなぁ。
SMAPにしておけばよかった。

そしてある程度回った所で女の子が「彼らが『ボートに乗らない?』って聞いてるけどケンジはどうする?」と聞いてきた。

なんでもタージ・マハルを出て、
イーストゲートをぐるっと回って、
タージの後ろ側に行くとボートに乗れる所があると男の子は情報を掴んだらしかった。

昨日僕は1人でそこに行った。
タージ・マハルの後ろを流れているヤムール川に写真を取りに行った。

僕は「あそこの事だ。」と思う。

イメージは悪い。
あそこら辺は確かにボートがあったが一見路上生活者が多かった所だ。

僕は「もちろんオッケーだよ。」というと4人でイーストゲートに向かう。

僕はタージ・マハルを背にして出口に向かう途中、
何度も振り向いてタージ・マハルを観ては無意識に「凄いなぁ」と日本語でもらしていた。

自然と出てきてしまう。

韓国人3人が「?」になっていたので
僕は「ビューティフルだなぁ」とわざわざ分かるように意識的に感嘆した。

「だなぁ」が日本語だったからどうだろう。
でもビューティフルだけで通じるだろう。

通じなかったら知らない。
僕は何を気にしているんだろうと思う。

昨日行ったルートを今日もまた行く。

4人で歩いてると
12才ぐらいの子供が
「ボート?」と慣れた口調で聞いてきた。

韓国の男の子が
「ハウマッチ?」と聞く。
子供は「20ルピー、4人で80ルピーだ。」とそのボートが作られるずっと前から決まっていたみたいにさらっと言い放つ。

この子供との会話が後々また事件になる。

「オッケー。レッツゴー。」

僕は一番後ろからその様子を見ていて
「これは絶対だまされるな。」と思った。

『インド』はこれじゃ終わらない。

僕は歩きながら子供に聞いた。
「エクストラチャージないか?」
「ない。」
言い方を変えて、
「コミッションはないか?」
「ない。」
川をボートで向こう岸まで渡り、
さぁ帰ろうになった時、
向こう岸に帰るにはまたお金が必要だ!と言われたらたまったもんじゃない。

僕は更に
「ラウンドトリップか?」と聞いた。
「そうだ。」

昨日のリクシャーとの大モメの件もある。

韓国の人達にしてみれば「入念に聞く日本人だなぁ」と思っただろう。

こんぐらいしてもまだ足りないくらいだ。

奴らは事前に言ってないことを付け足してくる。

向こう岸に行ったら『チャイ』を飲むのは当たり前だ!」
こんなことを言われ、
チャイ代も払わされるかもしれない。

そんな事は知らず、
かるーくオッケーして韓国の3人は前をいく。

タージ・マハルの外壁を沿って歩く。
砂利道になっていて右手側は草がボーボー。

そんな中で裸で生活をするインド人を何人も見る。

300メートル近く歩くとまた簡単な柵があって
難なく入って行くと
目の前に広がるのはヤムナー川。
昨日の朝僕は来た。

すぐ右手に石で作られたベンチがある。

インド人のおっさんがそこに手を背もたれに拡げて、片足をベンチに乗っけて、座っている。

子供が座っているおやじに話をする。

おっさんは4人の外国人を見た。
「あ、外国人だ。」と思っただろう。

韓国人の男の子が
「1人20ルピーだよね?」と子供が言っていた事をおっさんに確認する。

おっさんは
「4人で80ルピー?ノーノーノー。」と突っぱねるとそこにいる4人の外国人を1人ずつ指差して

40、

40、

40、

40。

160ルピーだ。と「当然顔」する。

韓国の男の子がこの「衝撃的告白」をされると

「え?この子供は『20』って言ったぞ?」とやり合う。

「はいきましたぁ。」と僕は思う。

予想が当たったという嬉しい反面、

はらわた煮えくり返ってくるのを確認できた。

韓国の女の子は
「安くならない?」
と値段交渉をしはじめる。
別の韓国の男の子は
「おい言えよ!」と子供を急かす。

子供はバツが悪いのを顔で訴え
「20ルピーにならない?」とおっさんに頼んだ。

子供の表情からして
子供は正規の値段を知らなかったのだろう。

もう1人の男の子は
「じゃぁ間とって30ルピーでっ!ねっ?30ルピー!」とおちゃらけて値切ろうとする。

まんまと騙された。
甘かった。

子供の値段を信用しないでとりあえず場所まで案内させて、
子供が提示した値段を最初にこちらから言わないで『おっさん価格』を先に聞けばよかった。

「値段を負けて」とかいう話ではない。
嘘をつかれたのだ。
絶対20はそのままにさせる。
店頭で280円だった牛丼が入ったら倍の560円だったんだ。
「負けてよ〜」はおかしい。

僕はおっさんに
「俺は乗らない。だからみんな20にしろ。」と伝える。
おっさんは「駄目だ40ルピーだ!」と折れない。

「子供は20ルピーと言ってたんだ!僕らは子供と約束している!」

おっさんは「駄目だ40ルピーだ。」と折れない。

僕は完全にスイッチが入った。
「あれは誰の子供だ?」
「サウスゲートの子供だ、うちとは関係ない。」

「関係なくはない!お前は誰にいくらのコミッションを払うんだ?」

「子供だ!」
「じゃぁ関係ある!お前らに属している子供だろ!」

女の子は「もういいよ、」と僕をなだめる。

「いや、よくないんだ。こいつらにこれからも騙される旅行者がいるんだ。」
と伝える。

とりあえず一人で言い合ってもなので、
一旦韓国の3人が向こうのボートに乗るまで休戦する。

「乗る?」

「ごめんね。俺は乗らない。3人で行ってきてくれ。」

僕はおっさんの横に座る。
端から見たら仲がいい2人に見えるだろう。

かなり近い。

ここを下りていった向こうの方で3人がボートに乗り込んだのを確認した。

3人の他にここまで連れてきた子供とボートを漕ぐ子供が乗り計5人。
ボートが岸を離れていく。

僕はおっさん向き合い先程の続きをする。

「おいどういう事だ?」

「お前は日本人か?コリアンか?」
「コリアンだ。今関係ないだろ。」
「俺等は1泊ホテルに泊まるのにいくら掛かると思う?」
「知るか!関係ない!」

「45ルピーだ、でも外国人はいくらで泊まる?我々とお前らでは値段が違うんだ!」

「そういう事じゃない!約束を破ったのはお前だ、
いいか?私達は1人20ルピーと子供と約束をした、来たら40になった。あなたは『子供はうちとは関係ない』と言った。じゃぁあの今3人が乗ってるボートは誰のだ?」

「私のだ。」

「他に乗ってる奴はだれだ?いいか?船を漕いでいる奴と連れてきた子供だ。連れてきた子供が乗ってるということはあの子供はお前に属している事になる。
お前に責任がある。
なぜ全てのインディアンはこうなんだ?」

「外国人は幾らでホテルに泊まる?」

「450で泊まった。それがどうした?」

「我々は20で泊まる。」

「今それは関係ない。
それなら最初から40ルピーだと言わせればいいだろ?いいか?旅行者は皆このインドを想像して期待して観光にくるんだ。
何でお前らはウソをつく?」

「あそこの小屋は何の宗教だか知ってるか?」

「知るかっ!」

「そうだ!シヴァ(神)だ!
よくわかったな!」

僕は余りに興奮して「知るか!」を日本語で言ってしまった。

向こうは早口の「知るか!」が「シヴァ!」と聞こえたらしく

「正解だ!よくわかったな!」と言われた。
僕は思わずふいてしまった。

ねぇおっさん!
あんだけ怒っていた日本人が「シヴァ!」て言うわけないでしょ?

韓国人3人がボートから帰って来た。

僕は3人が安全に戻って来たのを機に切り替える。

もうその話をおっさんとするのを止める事にした。

僕は韓国の男の子に
「キャンユーテイクアグッドピクチャー?」
と聞くと「イェイ!アイキャン」と嬉しそうに答えてくれた。

じゃぁよかったじゃん。
と思った。

ボートに乗った人が満足してるならそれでいい。

今朝の8時半だ。

子供も入れて4人でまた来た道を帰る。

子供の腕に女の子がシールを貼ってあげている。

出会う人出会う人にシールを貼ってあげているらしかった。

子供は嬉しそうに笑っていた。
僕はそもそもお前だぞ!
と思っている。
「こいつ。今度来る旅行者にはボートは『40』って最初からちゃんと言えよな!」と言ってやりたかった。
そんな子供に女の子はもう一枚別のシールをあげていた。
子供は嬉しそうだった。

4人で歩いてると別の子供が前からやって来た。

進行を妨げる。

そのインドの子供は
「ヘイ!ポストカード20ルピーでどう?僕の店はあっちだよ!来なよ!」

同じ手法に僕はさすがにふいてしまった。

次へ

韓国の女の子とタージマハルに向かう。
朝6時だ。
今日はしっかり門が開いていた。

観れる時間は3時間しかない。

女の子は時間に余裕があるし今日チェックアウトしないでもいいのだが一緒に来てくれる。

ゆっくり観光すればいいのだがそれを踏まえてわざわざ予定を合わせてくれる。

『タージマハル』のチケット売り場でチケットを買う。
細長い手提げ袋にはペットボトルが一本入っている。
ゲートで厳重なボディチェックの後タージマハルを拝める時が来た。

タージマハルの庭園は本当にここが『インド』かと疑うぐらい綺麗でゴミ一つ落ちていない。

オールドデリーのあの汚さを見た後ここを見たら同じ国にいるとは思えないだろう。

向こうの方にタージマハルが見えるが、
ここの目の前の門?も十分画になる。

わたしは未だかつてこんな美しい建物を見たことがない。
わたしは視線を送る度、
「すごいなぁ。」と言葉が漏れる。
何度も、何度も漏れる。

マハトーマガンディは「この世に天国があるとしたらそれはここ『インド』だ。」という言葉を残した。

今タージマハルを目の前にする。
タージマハル
わたしもそう思う。

タージマハル

タージマハル

タージマハル

次へ

ホテルを出て、ゲートを出るとすぐリクシャーが話掛けてきた。
「どこまで行くんだ?」
無視。
ヘイジャポン!
無視。

ただ無視するにしてもアーグラフォートまでの相場だけは知っておいた方がいい。

乗るつもりはさらさらないが参考までに聞いてみた。
「アーグラフォートまで幾らだ?」

リクシャーは彫りが深くて目が鳥みたいにまん丸い。
体はインド人に多い痩せ型で顔もしわくちゃ。

英語は話せる奴だった。
「10ルピー。」

10ルピー?20円?安いな。

「そうだ10ルピーだ!でもこの場所に帰ってくるなら往復で20ルピーだ、」

「ノーエクストラチャージ?」

「ノーエクストラチャージだ!」

アーグラフォートを回ってどこかのお店に行っても20だ!

アイドンビリーブインディアン!インデイアンイズベリーライヤー

すまなかった、ルッキング。ルッキング。アイプロミスユー

本当か?

本当だ。

アイトラスチュー

オーケー乗りな、20ルピーだ。

(乗ろうとしたら違う運転手がいる)

ん?こいつは誰だ?

ドライバーだ、

俺はお前と約束してお前を信頼したんだ。なんでこいつと行くんだ?
俺も行く
当たり前だ!

(交渉していたそいつは助手席に、わたしは後ろ席に、誰だか分からない奴は運転手になる。3人でアーグラフォートまで行く)

信じてくれ20ルピーだけだ!分かった。
ルックルックルック!信じてくれ20ルピーだけだ!
分かったって!
アーグラフォートに行って、ショッピングして回って、帰ってきて20ルピーだ!

オーケーオーケー

お前がアーグラフォートに行った後ショッピングして・・・

分かった分かった、

他にどこか回りたいところはあるか?(地図を出されて)ここはいい所だぞ?
みんなここに行く、

ノーノーノー、アーグラフォートだけだ!

オーケーオーケー。分かった。信じてくれ。

アーグラフォートに行ってショッピングしても20ルピーだけだ、

ちょっと待ってくれ、さっきから『ショッピング』って何だ?私はショッピングはしない。

え!?ショッピングしない?
ちょっと停めてくれ!
(男は運転手にリクシャーを側道に寄せて停止するよう指示する)
ホワイドゥアイハフトゥーショッピング?
今日は金曜日だぞ?仕事がないんだ!

知るか!こっちの知ったことじゃない!なんで店に行かないといけないんだ!
金はないし買わないぞ?

リッスンリッスン!買わなくていい、見るだけだ、ただ見るだけでいい、

買わないのになんで見なくちゃいけないんだ!

リッスンリッスン!3つのお店に回って買わないで見るだけで私たちにはお金が入る、20ルピーだ、合わせて60ルピーだ、だから見るだけだ。

(成る程そういう事か・・・だからインドのリクシャーは違う場所で降ろすのか・・・)
そのお店はセーフティーか?そのお店に行ってもし私が危険に感じたらお前には何も払わないぞ?

オーケーオーケー、見るだけでいい、
見るだけだな、オーケー。

出してくれ。(男が運転手に指示を出し再びリクシャーを走らせる。アーグラフォートに着く。リクシャーの2人を待たせて見学しに行く)

(アーグラフォートはすごくよかった、
わたしはもうちょっと別の、「歩き」じゃいけないような遠いところに行きたくなった。
ただ違うオートリクシャーで回ろうかな?でもまた交渉したりするのが面倒だな、逃げようかな?でもここで逃げたら金払わないドロボーだな、よし、外に出ていなかったら帰ろう。1時間以上も炎天下で待っている訳ない。違うお客を引っ掛けて運んでるに違いない。)

しっかりいるじゃん。

ヘイジャポン!

オーケー、次は『イトマドフォード』まで行ってくれ、幾らだ?
80だ!
80?

いいかよく聞け、ここからイトマドフォードまで8キロある。本来はツーリスト料金で100ルピーだがインディアン料金で80にしてやる。なので180ルピーだ!

え?ちょっと待て、なんで180ルピーなんだ。

往復だ。80で行って80で帰ってくる。往復だ。

いや、それなら160だろ。
それに先程の20を足す。

あー、そうか。分かった。オーケー行ってくれ。あとそのお店はどんなお店だ?

サリーとタバコと宝石屋だ。

(なるほど。これはかなりヤバイな。確実に見るだけじゃ済まされない。何か手を打たないとダメだな。)あと、イトマドフォードまでどうやって行くつもりだ。地図を見せろ!

これが地図だ。

おいおい!近いじゃないか!タージマハルからアーグラフォートとアーグラフォートとイトマドフォートの距離は一緒じゃないか!

ルックルックルック、ここに鉄道があるだろ?ここはこうやってぐるっと回らないとイトマドフォードには行けないんだ!
(確かに地図上では鉄道があって線路がはしっている。)
分かった、行こう。

よし『お店』に行こう!

なんでだよ!

え?

え?じゃないよ!何でお店に行くんだよ!

アーグラフォートに行った後はお店だろ!

おいおい待て!俺の旅だ!お前の旅じゃない!お店はそれに行った後だ!

分かった。
(リクシャー動き出す。)

アーユーコリアン?

イエスアイアムコリアン。(ところでこの運転手は誰だ?)
フーイズヒム?

ヒーイスマイブラザー。

(『イトマドフォード』に着いた)

イトマドフォードの受付は半券をもぎった後、返してくれない。
わたしは後で「半券はどうした?なくしたなら金払え!」となるのが目に見えていたので「ハーフチケットプリーズ」と訴える。

ほらよ!と渡される。

センキュー。

半券はここのボックスに入れるんだぞ?

見ると黒い箱が置いてある。
ここか?と確認する。

するとおっさんは、
おいおい今じゃない!帰るときだ!

帰るとき必要なんじゃねーか!!

危うく騙されるところだった。

(イトマドフォードを満喫して)
さてどうしようかな。
ここでお店に行かない!って言って降ろされたらホテルまで帰れないな。
とりあえず店に行くとしてもパスポートとお金を奪われたら終わりだから隠すところないかな、今はサンダルだしな、困ったな、
よし!一旦ホテルまで戻ろう!
(リクシャーの所まで戻って男に言う。)
オーケー。お前のお店には行く。でも私はホテルでこのポシェットを部屋に置いてきたい。

オーケー。ノープロブレム。

ありがとう。行こう。

店とホテルとどっちに行くんだ?

ホテルだ!ホテルに帰れ!

(どうしようかな、ホテルに帰ったらそのままバックレようかな、でもそしたら俺が悪いなぁ、警察沙汰になったら嫌だしな、と考えてると)

見ろ!あれがタージマハルだ!
朝見たわ!ホテルからも見えるわ!

あれ?
今気づいたけど行きと帰り違う道で帰っていない?
うわー、こいつ鉄道があるから遠回りしなくちゃいけないって言ってたのに!
『陸橋』で越えられるじゃん!もう言っても無駄だからいいわ、

体の安全を確保したら今度お金だな、後はいかにお店に行かないかだ。

(ホテル近くウエストゲートに着いた。よし。)

私はちょっと疲れた。
これまでの交通費180ルピーは支払う、ちょっと待て、(ポケットには150ルピーしかなかった。)
あ、今150しかなくて30ショートしてる。とりあえず150ルピーもらっておけ!

いい!!後ででいい!

分かった。ところでお前らの『お店』はどこだ!

すぐそこだ!

すぐそこなら歩いていこう!
ノー!リクシャーだ!
(リクシャーで行ったら自分の意思で帰ってこれなくなる)
お店はここから1キロだ!

1キロなら歩きで行けるだろ!待ってろ!とりあえずホテルにこれを置いてくる!

(部屋に戻ってきた。どうしようかな、このままバックレれるな・・・ただそうしたら完全に俺が悪いな、金払ってないしな・・・・よし!話をつけにいこう!)
(男達は日陰で休んでいた。)

まずこれはさっきのペイメントだ!(180ルピー渡す。)そして俺は疲れた。もし『お店』に行かないならお前らにいくら払えばいいんだ?

200ルピーだ!100と100だ!
ちょっと待て!何でだ!

お前はお店に行くといった。

そうだ。確かに私は約束した。でも俺は疲れた。なぜ買い物をしなくて見るためだけに行かないといけない?
今日は金曜日で休日だ。私達は仕事がないんだ!

知るか!200ルピーの内訳はなんだ!

ガソリン代だ!

ガソリン代をなぜ払わないといけないんだ!歩きで行くって言ってるだろ!

歩きじゃだめなんだ!リクシャーで連れて行かなきゃ彼は私達に払ってくれないんだ!

なんでだ!

彼のお店は人が来ない。
だからツーリストを入れさせればお金は支払われないんだ!
さっき行ったイトマドフォードの方が距離的に遠かったのになんでガソリン代がそんなに高くなるんだ!

行こう!行けばお前が200を払うことはない!見るだけだ!

行かねーよ!

チャイ代だ!チャイ代を払え!

チャイ代?なんだそれ!

お店に行ったら彼ら達が私たちにチャイを出してくれる!そのお金だ!

なんでお前らのチャイ代も俺が払わないといけないんだ!

じゃぁお店に行かない分お前は私達に幾ら払うんだ!
100だ!

100?だめだ200だ!

いいや100だ!私は約束した、でもキャンセルした、その分だ!お前はキャンセルしたら200と言ってないし、俺はお店3つ分。20、20、20で60払えば行った事になると考えてた!それプラスキャンセル代40払うから100だ!

だめだ『俺ら』の分200だ!

ちょっと待て『俺ら』ってこいつは誰だ!

俺の弟だ!

なんで私は弟の分まで払わないといけないんだ!

弟の分払わないならお前は幾ら私に払うんだ!

何度も言ってるだろ!100だ!

じゃぁ150だ!

だめだ!そもそもお前は運転できないのか?

運転できる!

じゃぁなんで私はお前の弟まで連れて3人でいろいろ回らないといけなかったんだ!なぜお前の弟のチャイ代もガス代も払わないといけないんだ!100だ!

だめだ!150だ!

よし分かった!そこのウエストゲートに警察がいるから3者で話し合ってどっちが正しいか決めてもらおう!

(『ポリス』と聞いてビビったのか)
分かった!100にしよう!
(早っ。)
わたしは100ルピーを払うとホテルに帰った。

ベッドの上で仰向けになり考えてみる。

シーリングファンが回っている。

なんであいつらが勝手に決めた『3つのお店を回るコース』をキャンセルしただけで100ルピーを払わないといけなかったのか、

冷静に考えたら変だ。

ここではこういった『値札がない料金』は交渉次第で高くもなるし安くもなる。

向こうが途中から勝手に話に入れてきた『チャイ代』みたいにどうにか料金に加算させようとする。
そしたらツーリスト側も「聞いてない。」「それをお前は最初言ってない。」等、向こうのミスをつき、理屈や筋でいかに不当な料金を加算してるか解るまで話す。

お互いの「折り合い」を見つける。

わたしは結局計280ルピー払った。

一回のリクシャー乗車で100ルピーを越えるのはぼったくりだと知ったのはその後になってから。

なぜならインディアガンディー国際空港からニューデリーまでバスで40分以上掛かるが『50ルピー』だからだ。

ファンが回る中、
わたしは停電でエアコンが止まり、
部屋が暑くなるまで眠ってしまった。

次へ

女性はウンチャオという名前で1人でインドを回っている。
そして今後2ヶ月掛けて回るらしい。
昨晩アーグラに着きこのホテルにチェックインしたという。

『バックパッカー』

あんまりずっといてこの子の今日のスケジュールを崩してしまうのは悪い。

ウンチャオとは今夜夕食を一緒することを約束して一旦バイバイした。

日本人だったらこうも仲良くなっていなかったかもしれない。
多分わたしの場合照れて変に敬語でよそよそしくなって終わり。

韓国の女の子とはコミュニケーションは英語で、
わたしはそれを少ししか喋れないのでそれがかえってよかった。
お互い「こういう事いいたいの?」みたいに助け合うから優しいと感じる。

また必死で言葉を伝えようとしている姿は胸を打つ。

わたしの英語は会話をするには不安定でともすれば「ソーリー、アイドンノーワッアイセイ」を多用する。

分からない単語があれば「ジャストウェイト」と言って部屋に戻り和英辞典を取ってきてページをめくりながら会話した。

聞き取れない単語があれば「ソーリー?」で聞き返す。
そしてもう一回言ってもらう。
もう一回言ってもらっても分からない時は単語を紙に書いてもらう。

書いてもらえば大体解る。「オー!オー!アイシー!アイシー!」
単語一個伝わっただけでとても喜んだ。

それでも何を言っているか分からない事が頻繁にある。

そんな時はわたしが「ソーリー?」と聞き返す事で話の腰を折るような場合だったら解ったフリして流すようにする。

どっちも英語が母国語ではないので手を取り足を取り「せーの、いっちに!いっちに!」で会話する。

ウンチャオは22歳で幼稚園か、保育園か、小学生低学年か、ちょっと定かではないが「ティーチャー」をしているという。

「昨晩はモンキーがホテルに沢山うろついていたから寝れなかった。寝れた?」と聞いてきた。

また女の子は「昨日チェックインして明日バラナシに行く予定」だという。
わたしは「バラナシ!?」と思い、
調子こいてあーだこうだ情報を教えようとしたが止めといた。

多分ウンチャオはわたしなんかよりも旅慣れていて自分で決めていける。

危うく「バラナシに先に行っただけ」で調子こく所だった。
ウンチャオは
デリー→ウダイプル→ジャイプル→リシュケーシュ→ジョードプル→アーグラ。と回って来たという。

そして明日から
バラナシ→ネパールに向かい、2ヶ月後インドに再入国してブッダガヤ→コルカタで帰国する予定だという。

開いた口がふさがらない。

見た目は強そうな女の子ではない。
体は小さくて細い。

ウンチャオはウェイトレスが持ってきたベイクドエッグを何の躊躇もなく食べている。
「インドの食事でお腹壊さない?」と聞くと「壊さないよ?」という。

わたしはどこで食事しても怖いからとにかく食事は「ペプシ!ペプシ!ペプシ!」
とインドで食事をする大変さを語ったら笑ってる。

「インドに来て今まで騙されなかった?」
と聞くと「あー。」と反応し、
「分かる分かる」とうなずく。
わたしはやっと『インドあるある』を言おうとする。
そしたら
「騙されてない。」という。

ないんかーい。

「なぜならニューデリーにいた期間が短かったからだ」という。

なるほどー。

自分のベイクドエッグが運ばれて来た。

ウンチャオが食べていたので安心だと思い、頼んだ奴が来た。
わたしは一口口にいれ、
「大丈夫。食べれる。」と伝えると
「そりゃそうだ」みたいに笑ってる。

写真撮っていい?と聞かれる。
もちろんと答える。

デジカメはその人の旅路が垣間見れる。

今まで撮ってきたデジカメ写真を見せてもらう。
「これは何?」
「これは?」
「うわ!すごいな!」
自分の知らないインドの景色やインドを楽しんでいるような数々の写真にいちいち感嘆してた。

ウンチャオの写真にはインド人が沢山登場する。
そしてそれらは笑っている。
わたしの写真といえばカルチャーショックを受けた時に撮った写真や風景。

心の触れ合いを楽しみに旅をしているのが写真を見て分かる。

わたしはわたしの撮った写真を見せれなかった。
あまりにもインドとの距離があるような写真ばかりだったからだ。

写真を見ればなるほどインドに溶け込んでいる写真と日本の価値観を持ってインドに来てシャッターを押してる、つまり「距離がある写真」がある事が分かる。

ウンチャオの写真は「砂漠で座り、砂で足を埋もれさせ、親指だけ外に出す。
ふとそこに目を落とすとカニさんが爪の所を通った!」みたいな写真がある。

一方、
わたしの写真といえば「うわっ!道路に人のウンコが落ちてる!この国ヤバいな!」みたいな写真。

女の子の写真といえば、
たまたまゲストハウスで一緒だった韓国人の女の子と仲良くなって別れるときそのゲストハウスを運営するインド人と3人一緒にはいピース!みたいな写真。

一方わたしの写真は
「うわ!こんな大通りで、しかもこんな人が行き交う所で、
あのおっさんタッションしてる!インドヤバいな!」の写真。

ウンチャオのは
アラビアンナイトに出てくる女王様が寝るようなベットルームでインド人とパシャリ!

一方わたしのは、
「うわ!このインド人!道路で寝てる!あれ?
死んでるのかな?一応撮っておくか!パシャリ!

わたしはわたし自身どのような目線でインドと向き合っているのかよく分かった。

その「距離の取り方」がいいのか悪いのかは分からないし、
人それぞれの旅の楽しみ方なのだがわたしは女の子の写真を見た時とても心が温かくなるような旅をしてるなぁ。と、
自分にはできない旅を羨ましく思った。

デリーからアーグラまでわたしは電車で来たが、
女の子はボロボロのバスで何時間も掛けて来ていた。

写真にはバスで隣に居合わせたインド人と笑顔で写っている。

わたしにはできないからすごいなぁと思う。

ありがと、といいデジカメを返すと、
韓国語をちょっと教えてもらう。
「アナジョセヨ」と「ポポ」の発音を教えてもらう。「ゲップタ!」と「キヨプタ!」の違いを教わる。

お返しにジャパニーズ「こんにゃろー!」の使い方をと発音を教えてあげる。

どうしても「コニャロ!」になってしまう。

わたしは同じ異国の地で1人で旅している人と今までどれだけここの国について話したかったか知れない。

気付いたら3時間以上話しちゃったので何か予定があったりしたらまずいと思い、
ただこんなに会話したのにこれでサヨナラは悲しすぎる。
韓国ではこういう時どうするのだろう。
男らしさが試されているのだろうか。
わたしはかなりの勇気を持って「トゥナイ、アイウドゥライクトゥディナーウィズユー、オーケー?」と聞いた。
「オーケ。」とこたえてくれた。

結果オーケーもらったけど、
『今夜、私はあなたとディナーがしたい。』なんて、こんな事日本で言ったら笑われるぞ。

柄にもない。

『今夜、私はあなたとディナーがしたい。』って。

指輪渡す人しか使っちゃいけないセリフだぞ。

恥ずかしかったー。

まだ昼間だ。
これから部屋に戻って
用意して
『アーグラフォート』というタージ・マハルを作った王子シャジャハーンが自分の実の子供に幽閉された名所に行こうと思う。

そしてリクシャーとこの旅一番のモメ事が起こる。

次へ

朝5時40分。

タージ・マハルを早く見たい。

デジカメは昨夜充電した。
ガイドブックをポーチに入れて少しのルピーをポケットにしまう。

部屋に鍵を掛けて1階フロントまで階段で降りて行く。
階段の勾配が急だからか、焦る気持ちからか、
前のめりで降りて行く。

ホテルの出口は動物園の檻の様にドシャーン!と閉められている。

え?出られないってこと?

フロントの扉も鍵が掛かっている。

エクスキューズミー!
ドンドンドン。

叫んでも、戸を叩いても手応えがない。

朝の太陽はホテルにうるさいぐらい日差しを浴びせる。

シーンと静まりかえっていて「もぬけの殻」

誰もいない?

フロントマンは帰った?ってこと?

わたしは「朝タージ」を諦めるしかないようだ。

部屋に帰るしかない。

折角着替えた服を乱暴に脱いでまたベッドに沈む。

何時になったらフロントは開くのだろう?

とりあえず9時ぐらい迄寝てもう一回行ってみるか。

それから夢を見たかもしれないし見なかったかもしれない。

携帯のアラームは暴力的に9時に起こしてくれる。

わたしはもし扉が開いていた時そのまま行けるように着替えて、用意して、鍵掛けて、白い階段を降りる。

空いている。

フロントも開いている。

相変わらずのインド人もいる。

開いている玄関の門を
「結局いつ開いたんだ?」としげしげと見つめる。

門はこのホテルが建った時からずっと開いていたぞ!どこみてたんだ?みたいな顔してる。

「こいつが今朝開かなかったんだよな、」と今一度確かめる。

この事実を僕はどう落とし込んでいいか分からず『ミステリー』にしてやろうかなと思う。

フロントには「そんなにいた?」と思うぐらいインド人が沢山いる。

みんな私服だから誰が「仕事中」だか分からない。

またそれが笑顔でじゃれあっているから
誰が遊びに来ている友達か分からない。

みんなフロントマンかもしれないし、
みんな近所の子供達かもしれない。

もういいや。聞きたい気持ちを抑える。とりあえず門は開いている。

「自由に外出できる」という宿泊者として当然の権利を我は今3時間越しに享受する。

16世紀のフランス市民みたいになった

わたしは朝9時過ぎにホテルを出る。

次へ

わたしは1人ホテルのレストランで瓶のペプシを飲んでいた。

『飲んでいた』というのはちょっと間違えかもしれない。
昨日から何も食べていない。
インドの食に対する衛生面を信じられないわたしはペプシを『食べて』いた。

わたしにとってペプシは『朝食』になっていた。

喉が渇いたらミネラルウォーター。
お腹が減ったらペプシ。

不思議とこれまでの6日間あんだけ飲料水を飲んだのに小便は1回も出なかった。
多分全て汗になっているんだと思う。

時計は9時40分をさしている。

先程タージ・マハルを見てきた。

中には入れなかったけど。
外から。
頭だけ見えた。

朝、
わたしはやっと開いたホテルの門を右に行く。

バラナシで泊まったホテルのオーナーは休みでもタージ・マハルの庭には入れる。

そこから写真が撮れる。と教えてくれた。

わたしはそれを頼りに足を運ばせる。

昨晩から泊まっているホテル『スイッダールタ』
を右に行くと後は100mも無いところに入り口はある。

簡易的なゲートが設けられていて通常ならここから入るらしかった。
外壁が10m以上もあってその中がどうなっているかも分からない。
右に丸い円柱の形をした扉がある。

あれが入り口だろう。

インド軍がパイプ椅子に座って警備にあたっている。

おうど色で、綺麗な制服を着て、談笑している。

彼らは日本人を認めると
「何しに来たんだ?
休館日なのに間違えてきちゃったパターンか?」みたいな顔を一律する。

何かヒンドゥー語で目線だけをこちらに据えて話してる。

「はい。そのパターンです。」

わたしは知ってるなら話しは早いと
「エクスキューズミー、キャナイカムイン?」
中に入っていいか聞いてみる。

インド軍は黙って首を振る。
4人いる中の英語ができる人が
「トゥモローモーニング。」
明日の朝6時に入れるという。

わたしは庭までなら入れるんじゃないの?と聞く。

「ノー」

入れないんかーい!

するとそのうちの1人が「今日は中には入れないけどイーストゲートの河のほとりに行ったら外からのタージ・マハルが観れるよ。」と身振り手振りで教えてくれた。

わたしは「そこでみんな写真撮ってるよ」というのを聞くと「センキュー」といい向かってみる事にした。

タージ・マハル横の草むらは瓦礫の山。
誰も片付けられないで何百年と放置されている。

瓦礫一枚はかなり大きくて1畳分ぐらいの大きい瓦礫が折れていたり、そのままだったりして積まれていた。
多分この城壁に使った石だろう。

頭の中でよくニュースで特集されている「片付けられない人」を思い出す。

ここら辺の草は鬱蒼と茂っていて誰も刈る気はないのだろう。

昨日は暗かった街並みをわたしは悠々通ってイーストゲート迄来た。

昨日リクシャーに降ろされた所だ。

イーストゲートの方が賑やかで右手の方にはジューススタンドやカフェなんかも立ち並んでいる。

人の往来も多いし
相変わらずリクシャーが話しかけてくる。

イーストゲートにも同じく軍がいる。
先程のウェストゲートのような楽々な感じではない。

タージ・マハルの外壁に沿っていくと辺りは別の集落が望める。

そこではちょっとした公園になっているのか
裸で住んでいる人が多い。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!ジュースいらない?うちあそこだからさ!」

わたしはわかったわかった。覚えておく。帰りに寄る。

と適当な事いってあしらった。

「帰り寄ってね!」
と言われた。

左手には城壁。
その壁は高くてウェストゲートと同じく中は見えない。

草むらの道を真っ直ぐ行くと河にぶつかる。

ヤムナー河。
ちょっと今居る位置から低い所にあって川としては向こう岸まで30mぐらい。

川辺にはボートがある。

そこの川辺まで草むらが支配していてある決められた道を行く感じだ。

ここから見える景色は広くて向こう岸は何もない。
また草が広がるだけ。

川上も川下もどこで始まりどこで終わりか分からない。
長いのだろう。

わたしの右斜め後ろに簡易的な家というより小学校にあった大きなウサギ小屋みたいのが3つぐらい並んでいる。
インド人が座ってる。

住んでいるのだろう。

左手の方には外国人観光客が10人ぐらいいる。

インド人も多い。

インド人の集団が何かヒンドゥー語で話し掛けてきた。
10人ぐらいに囲まれた。

「アイドンノー」
とお断りを入れると集団に笑われた。

何がおもろいんだよ。
お前らだよ。

他の外国人は大きな一眼レフカメラを相棒にしている。
休館日で入れない恨みからか、
川辺の方、
手入れされていない草むらを掻き分けて、
ベストショットが撮れる位置を探していた。

外国人がカメラを向ける。
腰を下ろす。

カメラに「カシャカシャ」いわせる。

そのカメラの向く方向に目線を送ると「それ」はあった。

タージ・マハルだ!
うわーすげー!

外壁で上半身しか見えなかったが確かにすごかった。

ヤヌール川から見たタージマハル
ヤヌール川から見たタージマハル

すげー!すげー!

今日は休館日だが、
明日タージ・マハルは朝6時から入れる。

「明日必ず行こう!」

それからわたしはホテルに帰る。
来るとき「帰りに寄る」と約束した子供が遠距離から「お兄ちゃん!」と呼んでいた。

ホテルに着くと荷物を部屋に置いてホテル内のレストランに行く。

そしてわたしは昨日から何も食べていない事を思いだしペプシを『食べて』いた。

時計は9時40分をさしている。
「今日これからどこに行こう?」

すると、
向こうの入り口からアジア系の女の子が通った。

女性というよりは「女の子」といった感じだ。

女の子はこちらに気付くとまるで知り合いに会ったようなテンションと笑顔で

「アーユージャパニーズ?」と聞いてきた。

わたしは「イエス」と答える。
「リアリー?」となぜか嬉しそうだ。

わたしはまさか!と思い聞いた。
「アユージャパニーズ?」
もし日本人なら英語はやめようよ、
と思った。

女の子は
「ノー。アイムコリアン。」とこたえた。

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