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フロントエンドエンジニア芸人/インド芸人/もりたけんじの武骨日記 ・NSC東京9期 東京湾に入港してくる貿易船の綱取りをしていた頃、先輩芸能人の運転手する。ビジネスホテルでフロントで英語ができなかった挫折を味わい、力を付けに1人でインドへ渡航した。帰国後世界から発信するためWeb技術をつけたくなり、専門学校へ通う。以後、プログラム言語JavaScriptの正直さに惹かれ 「フロントエンドエンジニア芸人」を極めるため日々奮闘中。現在はサイバーエージェントにジョイン

僕耳の穴小さいんですよ、

だから音楽聴くじゃないですか?聴くのですけど、イヤホンが入らないんですよ、

すぐポロッと抜けちゃうのです。

ランニングの最中とかハーパンのポケットにiphone入れて音楽聴きながら走るのですけど、

これが汗で抜けるんですよ。

そんな時は、

こっちも走っているし、ある種興奮してるので、

何度もポロポロ落ちてくるとイラっとして、

もうゴリゴリ無理やり耳の穴に入れて、ポロって落ちないようにして走るんです。

走り終わって部屋帰ってくるじゃないですか。

このときまだ音楽流れてますよ?

で、

そのまま自分が音楽聴いてること忘れてハーパンから脱いじゃうことがあって、

その瞬間!

ハーパンは足元、空中で浮くiphone

イヤホンの線がピーーーーン!!

痛い痛い痛い!

「あの人耳の穴でiphone釣ってる!!」て

「言いたい事いいたい。」て打って変換したら。

「いい太鼓と言いたい」てなった。

そりゃ言えよ。

いい太鼓だったら。

いい太鼓なんだろ?

「いい太鼓!」て言えって。

何に縛られてんだよ

今日どこかからこのような声が聞こえて来ました。

「(留守番電話に入れてる感じ。)ご相談させて頂きたいことがありましてお電話させて頂きました。

折り返しご連絡頂きますようお願いいたします。」

これ。

何がおかしいかお分かりですよね。

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サヨナラダンス滝野元気くんに「俺誕生日だからモリケン家で鍋食べさせてくれ!」言われたんですけど、

そいつ誕生日が5月だし、前倒しにしても「誕生日プレゼントが鍋?」

本当におもしろい事いうマジシャンですね。

なんでか分からないんですけど僕、人の夕飯、何食べてるのか気になるんですよ。

よく聞いちゃうんですよ。

「昨日晩御飯何食べた?」って。

でこんな衝動に駆られるのは自分だけかな?と思って聞いたんです。

「人の晩御飯気にならない?」て。

そしたらそいつ! 続きを読む

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これ多分前の人が置いて行ったゴミだと思うんだけど

店員さんの認識は「場所をとっといてる」「戻ってくるかも!」

「そのままにしとこ!」になってます。

みなさんは日本人で疲れる事ありませんか?

みなさんは何人になりたいですか?

僕は生まれ変わったら今度こそ日本人になりたいです。←今何人やねん!頂きました。

全然関係ない話していいですか?

この間、女の子とご飯行ったんですけど、

その人タイ料理屋でトムヤンクンラーメン頼んでたんですね。

で提供されたそれを見て「汁が少ない」て、

まぁそれでも食べてたんですけど

食べるの遅いからフォーが膨張して、油そば食ってるのか!いつすり替えた!?になってたんですよ。

俺それを笑ってたら、その子また「汁が少ないから! わたし汁が飲みたかったのに〜」

て。

「じゃぁ最初からトムヤンクンスープ頼めばよかったじゃん!」

て。

で全部残したから「もうタイにも行くなよ!」て。

そーゆー出来事ありました。

後日またその人と中華行ったら、

今度その子スーラータンメン頼んだんですよ、

「また残すなよ?笑」て釘さしといたんですけど、

暫くして見るとまた!

今度は「あん掛け焼きそば」みたいになってるの!

いつすり替えた!?手品を披露すな!

また笑ってたら「熱くて食べられなくて全部汁吸っちゃて!笑」て!

禁止だよ!麺類!

食うなって!

麺類を食う才能ないんだから!

生まれ持って麺類を食う才能ないんだよ!

もうこの世界から足洗ってまっとうに白ご飯たべてろって!

もういいから!

で、その余ったスーラータンメン?ちょっと貸してみ?て

後処理しよーと食べたんですよ。

そしたらね、

そのスーラータンメンも不味いんだよ!

そりゃ残すわ!

足の裏みたいな味がするんだもの!

その子何も悪くないんだよ!

帰ってこいよ!

麺類を食う才能あるんだから!もうちょっと頑張ってみろって!

さっきチャーハン食べました。

それよりね、昨日また元気君と会ったんですよ。でね、

彼ね。凄く聞いてくるんですよ。凄く。

もう会ったそのときから、「もりけん!なんかあった?シューちゃん(同期芸人)の話でなんかない?」

もうずーーーと。

自分の欲を満たすために掘ってくるんですよ。

ほんと凄いなぁと思って。

で、俺もどうにか期待に応えようと、

ほんとうっすら記憶にある断片的なこというじゃないですか、

もう何年も前の話をですよ?

すると「うそ!?それで?」

「でまあこうだったんだよ」

「ほんま!!??それで!?」

「でまぁこれがこうで」

「そのときモリケンはなんて?」

「これこれこうで」

「まじか!!!それで?」

「これこれこうで」

「やばいなあいつ!!!それで?」

「こうして」

「すげーな!!それで?」

もういいわ!!てなるんですよ。

俺何年も前のセリフなんて一言一句覚えてないからね?!

尋問みたいにどんどん追及されてる感覚になるんですよ笑

頭痛くなってくるんですよね笑

元気君がそのまま今日は泊まりそうになったのでお断りしときましたよ。

あとあれだ、その前に

元気君と鍋やったんですけど、

彼ねチゲ鍋に鶏肉入れるんですよ。鶏肉入れます?

チゲ鍋には豚でしょ!?

で、もうね、鶏肉入れよう!いわれて2人頭おかしくなっちゃったんでしょうね。

餃子入れよう!ってなったんですよ。

で、それもいれて。

元気さんね。

やる前ね、「野菜いれよーや!やっぱこういう時しか野菜食べへんし!俺ももう年やし!野菜摂ってないから体つかれてもーて。。野菜いれよーや!」

って推しがすごいんで、俺も野菜を買ってとにかく入れたんですよ。

元気さんね。お腹へってたんでしょうね。

俺の分の鶏肉と餃子も食って田園都市線で帰っていきましたわ。

パイナップルを買ったのですが、

缶詰とかじゃなくて、もうそのまんまの奴。

これなんだろ、買っといてあれなんですけど、

みなさんふとした瞬間「あ。パイナップル食べよ!」てなります?

俺ならないんですよ。買っといてあれなんですけど。

今キッチンのところにずーーーといるんですよ。パイナップル。

よーーく見るとサボテンに見えてくるんですよ。

みなさん「あ。サボテン食べよ!」てなります?

俺ならないんですよ。サボテン買っといてあれなんですけど。。

ならないんですよね。。

最近駒沢公園を走っていたらペースを乱されました。

8km地点(全20km)で1km5分後半ペースで走っていたら、

目の前でもうフォームも崩れて、でも何とか頑張って走っているみたいな人がいたので、

自分は自分のペースの範囲で抜いたんです。

ごくごく自然に抜いたんですけど、

暫く走っていると、

ちらっと自分の影が前方に伸びていった後、

その後すぐ後ろからの長い影が存在していることに気付いたのです。

先程抜かした人が多分付いて来ているんだろうと思って、

まぁ、気にしないで自分は自分のペースで走ってたわけです。

暫くして「あれちょっと待てよ。」と、

森田のマイペース(その人のマイペースより早いペース)で自然に抜かしたので、

そいつがついてきているということはオーバーペースでついてきるということになります。

その後3kmぐらいずーーと後ろにぴったりつけられたのです。

いや、もうね。知らない人が3kmもついてきたら触ってないけど痴漢ですよ。

ペース走をしているランナーにとってね、

先程ヘトヘトだった奴がね、僕が抜かした瞬間ペース上げて、その後ずーーとついてこられるほどイライラすることはないです。

あまりにもついてくるので、

頭来たんで、ペース上げたんです、

したらその痴漢!

まだついてくるじゃありせんか!

僕そのとき既に10km近く経過してたので(その人は何キロ経過してるのかわかりませんが)

ちょ、もういいやとおもい、

しめしめ。いいこと思いついたぞ。

「逆に抜かされよう!」と、へへへ。

わざと速度を遅くしたんです。

そしたらその人!チャンス!と思ったのか一気に抜いていったんです。

ばかめ!!引っ掛かったな!!

さっきの報復じゃないけど、どんなに嫌なことしてたか!思い知らせてやると!

ずーーとついていったんですよ

そしたらさ!そいつ速いのよ!

でもまあね。。

「そんなペースで走ったらいつかバテるから、その時抜くわ」と。

僕が走る20km範囲で抜かせればいいやと、距離保って先に行かせてたんです。

したらそいつ!

前のほうで走るの止めのよ!

さっきのラストスパートだったんですよ!

もう歩いちゃってるのよ!

え!!って。

俺の気持ちにもなってくださいよ!

俺最初から戦う気なんてないし、マイペースで平和に過ごしていたのに

勝手に恨まれてずーーーとついてこられて、

ペース走崩されて、

あの痴漢!!下着泥棒!!

わざと前に行かせたらラストスパート勝手にかけられて!勝手にゴールされて!

俺あと10kmも残ってるのに。。そいつ5,6kmぐらい走って(かしらないけど)終えられて。。

僕のiphoneからノリノリの曲流れてきて。。。

僕のマイペース乱さないで欲しいですホントに。

5,6km走る人が20km走る人に対抗してこないでください。

いくらシャッフルでもノリノリの曲流さないでください。。

干してたパンツ返してください。。

「ここなら平気だろう・・・。バレることはないはずだ。」
寝台列車のアッパーサイドで横になると、すぐにカーテンを閉めた。
少年2人はわたしを探して車内を行き来しているみたいだ。
「どこだ?どこだ?」

車内を行き来するインド人の頭が見下ろせるぐらいの高さから確認する。
暫くして車掌がチケットを拝見しに来るだろう。

外国人はパスポートと一緒にそれを提示しなければいけない。
寝たフリをしようが起こされ顔と名前とここが本当にお前の席かを確認される。
その瞬間カーテンを開けることになるが、それさえクリアーすればわたしはジャイプルまで面倒に付き合わなくてすむ。
面倒に付き合わなくてすむはずだった。

わたしはオールドデリーの駅ホームでジャイプル行きの列車の搭乗を待っていた。
ベンチに座り、リュックの中身を全部出す。
どうやらPCアダプターをなくしたみたいだ。
リュックの中身はどこに何があるか決めていてその場所は取り出して戻す際もそうしていた。
なのでその場所になければ「紛失」ということになる。
わたしはその決まりごとをわたし自身が破って収納したことを願った。

「ホテルの部屋に着いたら使うもの」はリュックの奥のほう、
「旅中たまに取り出すもの」は上層、
サイドポケットには「水とコレまでに得てきた思い出の品(混雑時スリに遭ってもなくなってもいいもの)」
ポシェットには「大切なもの、頻繁に取り出すもの。」だった。

ホテルのベッドの上でしか使っていないPCで、同じホテルにしか泊まっていないとなればニューデリーのパレスホテルに違いない。
コンセントに刺さったままなのかもしれない。
「今いるそこを離れる際は一度いた場所と床下を確認する」という決まり事もしていたのだが徹底されていなかったみたいだ。

ノートパソコンはカメラのデータ保存用としてだけの為に持ってきたものだ。
一日に300枚以上の画像データを転送する。
わたしはそれを旅の途中の随所でPCを開き、転送という作業を行っていた。

アダプターがないということは今のバッテリーが切れたらデータがSD上のみでしか保存できなくなる。
今後帰国までに多くのシャッターチャンスや印象深い場面に出会うだろう。
SDカードを買うか。。?
アダプターを買うか。。同じ型のがインドにあるか?
バッテリー残量は2時間3分
転送時、すぐ立ち上げてすぐシャットダウンしなくてはいけない。

その時だった。
わたしが荷物の奥を闇雲に探していると隣から声がする。
「Hai」
顔を上げ、声の方向を見る。
そいつは既にわたしの隣に座っていて、
気付かなかったが随分前からそこにいるようだった。
わたしはいつもの感じの物売りと思い、生返事を放っといた。
続けて隣りの人は
「お前はフォトフラファーか?」と尋ねてきた。
わたしはその人をちゃんと見てみた。
周囲には他にもう一人の「友達」が立っている。
わたしは少年に「笑。なぜわたしがフォトグラファーだと思うんだい?」と聞いてみた。
「だって。ぶらさげているから笑」

旅をしていると多くのインド人がこちらを注視していることがある。
外人ということももちろんあるが、
よく目線の先を追うとどうやら首からぶら下げているカメラに注がれていることに気付く。
わたしは「インドでは一眼レフがダイヤのように見えるのかもしれない」と感じ、
いつ襲われるかもわからないそれの首からのぶら提げ方も考えたほどだ。

そんなにも珍しいものかと思う出来事がある。
歩いていると無邪気な少年が「フォト!!フォト!!(僕達のことをそれで撮ってくれ!)」と近づいてきて、
わたしが写真を撮ると「見せろ見せろ!」とプレビューを見て騒ぎ出す。
彼らにとって写真を撮ることはそれ自体敷居が高いもので、非日常の一大イベントなのかもしれない(そういう地区にしか旅をしていないので分からないが)
彼らはそれが高価なものだと知っているし、そんなものをぶら下げているのはそれを商売にしている奴だろうという考えみたいだ。

わたしは嘘をついた。
「フォトグラファーだよ笑」
「やっぱり笑。そのPCはなんだ?」
「画像データを転送するんだよ」
「そうなのか。。Photoshopはインストールされているのか?」
「されているよ笑」
「CS何だ?」
「5だよ。」
「5??そんなのないだろ!笑」
「最新でもCS3だぞ?」

わたしは彼がなぜPhotoshopCS3を最新だと言っているのか察するに余りあるが、
それよりも彼がその話に興奮して矢継ぎ早に聞いてくることに興味が出てきた。
「あなたは何(職業)なの?」
「フォトショッパーさ」
気付かなかったが彼も首から一眼レフカメラを提げていた。
「キャノンだね。」
わたしはさっきから隣で話を聞いている友達に視線を送り、
「彼は友達?」と聞いてみる。
「弟さ。」
彼は私との距離をまだ感じているみたいだ。
「ねえフェイスブックやってる?」
「やってるよ笑」
「ちょっと僕の事検索してみてくれよ!」
「いいけど俺はこれ(フュチャーホン)なんだ笑。これは海外では使えないんだよ。使うと高い請求が来るから」

言っている事がよくわからないという兄貴に隣りで聞いていた弟が英語で伝える。
「あ、そうなんだ笑 じゃあ僕が探すよ。名前は?」
「MORITA KENNJI」

インドで自分がSNS検索されてインド人に
「これかい?」と言われる。

「なあケンジ!どこまで行くんだい?チケット見せてくれよ!お!ジャイプルじゃないか!!ジャイプルは僕が住んでいるところだよ!おい!見ろよ!(弟に)車両まで一緒じゃないか!!笑
ジャイプルはとても美しい街さ!お勧めをメールするよ!そうか!一緒の列車か!!笑」

少年は続ける。
「ケンジはさ!ワイン飲める!!!???後でのもうよ!!じゃあ後でケンジのベットに行くから!!」

わたしはベジレストランに入ったのだが何やら奥のほうで揉めている声がする。

そういえば先程英語の発音についてちょっとした事があった。
マックでソフトクリームを買おうとしたところ店員に聞かれた。
「couple of corn?」
わたしは「見れば分かるだろ。なんで2つなんだよ。」という想いから
「no no,one please」ともう一度告げた。
「no,couple of corn?」
同じ事をいう。
この店員はなぜソフトクリームを2つ買わせようとするんだろう。
1つなんだけどな。
わたしが言葉に窮しているとそこら辺のインド人学生が割って入ってきて教えてくれた。
「cup or corn?」だそうだ。

レストランの奥の方ではさっきから店員同士揉めている声がしてる。

わたしがメニューを見て、適当に選び、オーダーした後のことだ。
給仕が店の奥に入って行く。
暫くすると別の男が奥のキッチンから出てきた。
コックなのだろう。
わたしは暫くその男に睨まれて「あーあ。やっちゃったよ。。」みたいな顔をされていた。

元々ここがベジタリアンの店だと知っていて入った。
給仕してくれたおじさんは異文化に触れる日本人に好意的なのだが、
どうもあのコックはそうでもないようだ。

ここら辺は外国人があまりいない地区で、
いわゆる外国人向けレストランはない。

これからジャイプルに着くまで車内食だけでは心もとない。
何が出てくるかわからない食事に頼れないからだ。
寝台列車に乗る前に能動的にお腹に入れておかないといけない。
そのような理由から、
軽い気持ちで、後学の為にもベジレストランに入ってみたのだ。

わたしは「kaju curry」というものと「mix vegitable soupe」を頼んだ。
給仕が「ナンはいくつだ」と聞くから「1つだ」と伝えると、
彼は安心したようにキッチンに伝えに行った。

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あそこは食事で汚れた手を洗う場所なのだろう。
レストランのホール内にあのように手洗い所があるのは初めて見た。

格式高いレストランにはあるのだろう。
この旅始まって以来そのようなお店には入ってはいなかっただけなのもしれない。

なにやら揉めている声が聞こえたのはそれからすぐだ。
そしてそれが止んで暫くすると食事が目の前に置かれた。

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このスープはおいしそうだ。

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多くのインド料理に豆が入っているのはノンでもベジでも食べれるポピュラーな物だからではないか。
この色を見るとチキンの出汁を使っているのかと思うが、当然使っていなくて、
とろみがあるスープに野菜をペーストして豆腐のように刻んだものが入っている。

わたしはkaju curryを口に運ぶのだが、
その時キッチンの彼がなぜ「やっちゃったよ」顔をしているのかわかった。
辛っ。
わたしはあの揉めていた言葉が何を言っていたのか察することができた。

怒っていたあのキッチンの男。
彼の言葉を予想するとこんなとこだろう。
「外国人?ノンベジ?食えるのかよ!(こんな辛いの)しらねーぞ!?全部食べるんだろうな?
ベジタリアンの店だぞ?!辛いんだぞ?馬鹿にしてるのか!?残さず食えるんだろうな?作っていいんだな?!作るぞ!?」
給仕に念を押していたに違いない。

給仕は「まぁまぁ作ってあげてよ。。異文化に触れてみたいんだろう。」となだめたのかもしれない。

キッチンの男はどんな辛いもの好きの中東人が頼んだのかと、
カレーを煮直している間ホールまで一目見に来る。
どんな奴がチャレンジするのか。
そしてわたしを見て、
「醤油じゃねーか!!(日本人)」

わたしは言葉では何を言っているか分からない給仕とキッチンの一連のやり取りを語気とリアクションと憤慨している彼を見ておよそそのようなとこだろうと推測できた。

わたしは辛いそれを無理矢理ナンと一緒に放りながら後悔した。

ノンベジがベジの店に来ると人によっては宗教を馬鹿にしていると誤解されるのだろうと軽率な行動を反省した。

食事の進み具合を見に来た給仕が「笑。」と笑顔を向けてくれる。
わたしはつい今しがた彼とコックが喧嘩していた事に対して知らないフリをする。
そして「コレ辛いね笑。ここまで頑張って食べたんだけど。。」というジェスチャーをする。

すると給仕のおじさんはわたしのジェスチャーを見て「ちょっと待ってろ」といい、カレーを下げた。
わたしは「あ、味をマイルドにしてくれるのかな。」もしくは「もう食べないみたいだ。。」と下げたのかな?と気遣いに感謝した。

暫くすると私の目の前にカレーが置かれた。

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同じの増やしてきてどうすんだよ!!

食えるか!

伝わらないことはこの店でもう一個あった。

「water」の発音についてなのだが。

この旅始まって以来わたしが何度も現地の人にお伝えしてきた「water please」。
この炎天下が抱きついてくるインドでwaterは欠かせないもので、なくなったら補っていた。
その回数はわたしの発音をも変えさせた。
結局カタカナ読みの「ウォーター」は二度聞きされてしまうので「ウォラーァ」になるのだが、
ただここのレストランでは違ったようだ。

外国人慣れしていなく、
英語が伝わらない給仕にわたしは指をさしてメニューを指定していたのだが、
給仕はどうやら「何か飲むか?」と聞いてきているみたいだ。
わたしはこの旅中磨きに磨いてきた伝家の宝刀、「water please」と告げる。

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わたしの発音が悪かったんだと思う。

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おっさんはお客への「お釣り」を渡していた。

ただお釣りはお釣りの顔をしていなかった。
おっさんはその代わりに幾つかのキャンディを渡し「なんだこれは?」と抗議を受けていた。

目の前でインド人対インド人の化かし合いが繰り広げられている。
おっさんはたじろぐのかと思いきや、
お前の目は節穴かというようなスタンスで「キャンディだ」とつっぱねる。
カウンターに置かれた両肘はその位置からずれない。
クレームに一歩も引かない、前傾姿勢がおっさんのスタイルみたいだ。

お客が「いらない。硬貨をよこせ」と当然の要求する。
おっさんは「なんだ。キャンディより硬貨の方がいいのか。世の中にはいろいろな変わり者がいるもんだな。。」という目線の落とし方をしたあと
正規のお釣りをカウンターに投げた。
おっさんはキャンディをその入っていた菓子箱に戻してまた前傾姿勢でお客を迎える。

オールドデリー駅周辺を散策したわたしはこのジューススタンドに落ちていた。

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駅の荷物検査はインドの国民性を表している。

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普通それは厳格なチェック体制の元行われるものだが、
もはや形骸化されていて、
スーパー銭湯からの家路途中のような人がチェックしている。
その緊張感のなさにどこかのコスプレ好きが勝手に座っているのではないかと勘ぐれるほどだ。

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そのような空気感は乗客にも伝っているようで、
別段荷物からわざわざPCや金属機器を出して流し込むというような手間はせず、
人々は無作法に荷物をベルトコンベアに置く。

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もし散弾銃と爆薬しか入っていない荷物がそこを通ったら
『銭湯帰り』は「これは何かの間違いかもしれない」とモニターのほうを疑うのではないか。
もし手榴弾を裸のまま置いて流したらどこかの荷物のサイドポケットから出た洋ナシとして処理されるのではないか。

駅前には見るからに重そうな一斗缶がノーマークで置かれている。

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見覚えのあるその形の中身はミルクだろう。

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別の土地から鉄道に乗ってデリーに辿り着いたそれらは、
誰かによって駅前のロータリー付近に置かれたようで、誰の管理下にもさらされない時間を過ごしている。

この時間にこの場所これが置かれてたらそれは「わたしから」だから持っていけ。というようなメッセージ付きの様な気がする。

わたしが「盗まれないのかな?」と注視していると、

どこからかサイクルリキシャーが2人現れる。
その自転車の荷台はそれ専用の構造をしているようで、彼らは慣れた手つきで固定するための手順を踏むと、

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息ピッタリに去っていった。

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彼らはミルクを運ぶ職人なのだろう。

そんなことを思い出しているとスタンドでは別の賑わいが起こっていた。

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おっさんがお釣りの代わりにキャンディを渡したのだ。

わたしは作戦に失敗して反省していないおっさんに話しかけた。
先程のキャンディを指差し「少しください」と頼む。
おっさんは何も発っすることなくわたしの手のひら分のキャンディを乗せてくれた。

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もらっといてあれだが、
わたしがタダでもらたキャンディをなぜ客にお釣りとして渡したのだろ。
このキャンディを世の中に広めたいのか?
おっさんは生まれながらにしてお釣りを渡すのが嫌いなのか?

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また、おっさんの暴走は止まらない。
おっさんはお客が来ないと自分の店で売っている商品を食べ始めた。
もしわたしが「え?売ってる物食べちゃうんですか?」と野暮な質問をしようものなら「地球は周るだろ?時は進むだろ?店のものは食べるだろ?」と物事の真理として諭されそうだ。
おっさんは子袋に入っている粉末剤(インド版タバコ)を口の中に入れるとそのゴミを自分の店の前に放り投げた。

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気付いたのだが、
おっさんはとにかく投げる癖がある。
お客が「あれをくれ」と指差す。
お客は硬貨や札をカウンターに置く。
おっさんは手を伸ばして取った商品をカウンターに放る。
叩きつけられた商品はワンバンしたり、スーっと滑ったりして止まる。

商品によってはお釣りが出る。
お釣りを手渡しなどしない。
カウンターに放る。
おっさんの手で一回まとまったお釣りはその形を崩し、
カウンターにばら撒かれる。
さぞお客は不快に思うだろうと思いきや、平然とばら撒かれたそれらを取り、去ってゆく。

そういえば先程のもそうだ。
わたしがこのスタンドでアイスバーを買い、食べ終わった棒を「ゴミ箱はこれ?」と聞くと、
おっさんはジェスチャーで「投げろ」という。
「え?投げるの?どこに」わたしが戸惑っていると「そこらへんに投げろ」と促す。
わたしは言われたとおり店の前にゴミを放る。
ゴミは低い弧を描くと道路前にさらされる。
なんだかゴミがわたしを恨めしそうに見ている気がする。
「これでいいのか」と振り返る。

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おっさんはまた「物事の真理」を研究しだしている。
通行人もお客も外国人がゴミを投げた事に何の違和感もなく、咎めることなく見過ごす。

わたしはこの国の大変な問題を見た。
ローカルだけかもしれないが、
彼らのゴミに対する意識は「そんなもん誰かが仕事として集めるのだからわたし達には関係ない。」
もしくは「全ては土に還る。人間もそうだろ?」等の考えなのだろうか。

「だからか。。。」わたしはなぜ道路にゴミが多いのかその一端を見た。

暫くすると少年が店に入ってきた。
彼が出て行くと、奥から身体が豊かな女性が店頭に出てきておっさんに小皿をわたすとまた戻ってゆく。

0634

おっさんは店をやりながら夕飯を素手で食べ始めた。

お釣りをキャンディにしようとする。
商品を投げる。
店のものは食う。
ゴミは店先に投げる。
レジで夕飯を食う。

0621

おっさん。。

0628

これおっさんのおでこに投げたろかな。

わたしはオールドデリーのこのスタンドで多くの時間を過ごした。
無口なおっさんはわたしが去ろうとした際は悲しそうに視線を下にしてくれた。

もうそろそろジャイプル行きの列車が到着する頃だ。

「運ばれてたのかもな。。」ジューススタンドからこの道を見ていると考えさせられる。

店番をしている主人が招いてくれる。

「こっちにおいでよ笑」

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わたしは店内側に案内される。

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やっと腰を据えて先程まで道のりを振り返ることができる。

牛使いにカメラを向けると彼らは嬉しそうにポージングする。

「おい!写真撮られてるぞ!格好良く撮ってくれよ!笑」
わたしはシャッターを切ったフリをする。

「ほしいほしいの奴」はどうも苦手だ。
「どれどれ見せてみろ!なんだ!撮ってないじゃないか!」になるから足早にその場を去った。

暫く歩くが限界になりサイクルリキシャーの子供に道を尋ねる。

「オールドデリーはどっちだ?」
「NEWデリー?」
「違う違う。オールドデリー。知ってる?」
「OK!OK!乗れ!」
「なんでだよ!乗れるか!」
これで伝わらなければその後全て伝わらないわ!

「道だけ教えてくれよ!オールドデリーはどっち?」
「あの道を左行って、真っ直ぐ行った後、左!」
「ここに戻ってくるじゃねーか!」

道を教わる際、彼らは決して嘘は言っていないのかも知れない。
別の人に聞くと違う方向を指差す。
また彼らの意見が食い違っているのはひょっとしたら身分によって通れる道、もしくは職業上使っているローカルな道を教えてくれているのかもしれない。

「next to road」も、
ここのちょっとした小道も入ってるの?それとも大通りのこと?
え?ここ?さっきの場所から大分歩いたよ?というのがある。
彼らの距離感はまちまちで時間も悠久時計だからか「結構遠いぞおい!」と感じることがる。
彼らは彼らなりに正直に答えているのかもしれない。

0520

インドの牛はシヴァ神の乗り物とされ「神聖なもの」と聞いたことがあるが、
わたしが出会った牛使いは神懸かったそれを制御するため、目を覆いたくなるような強さで鞭を当てていた。
思いっきり振りかぶり、それを牛の背中に振り下ろす。
疲れたらピッチャー交代して、公道の端っこで子供達がその順番を待つ。
「僕にもやらせて」のような感覚に見える。
牛はさぞ泣いているのかと思いきや、微動だにしない。瞬きひとつせず受け入れている。
牛使いにいわすと「言うこと聞かす為さ!ヘヘヘ」だそうだ。

ヒンドゥが「牛を食べない」というのは厳格な信者だけだそうで、
種類に分けられて食べられているという。
インド人は牛が美味しいことを知っているようだ。

食べられる牛とそうでない、悪魔の牛と呼ばれるものもあるようで、牛にも階級が存在するようだ。
わたしはヒンドゥは牛を食べないという理由は、それとは別に、牛がそこら辺のゴミなどを食べていて不衛生からではないか。
とも思ったし、物流に欠かせない使役動物だからではないかとも感じた。

ニューデリー駅からオールドデリー駅までは歩いて50分~60分程で、
もしリキシャーで行ったなら100ルピー。(交渉すれば80ぐらいで行ってくれるだろう。)
公共のバスを使えば15ルピー程でいける。
距離感が分からず、手元の縮小された地図だけを頼ると何か近い感じがするが、
「これが交差点?」「これが表通り?」と驚かされ、「さっきのところ曲がるのか!」や道を聞くともう一度スタートに戻るの場所になりかねない。
リキシャーに乗って暫く町並みと道なき道を眺めていると「これはとてもじゃないが歩くのは無理だ。。」
と過去の自分の無知を反省することになるだろう。

今朝のわたしは体力があるし、何より興味深いものが興奮させて歩く活力にしてくれた。
リキシャーも遠い距離や明後日の方向を歩いていると「どこに行くんだい?」と声を掛けてくるが、
声を掛けられなくなった。デリー駅が近くて方向も間違いがないことをあらわしているのだろう。

0596

赤茶色したオールドデリ駅はレッドフォードのような造りで、辺りを城壁のように覆っている。
ちょっとした背の低い小さなお城のようで、駅周辺の「城下町」ではニューデリーのような観光客目当てのお店というよりは、ここでは地元の人を相手に商売しているようだ。
(後日聞いた話によると、ここら辺はムガル朝時代の城塞都市だったようだ)
外国人を見ることは殆どなく、地元民も珍しそうにわたしに一瞥しては隣りの奴と話の続きを始める。

オールドデリー周辺をみていると様々な人や運搬物が交差する「物流が行き交う場所」なのだろうと感じる。

誰もが何かを牽きながら歩いている。

0521

わたしは喉の渇きを覚えジューススタンドに立ち寄った。

主人の「こっちにおいでよ。」という優しい言葉に甘えると、

店内に入り、腰を下ろし、10ルピーのLimcaを流し込みながらメインストリートを眺める。

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歩いているうちは自分も「人」としての物流の流れに乗っていた一人だったのがよく分かる。
このように眺めていると人力車が多い。
わたしは華奢な体つきの男性が大きいものを人力で運ぶ様子には特に目を奪われた。
彼らは総じて大きくて重そうな荷物をどこからどこへか運んでいる。
なんという力強さだろうか。
それは人力だからと切り捨てることは容易いが、
この時代に逆行する彼らのうぶで盲目的な世界観に由来するエネルギーにわたしは心を打たれた。

うず高く積まれている荷物は積み方も分からないかもしれないし、これがベストな積み方かもしれない。
頭のいいインド人のことだから多分後者なのだろう。

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それらの様子は面白い目線で見れば「こらこら。テトリスか!」だけれども、

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彼らの背景にある物語に想いをめぐらすと、なんて「自分は弱いんだ」とも思えてくる。

彼らはニューデリーからデリーまで荷車で、人力車で、渋滞やあぜ道に苦慮しながら牽いて来た。

ここまでの道の途中にあったあの慢性的な渋滞も「結局歩くほうが早い」ということで人力を選んでいるのかもしれない。
あの距離を?

ひょっとしたらもっと遠くからかもしれない。

それでは終わらない。
長距離ならその後デリーで列車に積み、

終わったらさらに別の場所に別の物を積んで牽くはずだ。

そして仕事が終わる。

もしかしたら彼らには屋根もなく路上で寝る人もいるかもしれない。

路上で寝ている人をよく見掛ける。この人達かもしれない。

そして明日また同じ仕事がある。

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ん?

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いや。それは普通に持てるだろ。。

ニューデリーからオールドデリーまでの長い距離を、

わたしは、そのような力強く生きる人々の流れる道に乗って歩いてきた。

ひょっとしたらそれらの活力に呼応して足が進んだのかもしれなかった。

彼らがわたしをここまで運んでくれたのかもしれなかった。

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これはただのあぜ道ではない。
渋滞は常態化している。
信号もない、ルールもないオールドデリーへの一本しかない動脈線は所々で瘤を作っている。
異臭はアラカシャンロードを北に行くほど鼻に突く。

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「あそこらへんには行かないほうがいい!」
「なぜだ?」
「living poor people」
たむろしていた若者が行く先を止めて助言してくれたことを思い出した。
ちょうど今歩いているここら辺だと思う。
この道の動脈瘤の原因は分かりやすい。
牛がその荷台を牽いているし、日本のバス程あるトラックが切り返せなくて立ち往生してる。
中央線がない道路に我先に前へ進もうとしてごっつんこしてる。
多くの種類の乗り物が(サイクルリキシャー、リキシャー、乗用車、牛、トラック、荷馬車、荷台牽き、人力車、徒歩の人間)
が青山骨董通り程の道を行き交う。
リキシャーは容量オーバーでサリーの家族を乗せ、どうにか対向車線にはみ出して、縫っていこうとするが、目の前からくる乗り物とごっつんこ。
トラックが車外に出たおっさんの支持で切り替えしている。
その切り返そうとする先が乗用車でごっつんこ。
乗用車は後ろにも横にも、ごっつんこがあってこれ俺もいけへんで!みたいな。
さぞかし誰もが「頭悪いな!何してんだよ!」と心では憤懣やるかたなくしてるのかと思いきや
「トラックだから。大きいし。しょうがない。」のような理解のように見える。

こんなところでライチを売るな。

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コンセントの元の部分を売るな。

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お前は何か言えよ!

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「Where from?」て聞かれて「japan」ていうの飽きたから「エジプト」て言ったら「日本人のように見えるね笑」て言われる。

カースト制が色濃く残っているインドでは何か乗り物にも序列が決まっているように思える。
それは見受けるところ、歩き→人力車→サイクルリキシャー→バイク→リキシャー→乗用車→トラック→バスの順番で、
あれだけやたらに鳴らすクラクションも目上の乗り物には鳴らさないみたいだ。
どうやら彼らは怒っているからクラクションを鳴らすというよりは「後ろからわたしが来ているぞ、今から横から通りぬけるぞ」という意味で鳴らしているようで、
ここの道路にいるサイクルリキシャ、バイク、リキシャ、乗用車、トラック、バスは当然鳴らす。その結果常時うるさい。
わたしは歩きも人力車も牛も、もし鳴らすものが手元にあったら玄関のベルでもジングルベルでも鳴らしたいのではないかと慮るが、
彼らは序列的にその憤懣を抑制しているように思えたし、そもそもそのような好戦的な感情は生まれないんだろうとも思った。
インドにいるとエネルギーはあるのにそれらは何かによって抑制されている気がする。

そんな「自分がユニークな存在でありたい」という小さな欲がこのリキシャーの屋根の部分なのだろう。

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だいぶ歩いたので陸橋の欄干に座る。

そこにいる「髭剃り屋」を眺めることにする。

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店舗も構えない、屋根もない髭剃り屋。

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あれだけあればどこでもできる。

インドでは必要なもの意外いらない。

おじさんは後ろに置いてある汚いペットボトルから受け皿に水を足す。

何の水かもわからない。
足された水をシャカシャカでかき回して客の顎に塗る。
泡だっていない顎に剃刀を添える。

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ん?ちょっとまって?

あの客のおっさん。。

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あ。やっぱそうか。

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ふざけてるな?
え?本当にふざけてるか?

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もういいわ!

行こう。行かなきゃ。

「10ルピーだ!10ルピーで行け!!」

「メーターが18ルピーから始まるのに10ルピーで行けるか!35だ!」
「そしたら20だ!ここまで20で来たんだ!同じ距離で増えるのはおかしいだろ!」
「オーケー。わかった。20でいいから。。」
「20で行けるじゃねーか!!」
「早く乗れ!」
「ほらよ、(100ルピー差し出す)」
「くずして来い!!」
「お前がくずせ!!」

リキシャーとの値段交渉は最低3台やってみて、
それぞれこちら側から料金提示してその反応で平均を割り出す。
先程の「10ルピー始まり」にはインディアンもびっくりしていた。

大通りを目の前にリキシャーと交渉しているとその交渉が破断した時の為にリキシャーが列を作る。
そして破談すると次のリキシャーがエンジンを掛けて、軽く前に前進してきて運転席側から下あごをくいっとわたしに突き「言って見ろ(幾らだ?)」の合図を出す。
わたしがまた「10」というと「そんなんで乗れるわけねーだろ!」と失望した表情をしたり、「さぁ次を探そう」と走り去っていく。
ここら辺の相場が分からないわたしにとってこれは必要なことだ。
それにリキシャーとの交渉は面白い。

お互いの妥協点を探して「なぜこの値段をわたしは主張しているのか」という、
そこに辿り着いた経緯を説明して論破できるかどうか。
ムチャクチャな要求も真剣に言えば主張になる。
本当は30ルピー掛かる料金も、
「~まで行ってくれ。わたしはここら辺の地理に詳しい。もし道を間違えなかったら25だ。間違えたら15」とか
「今トイレを探しているんだ。15で行ってくれ。もし快便だったら25やる」
というムチャクチャな提示がまとまるかもしれない。

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わたしはアラカシャンロードにあるホテル「アジェンダ」のレストランで先程までのやり取りを思い出しながら
「フルーツバスケット」を待っている。

暫くすると頼んだ奴が目の前に置かれる。

これ「フルーツバスケット」?

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ほぼスイカ。。
周りのお客さんから「無類のスイカ好き」みたいに映っていないだろうか?大丈夫だろうか?

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結構食べたけど、ちょ、多いな。。

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朝食を済ませオールドデリーに向かう。
どのくらい歩くのか分からない。
それでも多分歩けると思う。
多くの興味深いものが疲れを忘れさせてくれるだろう。

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2人の間にはまるで河川が流れているかのようで、

その幅はもしどちらかが後ろに下がり、助走してきて、それを飛び越えようとしてもこちら側には片足も、爪跡を残すことも出来ず余裕綽々で落ちる。
わたしとがたいのいい男はそのくらいの距離で言い合っていた。

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あれからわたしは一人の痩せた青年に話しかけられた。

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「Where are you going!」
外国人が100mも歩けば2,3人には声掛けられるデリーで、
いちいち話を聞き、それでも尚しつこい奴らをわたしはどうにかして追い払ってきた。
「NoThankyou」という予防線はもはやインド人がわたしに向かってきて何か話し始めるか否かぐらいに発するようになっていて、彼らは「いやいや何も話していないじゃないか!笑」と驚く。

そんななか気付いたときには青年はもう既に至近距離にいた。
「Where are you going!Ok,Do you have a map?Ok,come width me!」
そしてわたしが行かない旨をお伝えすると
「you know,There is DTTDC office near here.」

わたしは青年が今口走った「DTTDCオフィス」という者に見覚えがある。
インド初日にわたしを巻き込んだ者だ。
あの時以来わたしの中でどうにかしてこの「DTTDCオフィス」の首根っこを掴み、
これからインドに訪れる日本人が口にくわえられ、持っていかれないようにする為にも追い出さないといけない。

マックもこれ。。嘘だろ。。

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おいおい。これ。こんなところまで連れてきて。。オフィスなんてあるのか?

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「着いたぞ。あそこからMapを持って来い!」って。。

あそこ?インド政府公認の?

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「少年!ちょっと取って来てくれよ!」
わたしが頼むと青年はオフィスに入っていく。
するとがたいのいい男が出てきた。
「やあ!フレンド!!よく来たね!さぁ!中に入れ!地図があるぞ!さぁ!」
怪しいではないか。「さぁ!さぁ!」って。これは怪しい。
サービス業で「『さぁ!さぁ!中に入って!さぁ!』とかいう店は怪しい」というのは、
「初めての都内で訪れてはいけない所の特徴33選」の1桁台に記述されている奴だぞ。
わたしは「お前が来い!」と突っぱねる。青年は近場でその様子を傍観している。
男は「フレンド!何言ってんだ!さぁ!中に入れ!」と遠くから声を張る。

2人の間にはまるで河川が流れているようで、お互い「さぁ勇気を持って飛んで来い!」と鼓舞する。
誰が必ずドボンする所に飛び込むか!
「お前が来い!地図は無料だろ!」
「地図はこの中にあるんだ!早く中に入れ!」
「行くか!そんな怪しいところ!お前が地図取って来い!」
「だから!中に入ってこなきゃ渡せないだろ!」
「なんでだよ!中に入って地図取って来てここで渡せよ!」
「このオフィス中にはインドの地図が大量にあるんだ!」
「一枚でいいから!取って来いよ!でそこから投げろ!」
「中にあるのにどうやって渡すんだ!」
「いいから早く取って来いよ!」
「中は涼しいしチャイもあるから!」
「いいからとって来いよ!」

わたしはこの不毛で何も生えない会話を切り上げた。
DTTDCオフィスが何なのか実態はつかめなかった。
悪い事をしたと思ったのか、立ち去るわたしについてきた青年に確認した。
「ここがDTTDCオフィスなのか?」
「違うよ?」
「じゃぁここどこだよ!どこに連れてきたんだよ!」

その後わたしはニューデリーレイルウェイステーションの外国人専用オフィスに訪れる。
今夜ジャイプルに向けて出発しようと思う。
「今夜ジャイプルへのチケットはあるか?」

何時間か前グルザーに紹介された旅行会社のオフィスで「今夜はチケットはない。ほら。見てみろ。キャンセル待ちがこんなにもいる。」
と知らされた。
チケット販売員は涼しい顔で「あるよ。」という。
「ある?」
わたしは全容が分かった気がする。
「いくら?」
「470ルピー」
「寝台列車か?クーラー付きか?」
「3A」

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グルザーの友達が示したチケット代金は1500ルピー程だから3分の1の料金だ。
「インドの鉄道で片道1000ルピーを超えることはない」という以前の教訓が強く更新される。

なぜ彼らが「今夜のチケットは取れない。ほらこんなにキャンセル待ちがいる」というチケットがあっさり取れたのだろうか?
憶測だが、彼らが提示したチケットは庶民的なグレード一番低い鉄道の事で、最安値のチケットのことだったと推測する。
同じ行き先でもグレードが違うと「60ルピー」程で行ける。
どうにか儲け率を上げるため彼らはその安値のチケットを取ろうとして、

「今日は満席だ。明日にしろ」と提案してきたのだと思う。
グレードの高い、外国人が乗るような鉄道は空席が多いみたいだ。

確かに彼らのやりたいことは分かるが、
時折彼らは本来の正規料金で乗れる鉄道(この場合470ルピー)よりもそのグレードを下げ、サービスを下げ、素人同然の添乗員をつけて1500ルピー頂く。
頂くのはいいが、それに見合うサービスを持ち合わせていなく、
アクシデントにアクシデントを重ね、何十層にもなったそれのたった一つのアクシデントを達成したら喜ぶような節がある。
いやいやまだまだあるぞお前!と言いたくなる。
いつしかこちらもそんな集団にいると遠近感を無くし本丸が霞んで見えなくなる。

わたしのようなジリ貧旅を楽しむような者には安くてサービスもいい正規の場所で切符を購入した方がいいみたいだ。

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わたしはチケットの申込用紙を記入して自分の購入時期が来るのをソファーで待っている。
隣りにいる可愛らしい子供がこっちを見ている。

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そうそう。そんな感じ。

多分だけど、
君と僕は今同じ気持ちなんじゃないかな?