タイの女の子は外国人に買われていた。 それはバンコクのタニヤ通りでもそうだしパタヤでも同じだった。 僕はパタヤでこの国のセックス産業をみた。 よくタイに行くと「タイにいる彼女が忘れられなくて再度タイに行きどんどんのめり込む」と聞くがこの意味が分かった。 僕はある少女達が案内したホテルの一室で ぬるい風を送ってくれるファンを見ながらさっきまでの行動を振り返っている。タイ2日目④ バンコクからバスで2時間掛けてパタヤに着いた時にはもう夜も20時回っていた。 バスターミナルを出たらとりあえず賑やかな海岸線を目指すのだが どっちに歩けばいいのか分からない。 バスターミナルには待っていましたとばかり原付に股がっているおっさんがいる。 それらは決まって「ウェアユゴーイング?」と勝手に話し掛けてくる。 おっさんの多くは蛍光色のゼッケンをつけていてどこかからの「公認」のような格好をしている。 法外な値段を取る悪徳なモトサーでないことをアピールしているみたいだが、手の込んだ悪徳に見える。 その一人に海岸線の方向を尋ねると 「乗っていくのか?」と聞かれる。 僕が「歩いていく。」というと 「海岸線の場所は知らない。」とへそを曲げた。 現金な奴らにさっさと別れを告げて 近くにあるセブンイレブンで海岸線を尋ねる。 「向こうだ。」 ヨーロッパ系の外国人が同じ方向を歩いている。 ついて行けばたどり着くだろう。 ここ「パタヤ」はベトナム戦争に従事していたアメリカ軍の保養地らしく街には英語が溢れている。 ホテルもリゾート丸出しで、 入り口やロータリーには派手な電飾と噴水やヤシの木なんかが設えてある。 要所要所で方向を聞いて歩くとショッピングモールのような所にたどり着いたので安心した。 ショップのセールの時に聞かれるような購買意欲を掻き立てる低音のリズムがどこからか聞こえてくる。 タイ2日目④ ピンクのネオン。 写真では見にくいが、 きわどい水着を着た大勢の女の子がポールダンスをしている。 お店はそれらをオープンにして外国人を呼び込む。 店の前で座っている呼び込みも10人ぐらいでエロ心を誘ってくる。 そんなお店が両サイド100m先まで建ち並ぶ。 ここら辺一帯が「ゴーゴーバー。」(お店で飲んで気に入った女の子を外に連れ出しデートする店) そんな感じだから単純道に迷って元の道に戻ろうとしても 店の前に座っている女の子に「あれ?またこいつだ。好きなんじゃないの?」と思われそうで行ったり来たりできない。 僕は道に迷っていて、 来た道に戻りたいのに恥ずかしいから「ぼくは童貞君」みたいにぐんぐん前に進む。 結果迷う。 あんなに露出されて大勢の前を歩かなくちゃいけないのはなぜか恥ずかしい。 海岸線にたどり着くとここでも白人系の人の多さに驚かされる。 今歩いている左手にはテラスがあるレストランが建ち並び、右手には道路、向こう側はちょっとした石畳があって、ヤシの木が生い茂りちょっとした憩いの場のようになっている。 そしてすぐ砂浜、海という具合だ。 タイ2日目④ 街灯はいいムードを演出しているのか、電気が供給できないだけなのか暗い。 レストランの店頭に置いてあるメニューに目を配らせる。 「外国人価格」になっている。 地元の人は高くて入らないレストラン。 道路挟んで向こう側、 海岸沿いの公園は怪しい。 何をする訳でもないタイの女性が多くて必ず2人組で佇んでいる。 これは明らかに「マッサージ(セックス)」だろう。 すると「どこから来たの?」と誰か話しかけてきた。 見ると22、23ぐらいの女の子。 「韓国だよ。」 「韓国?何日間こっちにいるの?」 「2週間ぐらいかな。」 「ふーん。」 「この辺に安宿ない?」 「どのくらい安い奴?」 「500バーツ。」 「ちょっと待って聞いてみる。」 すると違う女性が現れた。やっぱり2人組で行動していたらしい。 彼女等はまず片方が声を掛けて 何かにつけてもう一人現れるみたいだ。 縄張りもあるらしくそこからは動かないで来た外国人に話掛けるみたいだ。 僕は今来た女の子に同じ話をした。 彼女等は「こっちにおいで?ホテルまで案内してあげる。」と大通りに歩き出した。 「ちょっと待てちょっと待て。どこいくんだ?」 「ホテルよ。」 「自分一人でいけるよ。教えてよ。」 「私たち今日泊まる所ないんだけど。」 「無理無理。お金ないから。」 「私たちお腹空いているんだけど。」 僕はこの手の手法は 形は違えどバンコクで偉い目にあっている。 女性2人組はくすくす笑いタイ語で何やら話している。 「ついてきて。あなた名前は?」 「ケンジ。」 一通り「ケンジ〜!」「ケンジ!」と名前で面白がって、飽きるとスタスタと前を歩き始めた。 変な3人組は大通りを歩き続ける。 「どこにいくの?」という質問も もまあまあ付いてきなよ。という。 最初に話し掛けて来た一人は完全に意志がない。 もう一人はどうにか外国人から巻き上げようとしている。 安宿があることは分かった。 このまま前に行かせて巻いてやろうかなと思う。 彼女等は「何日間こっちにいるの?」と聞き 例えば「6日間」と答えるとその6日間「疑似彼女」を演じて「あそこに行こう」だの「これ買って」だの、お金を落とさせる。 自分の決められているコースに組み込もうとしている。 「個人的なツアー」だ。 それはホテルや飲食店なども予め決まっていて場所によってはマージンをもらえるのだろう。 そして帰国日には涙を流し「彼氏」を見送るとまた新しい外国人の「彼氏」に「あなたは何日間こちらにいるの?」と話し掛ける。 帰国した外国人にしてみればタイに彼女ができたら 「また会いに行きたい。」と思う。 これが『のめり込む』の正体だろう。 結婚すればいいが大体は現役を引退して羽をのばしに来た家庭のありそうな白人のおじさん達。 タイの女性にしてみれば「仕事」 一人では危険な外国人相手の「商売」だからか2人で行動して決して一人にはさせないようだった。 もしくは不景気で2人まとめて相手にしてもらおうとしている?様だった。 ホテルの周りには 明らかに繋がっているでしよ?と思わせるくらい屋台が多くて 手を繋いで「疑似的な恋愛」を楽しんでいる白人とタイ女性を見た。 タイ2日目④ 女性達がその後大通りから路地に入った所に入っていくと 案の定ホテルのチェックインカウンターで「3人で1500バーツだ」とフロントマンに告げられた。 「いやいや僕一人だ」 というと 「こちらの女の子は『3人で』と言っている」 僕は韓国人と言った手前バレないようにパスポートを差し出しながら 「いやいやこの子達は関係ない。」を貫いた。 とにかくセックスなんてしたらどんな奴が出てきて金を請求されるか分からない。 「だから最初に言ったように1人で泊まるんだけど?」 「じゃぁ部屋までいっていい?」 「なんで?」 「トイレ。」 彼女等は部屋でトイレを済ませると「これはあかん」と思ったのか諦めて帰って行った。 冷房が効いていない部屋を案内されたみたいだ。 部屋を確認してからお金を払うという基本的な事も忘れていた。