ラージガードからニューデリー駅まで歩いて1時間以上掛かる。

思えば今朝のビュッフェ以来物を口にしていない。

喉が乾いたらミネラルウォーター。
腹が減ったらペプシ。

ペプシは口に残るので本当に喉が渇いている時に飲むとまた水分が欲しくなる。

インドに来て以来わたしは「ペプシが大好きみたいな人」になっている。

歩いているうちにリクシャーが捕まればと思っていたが
東京でいう「皇居前」のような幅が大きくて往来が激しい道路に歩いている人はわたしだけ。

通り過ぎるリクシャーはお客を乗せている。

ニューデリーまで腹をくくって歩く事にした。

こうして見ると「ディスイズインド」の風景も様々だ。

列の先頭で信号待ちする馬。

インドの馬車
インドの馬車

インドに行けば必ず見ることになる「レモン水スタンド」
インドのジューススタンド
インドのジューススタンド

こんな感じ。
生水は危ない。

インドのレモン水
インドのレモン水

なぜかインド人みんな乗ってるHONDAのバイク。
インド人全員何故かこのタイプでこの車種だ。
インドのバイク
インドのバイク

やっぱりインドはたまにどこ歩いているか分からなくなる。
そんな時地球の歩き方に目を落とす。
汗が「地球の歩き方」に垂れる。
汗で濡れたページを捲って解ったらポシェットに雑に入れる。
ボロボロになってきた。

歩きながらも防犯にも気を付ける。
どうにかして旅行者に見えない工夫をしてみる。

ポシェットを後ろにしてみるが自分の見える範囲、
目の前にないと誰かに強引に盗られそうで怖い。

ポシェットをリュックに入れてしまおうか考えたが取り出しに不便だし
そもそも大事な物が一緒にまとまっているのはよくない。

クレジットカードと日本円がリュックの中に。
これは非常事態用。

トラベラーズチェックが100ドルリュックの分かりにくい所。

ポシェットにはパスポート、
高額紙幣のルピー、
トラベラーズチェック50ドル、
地球の〜、
列車のEチケット、
デジカメ、
携帯、

ポケットには少額紙幣のルピーと小銭。

このポケットに少額ルピーを入れるのには理由があって、
例えば20ルピーのミネラルウォーターを買うときに
ポケットから1000ルピー札が一瞬覗かせたら
多分インド人は色めきたって「あ、こいつ金持ってるな。騙してやろ。」と思うかもしれないし
「1000ルピー!?ちくしょー、日本人は金持ちだな、」と自分を哀れに思うかもしれない。

その証拠に小さなお店では1000ルピーで支払った際のお釣りを持ち合わせていない。

日本円でいうと
1万円のお釣りが50円玉でしか返せない。

50円玉もそんなに大量にないので「使わないでくれ」となる。

100ルピー(200円)のお札ですら、
それで支払いをしただけで店主は近くにいる子供に「おい、ちょっと隣に行って10ルピー札持ってこい」となる。

変な感情を抱かせない為にポケットには少額しか入れないで少額でやり取りをする。
ポシェットに入れないのはチャックを開けた時パスポート類が見えてしまうからだ。

パスポートのありかを知らせるのはちょっと怖い。

ちょっと話しはそれるが、
インドのお札はちょっとでも破れていたら価値をなくす。

日本のようにお札の3分の2以上残っていたら云々ではない。

これまでも
この破れているお札、
ババ抜きの「ババ」をどうにかお釣りに混ぜてきて何気ない顔をしている店主を見た。

ドルからルピーに変える際に銀行員が破れている「ババ」を混ぜてくるぐらいだ。
変えろ!というとバレたか。という顔をするか
「問題ない!」と押してくる、
「問題ないなら違う札に変えろ」とこっちも引かない。

こんな場面が多々ある。

ニューデリーの駅付近
ニューデリーの駅付近

ニューデリー駅に着き寝台列車に乗り込む前に
駅ホームの売店で「袋に入ったお菓子」を買った。

この「袋に入ったお菓子」なら安全だと思ったから買ったのだが、

こちらはこのお菓子3つが全部で何ルピーか分からない。
日本のように表示もされていないし
店の親父が人を見てその場で価格を決めているフシがある。

こちらは言われた額を払うしかない。

「60ルピーだ」
「本当か?」
「本当だ。」

わたしは100ルピー札で払う。

店主はその100ルピー札をじっくり太陽の光に透かしながら偽札じゃないか確認する。

いつもの光景だ。

そしてお釣りをこちらに渡す。

こちらはお釣りがちゃんとあるか数える。
破れているお札は無いが、
20ルピーしか渡されていない。
「お釣りをちゃんとよこせ!」と言うと渋々10ルピー札をよこす。

「あと10ルピーだ!よこせ!」と言うと

ワケわからない言葉で相手にしないといった感じだ。
もういいわ!ボケ!くれてやる!

やはりこちらが100ルピー札で払ったのが間違いだった。
丁度の金額を払うべきだった。

お菓子の値段を一個一個確認すべきだった。

あー腹立つ。

全部で60ルピーの商品を100ルピー札渡してお釣30しか返ってこなかった。
あー腹立つ。

「ここにちゃんと書いてあったんだ。」と
初めてお菓子の袋の隅っこに値段が書いてあるのに気付いた。

あれ?

15、15、10。

あいつ!
全部で60ルピーって言ってたけど!
そもそも合計40ルピーじゃねーか!

騙された!
しかもこのお菓子まずいし!

インドのスナック菓子
インドのスナック菓子

今気付いたがこの頃からわたしは金銭感覚がインド人に近づいていたのかもしれない。

何故なら20ルピー(約40円)で本気で怒っていたからだ。
今でこそ40円で!?だが、

それは値切ったり騙されないようにした
ちょっとした努力の20ルピーだからだと思う。

インドで働いて稼いだお金ならもっと怒れたし感覚は近づいただろう。

それは無理だとして、
「騙された」というのはたとえ幾らでも頭を沸点に到達させる。

その時は気づいていなかったが
多分インドと自分の距離が近づいた瞬間だったのだろう。

寝台列車の僕と同じバースにはたまたま日本人男性2人とインド人のガイドが乗り合わせていた。

インドでアジア人、
さらに日本人は珍しい。

日本語を久しぶりに聞いた。

その人は「日本人ですよね?HISのツアーで大阪から来たんですよ、一人ですか?どこ回ってたんですか?空港から送迎なしでニューデリーですか!?大丈夫だったんですか?リクシャーに乗ったんですか?値段交渉して?大丈夫だったんですか?航空券いくら位でしたか??ホテル代はどの位でした?」と

ガイドさんが困りそうな質問に及んで来た事を感じたわたしは申し訳ないが以後適当な返事をした。

わたしはピリピリしていたが向こうはリラックスした感じだった。

多分いい所を見て
いいご飯を食べているのだろう。

ガイドさんがいて安全を確保されているツアー。

わたしはガイドさんに色々聞きたかったが
わたしのガイドさんではないしその日本人はそこにお金を払っている。

一緒の場所にいて全く違う境遇。

彼らはお互いバックをケアしながら、
わたしは自分の荷物を枕にする事で防犯しながら
肌触りの悪いタオルケットを被ると
列車の中で夕方18時には就寝した。
日本との時差は?3時間半。

これから15時間掛けて列車はバラナシに向かう。

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