バラナシのホテル

バラナシのホテル

バラナシのホテルで見た2010W杯

バラナシのホテルで見た2010W杯

わたしは「このまま1時間停電してたら後半まるまる見れないな。」と思いながら
レストランの窓を開けてここから見える景色を眺めている。

冷静に考えたら比べる物ではないがこの夜景だけ切り取ったら「成田山から見た街並み」や「横浜馬車道の夜景が見える丘公園」「隅田川花火大会」の方が綺麗だな。と思ってしまった。

バラナシには1日にかなりの数の停電がある。
今また停電したところだ。

ホテルの最上階のレストランから夜のガンジス川を眺める。

向こうの方で光っているのは『プージャー』(夜行われるガンガーへの礼拝)だろう。
「18時くらいになるとここら辺で儀式が始まる。」cokeを飲んでいたら出会ったホテルの少年が言ってた奴だ。

もやっとした暑さ。
停電が続いているともちろん施設内は暑いのだがこうやって窓を開けて顔を出していると涼しい。

わたしはイーバカフェを出た後ホテルに戻り、
唯一ホテル内でテレビがある場所、
5階の今は営業していないレストランで
オーナーの友人のインド人とここのホテルの従業員の3人で日本VSパラグアイを見ていた。

こいつら、
センタリング上がっただけで「ウォー!イェー!」
ゴールが入らないと
「あ゛ー!」
でもまぁ今のはナイスプレーだったと思うと
「ホンダイズグッドプレイヤー!」
わたしも
「Yaeh、ホンダイスグッドプレイヤー。」
と調子を合わせる。

すると「ワーオー!」

どうした?と思って画面を観たら遠藤が痛がってる。
インド人が遠藤を心配してる。

緑色の画面で音が流れない14インチのテレビで日本代表のW杯。

この旅は出発1ヶ月前から日本の出発日を決めた。

当然まだ開催前のW杯の日程とにらめっこして日本戦と被らない1週間を予定して決めた。

まさか決勝トーナメントに行けると思わなかったから今週にした。

そしてデンマークに勝利した時インドでは当然「観れないだろうと」と諦めていた。

日本ではテレビのチャンネルは10個ぐらい?新聞に乗ってるぐらいしかないが、
インドのテレビチャンネルはわたしが知る所で50以上あった。(「何個あるんだろう」と思い1チャンから押していったら50以上あり「もういいわ!」としびれを切らし調べるのを止めた。)

そのなかで『ESPN』という局がずっとワールドカップを放映している。

わたしはそれをニューデリーのホテルで確認すると夜は時間があれば観ていた。

家で消したくない番組を消去してHDDに何試合分予約してきたかしれないが、
「なんだ、観れるんだ、」と安心した。

このESPNのスタジオの司会をしている女性キャスターがかなりのグラマーな女性で「ヘイ!ホワッイズハーネーム?」と隣に聞いたら
オーナーの友達のおっさんは「分からない」とそっけない。

右手にいるホテルの従業員の少年に聞いてみたら「分からない。」と同様の答え。

なんだ興味ないのか、と思ったら
インド人はこーゆう女性興味ないのかなぁと思っていたら

少年がテレビに向かって
小刻みに6回、最後に長〜いのを1回の投げキッスをした。

めちゃくちゃ興味あるじゃん!
性に溺れてるじゃん!

その後照れたのか椅子をバタンバタンしながら笑ってた。

いやいや何が面白いんだよ!
しかも投げキッスって。

インドの人は性欲を抑えられているのかもしれない。
インドのテレビCMを見ていると綺麗な女性が突然目の前に現れて、
見とれて、
あ!この商品を買えばいいんだ!と考え、
買ったらあの綺麗な女性が寄ってきて恋人になる、
みたいなCMが多い。

今この少年がやった「投げキッス」は日本では見られない。
日本ではFC東京の平山しかやらない。
彼は投げキッスをして「気持ち悪いからやめろ」と世間に怒られてた。
大変貴重な投げキッスを見た。

岡崎がヘッドをして外したとき2人のインド人が
「サータクリナータ!サータクリナータ!」
と叫んでた。
なんて言ってるか分からない。
この瞬間はさすがに「帰りたい。」と思った。

あと、違う話だが、
パラグアイの監督はかなり怒っていた。

わたしが「ヒーイズベリーアングリー、ベリーアングリー」と言ったあと画面に岡田監督が映る「クール、ヒーイズクール。」と言った。

またパラグアイ監督が映る「ベリベリベーリーアングリー!」
と教えてあげると2人はゲラゲラ笑った。

以後、パラグアイの監督が映った瞬間「ヒーイズベリーアングリー!」と言ったら絶対笑うのでインド人が飽きるまで繰り返すゲームをした。

ホンダが大好きみたいで誰かが倒れると
おっさんが「ホンダ?(ホンダが倒れたのか?)」と心配していたが
実際は大久保で、
わたしが「ノーホンダ!」と伝える「セーフホンダ?」
と聞いてくるので
「ディスイズオークボ!」「ノーホンダ!」
と言う。
「オーケーオーケー!」と安心する。

オーケーじゃないだろ!
大久保痛がってるじゃねーか!
なんで大久保が怪我したら「オーケーオーケー!」なんだよ!

そしてそんな事してるとテレビの画面が岡田監督の心配そうな表現を映す。

わたしはすかさず「ヒーイズクール!」

そしてお約束なのか、
次に画面はパラグアイ監督を映す。
わたしは間髪いれず「ヒーイズベリベリベーリーアーーーングリー!」

インド人ゲラゲラ笑ってる。
こいつら言い方か?
あー面白い。

こーゆーのもあった。
インド人に日本の代表選手の名前を紹介する。

画面が松井を映す。
「ディスイズ、マツイ!」インド人頷く。

画面が遠藤を映す。
「ディスイズ、エンドウ!」
インド人頷く。

画面がパラグアイ選手を映す。
「アイドンノー!」

インド人が「そりゃそうだ!」みたいに笑う。

そして思いがけずパラグアイの監督が映る。
「ヒーイズベリベリベーリーアーーーングリー!」

ゲラゲラ笑う。

笑い過ぎて腸が絡まって明日からカレー食べれなくかもしれない!とこちらが心配するぐらい笑ってた。

そして前半が終わったら停電した。
「あ!」

わたしが今もし日本にいて、
例えば日本戦を観てる最中テレビが故障したとしたら
わたしはどうにかしてテレビの観れる場所までバイクを飛ばすだろう。

わたしは「あ。」と思ったが、意外とすんなり停電を受け入れ「まぁいっか。」と断念できた。

これもインドだ。

「これ1時間停電したら後半まるまる見れないな。」と思いながらレストランの窓を開けてここから見える景色を眺めてみた。

向こうでプージャーがやってる。
冷静に考えたら比べる物ではないがこの夜景は「成田山から見た街並み」や「横浜馬車道の夜景が見える丘公園」「隅田川花火大会」の方が綺麗だな。と思ってしまった。

向こうの方で真っ暗の中宗教の音楽が外で流れている。
夕方見た火葬場はまた黒い煙を吐いている。

本当にずーっと焼いてるんだな。
あそこでまた泣いている人がいる。

大人達が叫ぶ声が下から聞こえる。
辺りが見えないから声が大きくなっているのか、
もしくはもとからそういう人なのかもしれない。

ガイドブックに載っていた。
インドに持って行く持ち物に「懐中電灯」がある。
わたしは持ってこなかったが
「こういうことね。」
下の通りで小さい丸い光が辺りを走ってる。

モンキーが屋根と屋根を行き来してる。

停電してから数十分経った。

目が「暗順応」になってきた。

「ホンダ好きのおっさん」と投げ「キッス少年」が一旦どこか行ってしまった。
真っ暗なレストランに僕一人だ。

この停電はこれまでのインドの旅を思うのに十分な時間を与えてくれた。

騙されて騙されて来たけどそれでも旅をしなくちゃいけない。
誰かに助けてもらわないと旅ができない。
「インド人を嫌いにならないで?いい人もいるから。」となだめた少年。

さっきサッカーを一緒に観ていた「ホンダおっさん」は日本人の僕より悔しがったり興奮していた。

そしてゲラゲラ笑い
お前は「クリケットをやるか?」とインドの国民スポーツの話題をしてきた。

もしわたしが「やる。」と答えたらさらにおっさんは興奮してただろう。

おっさんは「ここに何日いるんだ?」と聞いてきた。
僕は分からない。まだ決めていない。と伝えた。

ひょっとしたら帰ってほしくないのかな?
と思った。

ガンジス川の目の前で、
外はプージャーの金物を鳴らす音が響き、
インド人2人に挟まれて日本代表の決勝トーナメントを観ることができる。

わたしはこの時
この旅始まって以来感じることなかった幸福感を覚えた。
もし僕が明日日本に帰る事になってもこの旅は「成功」だったし「幸せだった」と思える。

今まだ停電している。
この「停電」はインド国民全体の「一服の時間」のような気がする。

人々が停電で慌てている事はなく、
一回それまで考えていた思考をシャットアウトして想いにふける時間のような気がする。

まぁわたしはタバコ吸ったことないから分からないけど。

この時
わたしはガンジス川を見ながら何回「インドに来てよかった。」
「幸せな時間だなぁ。」と思ったのか分からない。

多分それは現地の人と「心が通った」からだ。

わたしはこの時「旅」ってなんだろう。と思い自分なりに考えてみた。

有名な建物を見たり美味しい伝統料理を味わう。

あーなるほどね。と文化の違いに頷く。

わたしの場合、今のところそれで感動はしていない。

初見のガンジス川も「川がやせてるなー!」
と思ったぐらいだ。

わたしは「見るのが旅ではない心が通うのが旅だ」
と思う。

現地の人の心を感じて自分の心を現地の人が感じてくれた時
全く宗教も言葉も違う国の人と暖かい気持ちが生まれる。
これは「ガンジス川を見た」という事実より感動することが分かった。

停電が終わると日本戦はPK戦になっていた。

わたしは日本が外しても入ってもどっちでもよかった。

多分それはインドにいる事でかなり日本との「距離」があったからだ。

わたしは今インドにいるので重要ではなかった。

わたしは日本がPKを外したとき全く悔しくなかったが
両サイドのインド人は僕にこーやってほしいんだろう思い
わたしはあえてオーバーリアクションで「あー!」といい椅子から落ち、頭を抱えてうずくまった。
両サイドは「この日本人!頭かかえてるよ!あははは!」みたいな事を言い合ってたと思う。

笑っていた。

その時は笑っていたけど本当に試合が負けた時は
両サイドのインド人はどうしていいかわからなかったのか
声のトーンが一気に下がり残念そうな表情をしてた。
わたしはこの空気は俺次第だなと感じると「グッドゲーム!」を明るく繰り返した。

向こうも「グッドゲーム」と明るく努めた。

この楽しかった空気を壊したくない。大事にしたいと思ってとった3人の行動だった。

心が確かに通っている。

画面に「カミングスーン、スペインVSポルトガル」と表示されると
「また12時にレストランに来るだろ?一緒に観るだろ?」と誘ってくれた。

わたしは当然だよ!
と言うと部屋に一回帰ってシャワーを浴びた。

さて「サッカーも観終わったし、オーナーとプランを立てるか!」とフロントに行く。
何かいい案を考えてくれてるかな?
取れるチケット見つけてくれるかな?
と思っていたら
フロントの人に

「オーナーはもう寝たよ」と言われた。

全然心が通ってないじゃん!
寝るかね!普通!
あいつが食事してサッカー見たら考えようって仰って!
寝るかね!
いい夢見れるのかね!

わたしは明日は移動しないで

1日バラナシを回ってまたこのホテルに泊まる事にした。

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