そのおばあちゃんは 「私達お見合い結婚だったんです。」 と痴ほう症で記憶もなく、
言葉も喋れない、
耳も聞こえない、
長年連れ添った夫に流動食を運ばせながら語りました。
テレビのインタビュアーが「旦那さんはあなたの事誰だか分かるんですか?」と聞きます。
「分からないんじゃないですかね」 さらに「今この現状辛くないですか?」と尋ねると
その女性は笑顔で 「幸せです。 だって心臓病じゃないし、
ガンでもないんですよ。
この人がこうしてずっとそばにいてくれる。
それだけで幸せなんです。」と語ります。
僕はそのおばあちゃんが記憶をなくした夫を介護してもなお幸せそうに笑いながら語る姿に
あ、これやばいな、と目頭を熱くしてたんですけど、
おばあさんは 「夫がボケ始めた時に唯一嬉しかった事」を語ります。
「私がずっーと、 食事のめんどうをみたり、 身体を拭いたり、 散歩連れていってたら、
この人急に私に向かって 『あんた誰だ?』って言うんですよ。
私びっくりしちゃって!
結婚して何十年も一緒にいるのに、 私の事誰だか分からないなんてね(笑)
私も記憶をなくした夫に説明するのもと思って、 「『あなたの世話してる人』です。」って言ったんです。
そしたらこの人何て言ったと思います?
『そうか、僕の妻としてずっとそばにいてくれないか?』って。」
「私達お見合い結婚だったんです。」
「その時初めてプロポーズされたんです。(笑)」