明洞を左後ろにして『南山洞3街』と呼ばれているソウル芸術専門大学がある方向を見ると小高い丘になっている。
そこの交差点はおよそ6叉路になっていて車が青に変わるとビュンビュン降りてくる。
とりあえず歩いてはみたものの興味の向くままに動くとさすがに体力を消耗する。
「迷った。」
僕は迷ったらすぐに聞く事にしている。
向こうから歩いてくる酔っぱらいの韓国人3人組に道を尋ねる。
「オーケーオーケー。センキュー。」
何を言ってるかさっぱりだ。
僕に道を尋ねられたその韓国人は聞いている間に仲間に置いてかれた様だ。
「あれ?連れがいない!」みたいになっている。
「あっちに行ったよ。」
男性は何やら叫んでいた。
ここは「乙支路4街」という駅の近くらしい。
韓国のパトカーが青いパトランプを回して巡回している。
近くに立っている人に「あれはポリスか?」と尋ねた。
「そうだ。」
という。
「これは何だ?」
完全に風俗だ。
また知らないふりして入っていろいろ聞いてみよう。
「カラオケ」だった。
こんなカラオケの看板あるかね!
後に韓国の人に聞いてみると韓国のカラオケはキャバクラのように女の子が一人一人に付くカラオケがあるらしい。
だからこのような妖艶な看板なのだろう。
深夜だからか何もやっていない。
僕は明洞に戻る事にした。
明洞中央路の近くに開いている韓国料理屋がある。
僕はそこに入りビビンバを頼んだ。
あー、腹減った。
機内食しか食べてない。
左の座敷で食べているカップルはすぐに日本人と気付いたみたいだ。
あのおばさん店員は僕に水とキムチ類をテーブルに置くと写真の様に座ってテレビ見ちゃってる。
この水飲めるのかなぁ。
ミネラルウォーターじゃなさそうだな。
大丈夫かな。
いや、やめとこう。
あのおばちゃん店員。
入り口に背を向けて
テレビ見入って
お客さん来たら気付くのかなぁ?
やっぱりだ。
案の定、
お客さんに「お客さん来たよ?」と教えられてる。
既に中程まで入ってきたお客さんを適当に接客する。
面倒臭そうにオーダーを取っている。
すると次にそのおばちゃんは僕の席にやって来た。
「ん?何?」
何やら言ってる。
「肘?」
見るとテーブルに肘をついていたちょうどその所に「呼び鈴」があって鳴っていたらしい。
「ソーリーソーリー。」
というと
なんとも形容し難い顔された。
次誤って押したらどうなるのだろう。
殺されちゃうかな。
いや、殺されはしないだろ。
嫌がらせされるかもな。
注文したビビンバが勝手に納豆ご飯に変更されちゃうかもしれない。
そしておばちゃんはまた定位置に戻り、
「テレビっ子」になる。
しばらくしてビビンバがテーブルに提供される。
それと一緒に会計の紙をテーブルに置かれる。
普通「会計表」って分かりやすいものだと思っていたけど。
全く読めない。
俺は何を食べているのだろう。
この店で暫く旅の記録をノートした後、今日の計画を立てる。
時刻は朝5時50分。
そろそろいこうか。
日の出前なのか、
それとも今日は曇りなのか空はどんよりしてる。
ガイドブックを丸めてポケットに入れると僕は南大門(ナンデムン)の方を目指す。