三夜連続でお送りしております。一夜目の今夜は

『膝』という話です。

汚い話なのでお食事中の方は読まないでください。

桂子(母親)は必ず連休があると神奈川県の『金沢文庫』(八景島シーパラダイスがある所です。)まで自分達、子供等を連れていきました。

おばあちゃんちです。

連休には必ず行ってました。

埼玉の『久喜』(森田の実家)から『金沢文庫』まで電車で2時間くらいです。

遠いんです。

けんじは乗り物に酔いやすい子でした。

本当にダメで、例えば車だと信号待ちの時の微妙な揺れで吐くし、電車では駅に着くたびブレーキがキキーーーーイってなった後何段回も減速する、あの感じで吐いちゃうのです。

おばあちゃん家に行くときは必ず電車の中でゲロを吐いてました。

タケヒロ(兄貴)もけんじ程ではありませんが吐いてました。

兄弟揃って弱いんです。

そんなある日。

おばあちゃん家に行くことになりました。

その日も桂子に

『酔い止め薬飲んだ?ビニール袋持った?何か遊び道具持った?』と出発前に確認されました。

事件があったのは品川からの電車に乗ってボックス席に座ってた時です。

各々の位置は、

窓際の向かい側に桂子。

手前の通路側、桂子の隣にタケヒロ。

通路側タケヒロの前にけんじが座ってました。

桂子 タケヒロ  通

けんじ 路

↑こんな感じです。

(みんな向き合って)

ガッタンゴットン

ガッタンゴットン

電車が動きだします。

暫らくするとスーツ姿のいかにも営業マンというキッチリ決まっている男性が『すいません、』と言う感じで奥の席に座りました。

桂子 タケヒロ  通

男性 けんじ 路

↑こんな感じ。

ガッタンゴットン

ガッタンゴットン

横浜辺りを過ぎると

桂子が聞いてきました

『けんちゃん、大丈夫?大丈夫なの?』

タケヒロも聞いてきます

『けんじ、おまえ大丈夫か?』

キキーーーーイ

その駅でのブレーキは大丈夫でした。

ガタンゴトン、ガタンゴトン、

電車が走りだします

桂子が聞いてきます。

『けんちゃん、ダメになったら言いなさい?ボックス席なんだから吐いちゃだめよ!?』

タケヒロが圧をかけます

『お前、絶対吐くなよ?』

『けんじ!!聞いてるのか?』

誰が何を言ってるのか、いまいち分からなくなってました。

『けんちゃん!!』

『けんじ!!』

キキーーーーイ

『・・・・・。』

『けんちゃん!袋!!』 『けんじ!袋どうしたっ!袋っ!』

『・・・・・。』

ギリギリセーフでした。

ガッタンゴットン

電車が走りだします。

ただこのままじゃまずい

と思った桂子が言いました。

『けんちゃん!遊び道具は!?遊び道具!!』

『そうだ!お前、遊び道具何持ってきた!?』

『たけちゃん!けんちゃんのリュックから遊び道具出してっ!』

『けんじ!!ほらっ!これで気分紛らわせ!』

けんじは気を紛らわす為に自分が持ってきた本を読むことにしました。

『ウォーリーを探せ』です。

電車のブレーキ関係なくすぐに気持ち悪くなりました。

『けんじ!!大丈夫か!?』

『けんちゃん!!』

『けんじ?』

『けんちゃん?』

キキーーーーイ!!

ゲロゲロゲロー。

『あっ・・・・・・!』

『あっ!』

『。。。。』

すると兄貴がけんじの袋にからの匂いにやられたのでしょう。

『けんじ・・・、袋、ちょっと貸せ・・・・。』

ゲロゲロゲロー、

すると桂子が

『ちょっと!けんちゃん!たけちゃん!ボックス席でいい加減にしなさい!!

『あれ・・・お母さんもなんだか気持ち悪くなってきちゃった・・・・。』

ゲロゲロゲロー

桂子は鼻からゲロを出してました。

けんじとタケヒロは袋の中に出したのですが、

桂子は向かいの男性の膝に吐いてました。

~第一夜~『膝』