母親とテレビ

先日母親にテレビ買ってあげました。
なぜその程度で記事するかという問いには森田家のテレビに対する戦いがあったからです。
また、今回のこの出来事は私にとって大変ショックな事だったのです。

「母親はテレビを見たことがない」といってもいいと思います。
今の実家は物理上テレビが兄の部屋にしかなく、兄の部屋に立ち入らない母親は
テレビを見ないし、見たくもない性格なのです。

「見たくもない性格」というのは、
昔の母親は「テレビをみると馬鹿になる」という偏った考えを持っていたからです。

テレビを見る→勉強する時間がなくなる→馬鹿になる
という考えだったのです。

一言でゆうと教育熱心だったのですが、
それはテレビだけに及ばず

よく私たち兄弟はいろいろ規制されて育てられました。
ゲーム、友達と遊ぶこと、外で遊ぶこと、
これらは全て「そんなことやる暇あったら勉強しろ」
という考えからきてました。

このような母親だったのですが、
そこをかいくぐるのが子供です。

私たち兄弟は隠れてテレビを見ようとして、
母親が自分の部屋に入ったら、
共有スペースのテレビをつけたりして、
「こっちに来た!」と思ったら手で消しました。
その頃のテレビはいわゆるブラウン管でリモコンがない為常にテレビの前ですぐ消す用意をしながら近距離で見る必要があったのです。

それでも母親の来るタイミング次第でテレビ鑑賞が見つかります。
そこで私たち兄弟は、
それまでの1階の共有スペースに置かれていたテレビを2階兄弟の部屋に持って行って遠ざけたりしました。

それでもたまに1階母親の部屋から

「テレビ見ているでしょ!!」

と怒り口調が飛んできて、
「見てないよ!(本当はみている)」
「音が鳴っているじゃない!!」
「ラジオだよ!!」
という「くだり」がよくありました。

(ラジオならいいのかい!と今では突っ込み入りますが、、)

それでも納得いかない母親は
子供部屋がある2階まで上がってきて、
「見てるじゃない!!」
「見てないよ!」
と始まります。

今から思えば子供の嘘ですので大人は見破ります。
2階の階段を上がってくるうちに消したテレビに対して近距離、かつ、真正面で座っていて
「見てないよ!!」
は分かりやすかったのでしょう。

それでも現行犯で捕まえたい母親は
階段を音を立てず「抜き足差し足忍び足」で上がってきて来るではありませんか!
急に、
「見てるでしょ!!」
うわびっくりした!!
です。

こっちも負けじと
それを前もって予防する為、
弟であるわたしが、
見張り役となって、
ちょうど階段下が見える位置と、
テレビが見える位置にいて、
こう、

「どっちも見える位置」で楽しみながらも
親のイベントを監視していました。

親も親で、そのような「見張りがいること」自体
「テレビをみている証拠」となっていたのだと思います。
階段下から、
「テレビ見ているでしょ!!」
「見てないよ!」
「じゃあなんでそこにいるのよ!!」

このようにテレビにまつわる私たち家族の戦いは子供の頃から中学卒業するぐらいまで続きました。
あのころの親は感情的な言葉で言うと「ちょーこわかった」のです。

20年以上前の母親の考えはそんな感じでした。
最近母親が軽い病気で入院した際に
病室でテレビを初めて「ちゃんと見た」のでしょう

以前実家に帰った際に「何か欲しい物ないか」尋ねたら、
「テレビが欲しい」と言いました。

これは私にとって大変ショックでした。