※今日の文面は作品を紹介する手前堅いし長いです。
浅田次郎作の『憑神』は幕末を舞台にして「人生を自分で切り開いていった男」の話です。
今日から東映系映画館で公開なのですが自分は筆者の言いたい事が直接表現されている小説(原作)そのものから入りました。
監督の趣きや、俳優のイメージが色濃く出てしまう映画は「本当に原作者が言いたい事が2時間で表現されているのかなぁ」とどうしても疑ってしまうからです。
自分のイメージの中で描かれる主人公と作者の真意、行間を読むには大元である原作をから読む事をお薦めしまして、、、
「憑神」の内容はというと、、、、
ひょんな事で主から絶縁され、妻子供にも逃げられた貧乏後家人別所彦四郎が、この界隈では誰もが避けて絶対に拝まない「三巡稲荷」に酔っ払って拝んだ事から“かなり迷惑な神様”にとり憑かれる所から始まります。
浅田次郎さんの小説には『天切り松闇がたり』『壬生義士伝』の様に「仁義」「忠義」「義侠」等、武士道発~江戸っ子着の男臭い話があります。
この『憑神』も武士道とは?を考えさせられ、何より設定がおもしろいです。
タダでさえ自分の身の振り方で悩める幕末の乱世に、貧乏な男に「貧乏神」が憑き、さらに「疫病神」「??神」(←これはお楽しみ)が降り掛かります。
最後の憑神をどうするのか?彦四郎の変わり様が見物です。
自分が「憑神」を読んでいて刺さった一節は
「命は限りあるから虚しいのではない。限りあるから輝かしいのだ。」
です。
結構ヘビーな文面ですが浅田次郎さんの真骨頂に触れられる小説です。
ちなみに森田が好きな浅田次郎作品は、
『姫椿』の「再会」「オリンポスの聖女」
『椿山課長の七日間』
『鉄道員』の「ラブレター」
『月のしずく』の「月のしずく」、「ピエタ」です。