ガンジー空港からニューデリーに出るにはバスかタクシーかリクシャーに乗らなければならない。

初日インドに着いてすぐそうしたように僕はニューデリー行きのバスに乗ろうとした。

国内線のバス乗り場は国際線のそれとは違い空港から少し離れた場所にある。

そして30分に1本の運行。ただ待てども一向に来る気配がない。
炎天下の中で待っているにはこたえる。

わたしが道路で待っているとリクシャーがやって来ては「いくらだ?」と聞いてくる。
要は「お前はいくらでニューデリーまで行きたいんだ?」略して「いくらだ?」だ。
わたしはトラブルは避けたいのでできるだけ流しのリクシャーは使わない。

地元のインド人はわたしが拒否したリクシャーと交渉して話がついたのか乗り込んでゆく。

わたしは30分待っても来ないバスを諦めてプリペイドタクシーを利用する事にした。
プリペイドタクシーはその名の通り料金先払いの定額制のタクシーで料金は公共機関に払う。

宝くじナンバーズを売ってるような箱詰めの中の人に行き先を行ってお金を払う。
2枚綴りのレシートが貰えて書かれた番号のタクシーを探す。
運転手にそれを見せて確認してもらい乗る。
目的地についたら綴りの1枚を渡してお互いちゃんと「送りましたよ。」「着きましたよ。」の証明になる。

もし目的地に着かなかったら綴りを渡さなければ良い。

多分運転手は公共機関にそれを渡しお給料を得るのだろう。

インドではよくタクシーやリクシャーに違う場所に連れて行かれたり、着いてから料金でもめたりするのでこのような「プリペイド」があるのだろう。

地元のインド人は流しのタクシーを利用する人が多いが、外国人はプリペイドタクシーを使うのが大半でそのチケット購入に長い列が作られていた。

180ルピーを払って、タクシーの運転手を探し、
コンノートプレイスの『ゴール・マーケット』に行くようにを伝える。

初日インド人でごった返す空港からの市バスが50ルピーだった事を考えるとかなり高い値段だ。

ニューデリー発アーグラカント行きの列車に乗る前の2時間でマンゴーティーを買うことにする。

世界の歩き方

世界の歩き方


ゴールマーケットというのはそこら辺周辺の地帯の事でお店の名前は「プレミア」。

タクシーの運転手は15才ぐらいの少年だった。

リキシャー

リキシャー


空港から市内のタクシーに乗ると階級社会を垣間見ることができる。

バスはタクシーや乗用車にクラクションを鳴らし、
タクシーや乗用車はリクシャーにクラクションを鳴らし、リクシャーはバイクやサイクルリクシャーに鳴らす。

道路を歩いている奴には全員でクラクションを鳴らす。

このタクシーの運転手もそうだが鳴らす事や鳴らされる事に何の感情もない。

日本ならそんなに鳴らしたら前でハザードたかれて降りてくるぞ!なのに。
鳴らされた方も鳴らした方も怒っていない。

黒いタクシーは「ここが『ゴールマーケット』だ」と車を一旦停めて言い張る。
マーケットと言うからにはお店群があるはずだがフロントガラス越しに見えるそれらは廃墟と化してる店とも言えないものだった。

「ここが?」
「そうだ。」
「わかった。」

わたしが降りると運転手は降りた場所にたまたまいたインド人を乗せてまた走り出した。

ここはコンノートプレイスからも郊外で車がどんどん行き交う場所でインドでは珍しく『信号』がある場所だ。

今のところインドで『信号』があったのはラージガード付近に1つと『ゴールマーケット』の2つだけだ。
わたしは歩き始め
ボロボロのお店で何かをしているインド人にガイドブックを指差し「ここに行きたい」と伝えた。

すると向こう側の道路沿いだという。

わたしは車が行き交う大通りをインディアンスタイル(車がビュンビュン行きかう道路を平気で横切る)で渡って歩き始める。

暫く歩いても一向にそれらしい風景が与えられないのでわたしは真面目そうなインド人に道を聞いてみるが分からないといった表情をされる。

すると「どうしたんだ?」とリクシャーの運転手が降りてきて「地図を見せろ」という。

ここら辺に詳しい奴なんだろうと見せると
「分からない。ただ地図がある所を知っている。まず地図をもらいに行こう。」という。
わたしは「この地図じゃ分かりづらいのだろう」と思い乗る前に「いくらだ?」と値段を求める。
「100ルピー。」この短い距離で100は破格だがしょうがないと思い乗る。

汚いボロボロのリクシャーが走る。

「その周辺に地図が置いてある所がある。連れていってやる。」
「お前はそこで待っていてくれるのか?」
「待ってる。」
「分かった。」

暫くして先ほどタクシーで降ろされた場所付近、
ちょっと奥ばった砂利道に入ってゆくとリクシャーは停まる。
「ここだ」と指摘され100を渡すとリクシャーは去っていった。
「あれ?待っていてくれるんじゃないの?」と思ったが「まぁいいや」と思い
狭い入り口をカランコロンカランを鳴らしながら入ると涼しい。
部屋周りを見ると個別に話を聞くような仕切りが何列かにされていて『塾の個別部屋』のような印象を受けた。

地図だけもらいたい旨を男に伝えると、
「奥まで行け!座れ!座れ!」と何かこちらがやったかのような語気で指示する。
奥まで来たが「座れ!早く!」とさらに怒られる。
言い方に頭にきた僕は何も言わず帰ろうと出口に向かって歩いた。

屈強な男が「どうしたんだ?」と聞いてくる。
「お前の言い方が気にくわない」と伝えても「イイカタ?」と反応するだけで通じないのか「いいから座れ、何があった?」と聞いてくる。
怒って帰る外国人に「どうしましたか?」とここだけ日本語だった。

腹立ってそれ以上は無視をする。
外に出るまで無視をして
砂利道を大通りを目指し歩き始めると後ろから物が飛んできた。
見ると男が笑いながらかなりバカにしたような言葉を浴びせていた。

何を言っていたか分からないが多分屈辱的な言葉だったはずだ。

これにわたしは腹が立ち何度暴言を吐いたか知れない。
ここには書けないような暴言を浴びせる事でしか解消されなかった。

こうしてまたインドが嫌いになった。

あのリクシャーは鼻っからここが旅行会社だと知っていて
外国人が迷いやすいここら辺でそれをピックアップして「とりあえず地図を手に入れよう!」という誘い水で乗せるとここで降ろし旅行会社からいくらか貰うのだろう。

旅行会社は来た外国人に対し高額なツアーを組ませる。
わたしはその対応や怪しい個室部屋からすぐに出たが、

この流れるような早い展開から騙される旅行者は多いと思った。

多分座ったら最後、入り口を塞がれ、全く関係ない話をされるのだろう。

わたしはバラナシで平和ボケになってた。
ここはニューデリーで観光客相手にいかに金を盗るか考えている猛者がいる街。
「日本人か?」と聞いてきたらもう怪しい。
「Sit down」と座ることを勧めてくるのはただじゃ帰らせない証拠。
人に道をたずねている時、間に入ってくる奴にはついていってはダメ。

わたしはこれらを教訓にまた土産物屋さんを探す。

暫くして僕が人が良さそうなインド人に道を聞いているとまた輩が間に入ってきて「連れて行ってやる。」という。

さっきのこともありもううんざりで無視をする。

最初道を聞いた人は「知ってるならこの人についていきなさい。」みたいになっているがわたしが許さない。

無視して「あなたに聞いています。」という。

するとクソ男は「俺が案内する!」とうるさい。
たまりかねて
「お前には聞いていない!どっか行け!」と強く当たる。
男は「何でだ、俺はその店の者だ!」と分からない様子。
わたしは「いいから消えろ!」とクソ男を相手にしない。
初めに道を聞かれたインド人は「どうしたんだこの二人は、」みたいになっている。

そいつは本当に店の従業員かもしれない。
ただ人と人が話している時に間に入ってきて「知っている」はインドでは完全に騙す輩だ。

またさっきの二の舞だ。

わたしは隣にあった名前も分からないファーストフードに入り店の従業員に道をたずねる。
すると男も入ってきて「俺がその店の従業員だ」とファーストフードの従業員にいう。

もうしっちゃかめっちゃか。

ファーストフードの従業員にしてみれば
「ここの店に行きたいんだけどどこにある?」という日本人と「俺がそこの店の従業員だ。」という奴が2人同時に入ってきてケンカしている。

なんのこっちゃわからないだろう。

「俺は店員さんに聞いているんだ、消えろ!」
と伝えても去ろうとしない。
こんな奴が紅茶を売っている訳がない。
状況が分かったファーストフードの店員はその男から名刺をもらうと退店してもらっていた。

わたしにその名刺を見せてくれる。

偽者の名刺

偽者の名刺


この名刺。
名前の所が◯◯になっている。
店の名前を本家と似せて、重要な箇所は伏せてある偽物。
セブンイレブンに行きたい人にこの『セブ◯◯レブン』という名刺を見せて「俺はここの従業員だ」と信じさせる。
それだけで作った名刺。
こういう手の込んだ事をする奴が本当に多い。

よく見ると行きたかったお店の名前「プレミアム」が小さい住所のようなところに書かれている。

男はそこを指差してお店の名前がここに書いてあると伝えた。

わたしは店員に「これは偽物だ。」と伝える。

インドでは日本で売られているガイドブックに出てくる店の名前は既に知られていて
それの名前に似せた店が乱立し、偽名刺まで作られている。

これはバラナシで見たサリー屋さんの写真。

日本語で書かれている

日本語で書かれている


暖簾にはガイドブックの名前が書いてあり「203ページに載っています。」と書かれている。

日本語で書かれている所がもう既に日本人向けのお店、高額な品物が置いてあるという証。

わたしは多くの日本人がガイドブックを頼りに来ている事をインドが既に知っている現実を
ただの広告や宣伝といった生ぬるいものではなく、
『ぼったくりのアイデア』になっている事を実感した。
この写真を見た時、
「ぼったくりに遭わない事は不可能だ」と思った。

その証拠に昨日まで泊まっていたバラナシの「サンモーニ」もよくよくガイドブックを見たら『一泊50ルピー』とうたっている。
100円。
だか言われた金額は550ルピー。1100円。

インドでは「言っていた事と違う!」と思う事が何度もある。

現地でたまたま会った少年に「うちのホテルは100ルピーだ」と言われてついていくと別の奴が200ルピーだ。と跳ね返す。

この「ガイドブック掲載金額」と「行った先で言われた金額」が違う事がまさにこのガイドブックは現地の少年と同じ事をしている事にはならないだろうか。

つまりこの旅のわたしはガイドブックを信用し過ぎたんだと思う。

ファーストフードの店員さんが改めて地図を書いて丁寧に教えてくれる。

書いてもらった地図

書いてもらった地図


ここら辺は地図の通り丸い大きなロータリーのような場所に位置する為、今どこにいてどの道がどこに位置しているのか分かりづらい。

必然的に道案内に化けたインド人が寄ってくる。

わたしは貰った地図頼りに修羅場のファーストフードでコーラを飲んだ後出ると
また歩き始めた。

すると「ヘイヘイ!困っている事はない?」と言ったような男が話掛けてきた。
続けて「持ってるよ?ほら!」と見せられたのは

お馴染みのガイドブック
「地球の歩き方」だった。

まさかインド人が日本で売られているガイドブックを持っているとは思わなかった。
わたしは手の込んだやり方に「そこまでするか!」と静かに驚くと無視してぐんぐん歩いた。

紅茶1つ買うのにこんなに疲れるとは思わなかった。
もうインドでお土産を買うことはないだろう。

コンノートプレイス郊外からニューデリー駅迄、
わたしは暑い日差しの中「タクシーに直接ニューデリー駅まで行ってもらえばよかった、」と後悔しながら歩く。

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