【アーグラの夜猿】あらすじ

ニューデリー

私は長いフライトの所為で腰を痛めたみたいだ。

どこをどうひねれば元の腰になるのか入国審査までひねりながら歩いていた。

日本人はいないみたい。あれは韓国人だろう。

そういえば機内で席が隣だった韓国人はどこにいったのだろう。

むんっとした空気の空港内に響き渡るアナウンスに耳を傾ける奴はいなく英語のプラカードを持った奴が市内まで送るお客を探している。

空港でドルをルピーにした方がいいとガイドブックに書いてあったからその通りにした。

もし空港で太陽のポーズをした方がいいとガイドブックに書いてあったら私はそうしてたかもしれない。

ガンディー国際空港に着き、市バスに乗ってとりあえずニューデリー迄行かなくてはならない。

バスターミナルが見当たらないのでカタコトの英語で尋ねると「あそこだ」と教えてくれる。

汚いバスに乗り込むとインド人が乗り込んできた。

彼等は一様に驚いた表情で私を見て、暫くすると飽きて、黙って出発を待っていた。

どうやらこのような「市バス」で市街地に向かう外国人は珍しいらしい。

皆タクシーで向かうらしい。

私は遅れて徴収しに来たインド人に(バングラディッシュ人かもしれないしパキスタン人かもしれない。)訳も分からず何ルピーか払いバスに乗る権利を得た。

1000ルピーだ!といわれたら1000ルピー払っていたのかもしれない。

この150ルピーが高いのか安いのか私には分からない。

バスはやがて動き出した。

驚いたのは車のクラクションだ。
日本ではクラクションは「危ない!」の意味で鳴らしすが、
インドでは「おい!来てるぞ!」の意味で鳴らす。

インドには車線がない。

だから走っている車の横を通り過ぎる時「おい来てるぞ!」と鳴らす。

皆が皆隙間を縫って走行するから皆が皆クラクションを鳴らす。

それも1回につき何回も鳴らす。「プーップーップップププ」これで1回分。
これを何回も、
車の横を通りすぎる度に鳴らす。

あなたが住んでいる近くにある一番大きい道路を想像してほしい。
他の車を通りすぎる度、対向車が来る時、全ての車が何回もクラクションを鳴らして行き交ってる所をだ。

つまりは秩序がないのだ。
危なくないのに鳴らす。

外から見える景色は私にとって新鮮で異常だった。

広い道路の路肩でレンガを積む小さい子供

どこからかリヤカーで石材を運ぶ少年

空港から歩いて市街地に向かう家族の集団。

タクシーはバスを抜かし、

リキシャー(3輪自動車)はその間をかいくぐり

荷台を取り付けた自転車は堂々と道の真ん中を走る。

信号がないこと、ガードレールがないこと、路肩がないこと、

横断歩道も中央線も見当たらなかった。

早くも混沌を目の当たりにした私を悩ませたのはこのローカルバスには次はどこのストップか、案内が全くないことだった。

日本のように電子案内板もなければ、路線地図もない。

驚くことにバスストップもない。

たまにバスのスピードが下がり、徐行速度になると

皆いっせいに降りる。入ってくる。

案内アナウンスもない。

今どこを走っているのかわからないのだ。

私は「ニューデリーに行きたい。次はニューデリー駅近くのバス停?」と近くのインディアンにたまらず聞くと、

彼は「ニューデリー?今の所がニューデリーだったんだぞ?降りろ!降りろ!」
と促す。

その騒ぎを聞いた運転手が気を利かせバスは急遽停まった。

私は「センキュー!」と感謝を表して「ぽんっ」と降りた。

「なんていい奴なんだろう、助かった、」
と。

ただ後々分かったのだが降りた場所は
『オールドデリー』で『ニューデリー』とは8キロ離れた場所に位置していた。

私はそうとは知らずクラクションが鳴り続ける道路を歩き始めた。

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