「僕のポケットはインポータントシングで一杯だよ!」
ポケットからパスポートを出して
「ディスイズインポータント!」
右ポケットからデジタルカメラを出して
「ディスイズインポータント!」
後ろポケットからサイフを出して、
「ディスイズインポータント!」
後ろ右ポケットからノートとペンを出して
「ディスイズインポータント!」
最後に拾った携帯電話を見せて
「ディスイズ!モスト!インポータントオブオール!」
ホテルの門近くに居合わせたカンボジア人の守衛が「あらら」と苦笑している。
ポケットに携帯電話、サイフ、デジタルカメラ、小銭入れ、パスポート、ノートとペンを入れながら自転車を漕いでいると
両膝の上下運動から携帯が地面に落ちた。
その余りにも衝撃的な音に「あーーーー!」と反射的に叫ぶ。
乗っていたレンタル自転車のうるさいブレーキをキーっといわせて
後ろに転がっている可愛い携帯ちゃんをいい子いい子しに駆け付ける。
シュリムアップに降り注がれる太陽が憎い程にディスプレイを暗くさせ『いってんのかいってないのか』よく分からない。
液晶がちょっと滲んで浮かび上がっている。
指で擦ると液晶が「逃げて」いく。
あーあ。
ジャパニーの「あーー!」が珍しかったのかブレーキの「キーー!」が胸を衝かれたのか駆け付けたカンボジア人が
「どうしたんだい?大丈夫か?」と心配してくれる。
僕は携帯電話がこのようになった事を告げ
男性に自身のジーパンにおけるポケットのキャパシティーのなさを嘆き訴える。
「僕のポケットはインポータントシングで一杯だよ。ディスイズインポータント!」
彼はピンときてないようだ。
僕は今何を伝えたかったのだろう。
大事な物だから常に持ってないといけないんですけど、それはそれでポケットパンパンですよ!って事だ。
これ逆の立場なら
「知らんわ!」って言われるな。
そりゃあんな顔なるわな。
カンボジア2日目⑤
携帯電話、サイフ、デジカメ、ノートペン、小銭入れ、パスポート、
ポケットに入れるのを止めたそれら大事な物を自転車の前カゴに入れて
ポップコーンか!と突っ込めるぐらい
ガッシャンガッシャン飛び跳ねさせて畦道なインターナショナル通りを行く。