「母親・小さい頃の話」カテゴリーアーカイブ

こちらは「もりたけんじの母親・小さい頃の話」のカテゴリーです。
今思うと面白い家族でしたし特異な幼少期を過ごしたと思います。
決して引かないでください。

小さい頃から熱が出ると必ず見る「夢」があります。

「夢」というといろんな断片的な映像が支離滅裂に浮かびちょっとした登場人物との掛け合いもあり、ストーリー性も帯てる事がありますが、自分が高熱時に見る夢は「1」です。

数字の「1」だけをひたすら見せられるんです。

数字自身が意思を持ち、押し付けてきさえします。

どんなに「う~う~」うなされる事か。

目を閉じてイメージしてみてください。

今真っ暗ですよね?

そこに数字の「1」を浮かべてください。

できたら

その「1」が、

詰めてくるんです。

「1」

「1」

「1」

「1」

「1」

「1」

「1」

「1」

「1」

他の事を考えようとしても駄目です。

「1」しか浮かばない。

こんなんがずーと。

何時間も。

「1」だったらずっと「1」が迫ってきては大きくなったり 、小さい「1」が集まってきたり、

「1」をいろんな角度で見せられたり、

1だよ!1っ!と押し付けてるんです。

これが、例えば何の脈略も理由もなく「9」だったり、「53」だったりもするわけです。

自分は考えたくないのに頭では「53」しか考えられないし浮かんでこない。

さらには迫ってきて、

「53」

「53」

「53」

「53」

「53」

って何時間もやられたら

どうですか。

小さい頃から風邪で高熱になる度そんな映像が頭に浮かんではうなされるんです。

今日暫らく疎遠になっている桂子(母親)から

『私は巻き込まれた。』

と紙切れに一筆書いて郵送で送ってほしいという電話がありまし
そこで、

みなさんに聞きたいんですけど。

僕って、

何かに巻き込まれていたのですか?

みなさんの身近に、

過去引っ越してそれ以来会っていない友達はいるでしょうか。

小、中学校の頃、

引っ越してしまった友達。

一人ぐらいはいたのではないでしょうか。

友達が引っ越す当日。

あなたは何をしてましたか。

握手。お別れ会。号泣。キス。(恋人同士ならありえるかも知れませんね)

携帯もPHSもない頃の話です。

森田には中学時代『滝川君』という北海道に転校した友達がいました。

中学一年生で仲良くなったばかりの春、滝川君が引っ越すという事を噂に聞いた森田はどうしたらまた滝川君と会えるかを考えました。

埼玉から北海道じゃ一生会えないと思ったのです。

どうしても一生の別れにしたくない。

滝川君が最後の登校の日。

何をしたかというと、

森田は滝川君の背後に回り込むと髪の毛を一本引っこ抜きました。

DNAをいただいたのです。どこへ行っても将来会えるようにサンプルをいただいたのです。

今思うと完全に気持ち悪いですが、まだ友情、愛情を知らない思春期の頃の歪んだ惜別の形なのかも知れません。

そんな事は知らない滝川君は『イテッ!何するんだよ、』というと、『いいじゃん、いいじゃん』とまだ髪の毛を抜こうとする森田を警戒してました。

森田は森田で『一本じゃ足りない、もっと今日中に髪の毛抜いとかないと、、』とサンプル採取に躍起になりました。

その日、森田は一時間目の休み時間も、二時間休み時間も、給食の時も、昼休みも、掃除の時間も、隙あらば滝川君の背後に回り込んで、どうにか髪の毛を抜こうとしました。

滝川君は『なぜか森田が髪の毛を抜こうとしてくる』とその日は森田に後ろを取られないように必死にしてました。

あまりの警戒心になかなか髪の毛が集まらなくて、どうしたものか。と考えた結果、森田は樋口君

というヤンチャに事情を説明して2人で滝川君を襲う事にしたのです。

困ったのは滝川君です、

なぜか森田と樋口が最後の日に髪の毛をむしってくる。

廊下を走って逃げる滝川君。

追う森田と樋口。

『何でお前ら髪の毛を取るんだよ~』

ついに捕まった滝川君。

滝川君に事情を説明すると、『分かった、ちょっと待ってろ。』

と言うと髪の毛を右手で力一杯引っ張り、プチプチっと自分で引っ込抜いたのです。

滝川君後ろの髪の毛ちょっとなくなってました。

滝川君の手には無数の髪の毛。

森田は『よっしゃー!』と宝の山を見てはしゃぐのでした。

これでも十分引く話ですがこの後、滝川君も協力してくれて、爪とか、その日着ていた白いシャツにサインを入れてもらって貰いました。

そのくらいまた会いたかった訳です。

つめ切りで足の爪を切った滝川君が爪を森田に見せながら『これいる?』と聞いた時も森田は『いるに決まってんだろ!』と意識が低い滝川君にキレたのです。

作業が終了し、

その日貰ったTシャツに採った髪の毛と爪をセロテープで貼ると『これで安心』と思い、涙一つ流さないで、握手もなし、笑顔で滝川君とバイバイするのでした。

そしていつだったか、

タンスから出てきた滝川君の髪の毛と爪とサインがあるサンプリング付きTシャツを母親が見つけると『キャーーっ!』と悲鳴を上げ、100分の1秒で捨てられました。

昨日の話ではないですが、最近あいつ何してんだろうとその時々の友人を想います。

開発中

森田家の夕飯は変わってました。

オカンが『疲れた』を理由にいつもほかほか弁当だったのです。

毎日夕飯はほかほか弁当。

毎日。

だんだん食べた事ないメニューなくなってきて、3巡目入るか入らないか辺りでさすがに言いました。

『オカン!もうほかほか弁当嫌だよ!』って。

突っぱねた事があったんです。

そしたらオカンは言いました。

『分かったわ、ほか弁はやめましょ』って。

『お母さんも飽きちゃった。』って。

明日から手料理かな?と思いました。

次の日。

オカンが『疲れた~っ』て言って帰ってきました。

疲れた~って。

あれ?疲れた?

これ手料理じゃねーな。

と思いました。

その日の夕食は吉野家の牛丼でした。

その日以来。

4日連続疲れた~でした。

4日間吉野家の牛丼です。

5日目に食卓に出された時にはさすがのけんちゃんもオカンに言いました。

『もう牛丼も嫌だわ!

肌荒れるわ!』

そしたらオカン。

反省したのでしょう。

『分かったわ、お母さんも牛丼も飽きちゃった。』って。

『そうね。肌荒れちゃうもんね。』って。

『明日は久しぶりに何か作ろうか。』って。

やっとです。

やっと分かってくれた。

よかった。

明日の夕飯はどんな手料理かな。

で次の日です。

オカン帰ってきました。

第一声何て言うのでしょう。

『疲れた~疲れた~』

『けんちゃん疲れちゃったわよ~』

あれ?

まさか・・・。

『けんちゃん。疲れたわよ~』

『はい、コレ。晩ご飯。』

渡された紙袋を見てオカンに聞きました。

『え?これ何?』

『マクドナルドのチーズバーガー。』

『嫌だよ!何で夕食にチーズバーガーなんだよ!』

って、

そしたら、びっくりしました。

オカン何て言ったと思います?

凄い形相で、

『分かったわよ!!!!』

あー分かってくれた。

これで、明日から夕飯作ってくれる!!と思ったら。

『じゃぁ明日から

何バーガーがいいのよ!!!!!』

母親からの年賀状
母親からの年賀状

桂子(母親)から今日、年賀状(写真)が届いたので読み上げたいと思います。

謹賀新年

一人暮らしはどうですか?早く正社員になって、

お給料とボーナスをもらうようになって下さい。

ガールフレンドも見つけてみようネ

2007年1月1日

実家
実家

森田は今神奈川に住んでいます。実家は埼玉です。

今日の夜、桂子(母親)から電話が掛かってきました。ちょっと慌てた様子です。

『け、けんちゃん、お正月のお餅送ったけど届いた!?』

『いや、』

『えー!!あらそー!おかしいわね・・。』

不思議がっていたので、住所などを再度確認した後、聞いてみました。

『いつ送ったの?』

『今日の夕方。』

今日送って今日届くわけありませんが、

話はここで終わりません。

『けんちゃん、お雑煮の作り方知ってる?お雑煮。』どうやらお雑煮を食べてもらいたいらしいのです。

俺が『知ってるよ、』

と言うと。

『小松菜を入れてさぁー』

と説明しだしたので、

『だから知ってるって!!』

と語気を強く言うと

『小松菜』まで言ったので、どうしても最後まで言いたかったんでしょうね。

早い口調で、

『お餅入れて終わりっ!!』

うそつけっ!

そんな桂子ですが、

いよいよ深刻なトーンで聞いてきました。

ちなみに桂子は吉本の事を『馬鹿な集団』『ヤクザ』と言うクセがあります。

『けんちゃーん、いつまでも馬鹿な集団と一緒になってコントみたいな事やってちゃだめよ?』

『あぁ』

『けんちゃん、彼女いるの?いい女の子見つけな?大学出てる子で。誰かいないの?』

軽く流していると、

『あっ!でも!大学出てる子でも赤毛はダメよ!?赤毛はダメ!!』

赤毛て。

赤い毛探すほうが難しいだろ。

と思いながらも電話の最後言い放ったのは、

『あと、お餅なんだけど、親戚からも届くらしいわよ~。じゃぁね!ばいばーい!』

※写真は実家。

この前、桂子(母)から

電話が掛かって来ました。

『けんちゃん、実は相談なんだけど、』

『何?』

『横浜のお婆ちゃんの養子にならない?』

と言われました。

聞くと、

『おばあちゃんち横浜の一等地じゃない?で後継ぎがいないじゃない?財産あるから、養子になっちゃいなよ。』と言われました。

じゃぁ養子になったら俺はどうなるの?と聞くと、

『森田じゃなくなる』

というのです。

名字が変わるというのです。

『どんな名前になるの?』と聞くと。

『磯崎』

磯崎賢二になるらしいです。

みんなその時は

『イソケン』と呼んでくださいね☆

完全拒否したいと思います。

三夜連続でお送りしております。最終夜の今夜は

『カニ玉』と言うお話です。ちょっと長いです。

この話はあくまで小さい頃の話で、無邪気だったので、ご理解よろしくお願いします。

けんじ小学校2年生、

タケヒロ(兄貴)小学5年の頃の出来事です。

みなさんは、小さい頃嫌いな食べ物があったでしょうか。

森田はピーマン、人参、茄子、きのこ、等、今は食べれますが、小さい頃は食べまれませんでした。

桂子(母親)は料理に凝ってました。

うちら兄弟としては、毎日カレーやハンバーグとか夕食に出してくれればいいものの、『カレイと生姜の~』とか『金目鯛の~煮付け』や『寒ブリと~の~漬け合わせ』など、必ず組み合わせて、小学生の口に合わないものばかりを作ります。

ご飯は『栗ごはん』味噌汁は『なめこ汁』など、

普通でいいのに組み合わせるんです。

桂子も桂子で『食べなさい!食べないとウチの子じゃないよ!』と無理矢理食べさせてました。

タケヒロは桂子の作った夕飯を食べませんでした。

夕食前におやつばっかり食べる癖があり、一切夕飯には手を付けないのです。

また偏食でした。

桂子は口に合わない物ばかり作っては、無理矢理食べさせるし、タケヒロはおかしでお腹を満たすして、偏食だったんです。

そういう背景があっての話です。

ある日タケヒロが

『おかずだけ2階で食べる。』と言いだしたのです。

母親の目の届かない場所で食べるのでしょう。

『2階で食べる!』

『いいけどちゃんと食べるのよ!?』

『わかってるよ』

ダッダッダッタ!

タケヒロが夕食を持って2階に上がったと思ったら

『けんじ!お前もちょっと2階へ来い!』

とタケヒロに呼ばれました。

『何?』

『いいから来い』

『なんだよ。』

『いいかけんじ。よーく聞けよ?このおかず。何だか分かるか?』

『何これ?』

『カニ玉だよ』

『カニ玉?』

『そうカニ玉。このカニ玉お兄ちゃん食べれないんだよ。』

『・・・。』

『でも残すとおかーに怒られるだろ?』

『・・・・』

『だからこのカニ玉をどうにか捨てたいんだよ。』

『・・・。』

『ごみ箱だとバレるだろ?『・・・。』

『だから、ここの2階の小窓から外に全部捨ててくれ。』

『えっ!?』

『頼むからカニ玉外に捨ててくれ、』

兄貴は、食べられない、でも食べなきゃ桂子に怒られる。というジレンマを2階の窓からおかずを捨てる事で解決しようとしたのです。

ほっかほっかの湯気が漂うカニ玉。

作りたてでぷるんぷるんしているカニ玉。

けんじが戸惑っていると、

『早くしろよ!早く捨てろよ!』

タケヒロはカニ玉をけんじに差し出しながら語気が強くなってきてます。

ほっかほっかの湯気が漂うカニ玉。

作りたてでぷるんぷるんしているカニ玉。

けんじタケヒロからそれを受け取ると目を瞑りながら、小窓を開け、外に手を伸ばし、お皿を傾け、

『えぃ!!』

と箸でカニ玉の底を夜空に掻き出したのです。

・・・・・・。

びちゃ。

・・・・。

・・・・。

桂子が一生懸命作ったカニ玉。

捨ててしまった・・・・。

良心の呵責にさいなまれていると、タケヒロが耳元で囁きます。

『けんじ。なめこ汁もやっておいて。』

けんじはなめこ汁のお椀をもらうと、夜空に向かって、撒いたのです。

『えぃ!』

・・・・・・。

パチャパチャパサー~

なめこ汁は箸で掻き出さなくてもツルッと行きました。ぬるぬるしてるからでしょう。

確かに捨てました。

そして、けんじが小窓をガラガラと閉めた時、

1階から何にも知らない桂子が明るい声で。

『たけちゃーん!ちゃんと食べてくれた~?』

30分経ったでしょうか、

けんじが居間でくつろいでいると桂子が嬉しそうな顔して入ってくるやいなや。『けんちゃ~ん♪』

『どうしたの?』と聞くと

『お兄ちゃん、すごいねー♪全部食べてくれたねー!カニ玉好きなんだねー、けんちゃん、ほら見て?きれーに。なめこ汁も。』

皿は、『さっき買ってきた皿』みたいに綺麗でした。

普通は箸でつっついたら舐めないかぎりそんな白になるわけない皿。

桂子は疑いもせず今までにない偏食の兄貴を誉めるのです。そしてテンション上がったのでしょう。

『お母さん嬉しくなっちゃう~!ランラランララーン♪』

次の日も夕飯はカニ玉でした。

『お兄ちゃん~♪今日もカニ玉よ~!好きでしょ~!?』

大好物だと思っている桂子は2日連続でカニ玉を出しました。

カニ玉を見た兄貴がまた言いました。

『2階で食べる。』

『けんじもちょっと来い!』

2階に行って

『何?』

と用件を聞きました。

『やれ。』

慣れって恐いですね。あんが多く掛かってたのでしょう、2回目は1回目のツルンよりツルンしました。

また捨てたのです。

『えぃ!』

・・・・。

ピチャ。

『終わったよ』

とタケヒロにいうと、

『ごはんもやれ。』

と言われました。

『えぃ!』

トンっ、

ごはんは今炊いたばかりなので、茶碗を逆さにしただけで綺麗なお椀型のまま落ちました。

茶碗には一粒の米もありません。

そんな事をやっていると、1階から桂子の声がします。

『たけちゃーん!食べた~?』

『けんじ!終わったか?』『うん』

『食べたよー』

『あらー!早かったわねー、』

暫らくすると桂子がけんじに言います。

『けんちゃん!お兄ちゃんのお皿見て!こんな綺麗に!いやー、すごい!タケちゃん、本当カニ玉好きなんだねー!』

『お母さん嬉しくなっちゃう~!ランラランララーン♪』

次の日、です。

『ピンポーン!』

玄関が鳴りました。

『はーい!』

桂子が出ます。

『すみませーん。隣の高杉ですけどー。』

『はい?何でしょう。』

『ちょっといいですか?』『はい・・・。』

玄関を開けると。

神妙な面持ちで高杉さんが立っています。

『実はですね。私の庭にごはんが落ちているのですが、心当たりはないですか?』

『ごはん?』

『はい・・・・。』

『いえ、うちではないと思いますけど・・・。』

『いえ、でも・・』

当時近所付き合いが苦手な桂子はもめ事があるとすぐに警察を呼ぶ癖がありました。

『いい加減にしてください。警察呼びますよ?』

『あ、そうですか。あっ。じゃぁすみません。』

高杉さんは逃げるように帰りました。

5分後

けんじが『どうしたの?』と聞くと、

『隣の庭にごはんが落ちているんだって・・・・。』

『・・・・。』

その日の夜。

『けんじー!ちょっと来てー。』

とタケヒロに呼ばれました。

『やっといてー。』

3日連続のカニ玉でした。さすがにけんじもカニ玉が嫌になり、その日はタケヒロとけんじのカニ玉、2つとごはんを夜空に放りました。

ピチャ、

ピチャ、

ガサ、、

ん?ごはんが何かに当たった?

さすがに3回もやると、

良心の咎めはなくなってました。

次の日

『ピンポーン』

『はい?』

『あ、あのー、高杉ですけど・・・・』

『何でしょう?』

玄関を開けると、

高杉さんが夫婦で来てました。

『なんでしょう?』

『じ、実はですね・・・

私どもの庭に、白ごはんが落ちているんですけど・・・・』

それを聞いた桂子は怒り狂います。

『何度言ったら分かるんですか!!ウチではありません。あんまり関わらないでくれますか!!警察呼びますよ!!うちは国の仕事をやっていて警察がバックについているんですから!!ウチは中曽根さんだって動かしているんですから!』

『あと・・・、』

『なんですか!!!』

『ウチの庭に・・・カニ玉が落ちているんですけど・・・』

『え?』

『拾っても拾ってもカニ玉が落ちてくるんですけど・・・・』

『カニ玉!?ウチはお兄ちゃんが食べてますよ!?なんでカニ玉が落ちてるんですか!!』

『お兄ちゃん!!たけちゃーん!』桂子が事実を確認しようとタケヒロを呼びます

『何ー!?』

2階から返事がします。

『タケヒロ!カニ玉食べてるでしょ!?』

『食べたじゃんっ!』

『ウチの子は食べてますよ。』

まー、まー、取り敢えず来てください、みたいな感じでお庭を見に行きました。

高杉さんの庭は日本庭園造りで、下には綺麗な砂利が敷き詰められ、玄関までは石畳、その両脇には盆栽やら、植物が生い茂ってる、手入れの整った、緑を大事にしてる庭でした。

『これなんですけど・・・』

高杉さんの指した所には

、衝撃でパーンと弾けたような黄色い物がありました。

『これもですね・・・。』

白ご飯は柵に当たって砕けたのでしょう、盆栽に、ちょうど粉雪のように積もってました。

石畳にも無数の米粒が散らばってます。

『あ、あとこっちも・・・・・。』

砂利には、お椀の形をした白ご飯がそのまま崩れる事なく『置いて』ありました。

『・・・・・。』

『・・・・・。』

『・・・・・。』

『・・・・・。』

『け、けんちゃん。ビニール袋持ってきなさい・・。』

桂子はけんじからビニール袋を取り上げると、

素手でカニ玉を掴み、

散らばったごはんと、大きな固まりのごはんを拾い、袋に投げ入れてました。

食べる働いて、タケヒロが大好物だったから腕に寄りを掛けてカニ玉を作ったのに、残すならまだしも、人の庭に投げ捨て、食べたと嘘をつかれた。

それを作った私が素手で掴んで捨てる。

桂子はそんな事を思ったに違いありません。

桂子は最後に高杉さんに一礼し終わると、

『たけひろだわ、あのうすらバカ、』とつぶやいて、家に戻るとまず洗濯機の横の箒を手に取ると、

『たけひろ!!貴様!!』と言い、2階にダンダン上がって行きました。

その時、タケヒロはゲームボーイで『ドクターマリオ』をやっていました。

~暫らくした後~

『けんじー、ちょっとこーい!』2階に呼ばれました。タケヒロです。

2階に入ると、

『箒の持つほう』で叩かれたタケヒロがうずくまって、唸ってます。

その時の兄貴は惨めでした。本当のドクターが必要でした。

タケヒロはけんじが来たことを確認すると、

ちょっと顔を上げ、苦しそうな顔して言いました。

『け、けんじ・・・・・』

『何?』

『カニ玉って、目立つな?』

~最終夜~『カニ玉』

三夜連続でお送りします。二夜目の今夜は『左手』と言うお話です。

あの時・・・

おかん(桂子・母親)は、食いづらそうだったなぁ・・・

これは森田家に初めて

『ビデオデッキ』が来た時の出来事です。

けんじ中学1年生。

タケヒロ(兄貴)高校1年生の頃。

その頃、森田家にはテレビが一台しかありませんでした。

家族が夕飯の時、食事をしながら見れる和室にありました。

そんな中、我が家にビデオデッキがやって来たのです。

しかし、

一週間ぐらいすると、

タケヒロはそのビデオデッキとけんじに腹を立ててました。

何でだと思いますか。

理由は、けんじがビデオを録画しすぎてるからです。

タケヒロは

『どうせそんなに録画しても見ないんだから録るな!』と怒り、『けんじ!次、テレビ番組をビデオに録ってたら許さないぞ!分かったか!』とまで言い出したのです。

タケヒロが怒るのも無理がありません。

なぜなら、

けんじはビデオが我が家に来たことが嬉しくて嬉しくて、しょうがなくて、毎日、6時間くらい、何かしらの番組を録画していたのです。

でもけんじも悪気はありません。

だって考えてみてください。

今でこそ一家に一台は当たり前ですが、あの当時結構高価で、しかもビデオって、あの好きな番組が何回も見れるんですよ?そんな機械がついにやっと森田家に!

ちょっとした興奮状態だったのかもしれません。

そんな中、

ついに事件は起きました。

桂子とタケヒロとけんじでプロ野球中継を見ながら夕食をしていた時です。

テレビの下にあるビデオデッキから音が鳴りました。

ウィーン・・・ウィーン・・・ガチャ・・ガチャウィーン・・。

ビデオテープを録画スタンバイするビデオデッキの音です。

すると、ビデオ嫌いのタケヒロが食べていた茶わんをちゃぶだいに置くやいなや、

『けんじ!!まさかお前!またテレビ番組をビデオに録っていたのか!?』

と、ものすごい剣幕で詰めてきました。

けんじが、

『プロ野球が見たくて・・。』

というと、

『お前!今プロ野球見ているのに、また後で同じ試合のプロ野球見るのかよ!!』

タケヒロは怒っています。

賢二がプロ野球をビデオでとるから。

その日は一旦終わりました。

次の日また事件が起こりました。

プロ野球中継を見ながら食事をしていると、

ウィーン・・・ウィーン・・・ガチャ・・ガチャウィーン・・。

すると、タケヒロが食べていた茶わんをちゃぶ台に置くとけんじに聞いてきました。

『けんじ!!まさかお前!またプロ野球をビデオにとってたんじゃねーだろーな!?』

『プロ野球が見たくて・・。』

というと、

『お前!今プロ野球見ているのに、また同じ試合のプロ野球見るのかよ!!』

タケヒロはキレています。

昨日あれ程プロ野球を録画するなって言ったのに、

けんじはプロ野球をビデオで録ってる。

ついにタケヒロは怒り狂いました。

毎日毎日プロ野球を録ったからキレたのです。

タケヒロはけんじに言いました。

『けんじ!』

『何?』

『お前昨日あれ程プロ野球中継を録るなって言ったろ!?』

『だから何?』

『お前罰として、食事中、ずっと左手を上げてろ!』

『え?』

『左手をずっと上げながら食事しろ!』

賢二は黙って命令に従いました。

左手を上げながら、

おかずを食べて、

左手を上げながら、

お味噌汁を飲んで、

左手を上げながら、

ご飯を掻き込みました。

なんか『常に発言がある人』みたいな形でご飯を食べてました。

暫らくすると、

見かねた桂子が言いました。

『お兄ちゃん!いい加減にしなさい!なんで賢二が左手を上げながらご飯食べなきゃいけないの!』

『うるせーよ!ビデオ録ってるのが悪いんじゃねーか!』

『けんちゃん!降ろしなさい!』

けんじは『助かったぁ』と思い、左手を降ろすと、

タケヒロが言いました。

『けんじ!誰が降ろしていい、って言った?左手をあげてろ!』

けんじはまた左手を上げました。

すると桂子が『けんちゃん!左手を降ろしなさい!』

するとタケヒロが『けんじっ!誰が降ろしていいって言った!』

左手を上げる。

『けんちゃん。降ろしなさい。』

『けんじ!誰が降ろせって言った!』

その日、けんじはプロ野球をビデオに録ってたばっかりに、左手を上げたり下げたりしながら食事をしたのです。

次の日また事件が起こりました。

けんじはどうしてもビデオに録りたい『プロ野球』がありました。

長島巨人がメイクミラクルを起こしている真っ最中。

本拠地東京ドームに戻って広島との首位攻防戦です。

どうしてもビデオに録りたかったんです。

その日の食卓で3人で飯を食べていると、

ウィーン・・・ウィーン・・・ガチャ・・ガチャ・・ウィーン!

タケヒロの箸が止まりました。

『あれ?』

『どうしたのタケちゃん』

『今、ビデオ、音しなかった?』

『してないでしょ、早くたべちゃいなさい!!』

ガチャ、ガチャ、ウィーン、ウィーン、シキッ・・・。

『賢二。お前まさか・・・』

『何?』

『またプロ野球を見てるのにプロ野球をビデオに録ってるんじゃねーだろーな。』

『録ってないよ・・。』

ウィーン、ウィーン、シキ、ウィーン。

『けんじぃ!!左手を上げながら食事しろっ!!!』

『たけちゃん!いい加減にしなさい!』

『けんじがプロ野球観てるのにプロ野球ビデオ録ってるのが悪いんだろーが!』

『けんちゃん!!左手を降ろしなさい!』

するとタケヒロが

『わかったよ、じゃぁ左手は降ろしていいよ・・・』

助かった~。と思ってると

『けんじ。』

『何?』

『立ったままご飯を食べろ。』

『たけちゃん!』

10分後

『けんちゃん・・・・。いい加減座りなさい。立ちながらご飯食べたらお行儀が悪いでしょ。』

助かったぁ~。

と思って座ると、

『けんじ!誰が座っていいって言った?』

立つと。

『けんちゃん!座りなさい!』

『けんじ!誰が座っていいって言った?』

『たけちゃん!』

『うるせーよ!親は黙ってろ!!』

『可哀そうじゃない!!』

『うるせーよ!何で口出しするんだよ!お前も左手あげてろ!』

5分後

桂子は左手をあげながら食事をしていました。

その日、

桂子は左手を上げながら、けんじは立ちながらご飯を食べました。

桂子は左利きなので食べずらそうでした。

~第二夜~『左手』

三夜連続でお送りしております。一夜目の今夜は

『膝』という話です。

汚い話なのでお食事中の方は読まないでください。

桂子(母親)は必ず連休があると神奈川県の『金沢文庫』(八景島シーパラダイスがある所です。)まで自分達、子供等を連れていきました。

おばあちゃんちです。

連休には必ず行ってました。

埼玉の『久喜』(森田の実家)から『金沢文庫』まで電車で2時間くらいです。

遠いんです。

けんじは乗り物に酔いやすい子でした。

本当にダメで、例えば車だと信号待ちの時の微妙な揺れで吐くし、電車では駅に着くたびブレーキがキキーーーーイってなった後何段回も減速する、あの感じで吐いちゃうのです。

おばあちゃん家に行くときは必ず電車の中でゲロを吐いてました。

タケヒロ(兄貴)もけんじ程ではありませんが吐いてました。

兄弟揃って弱いんです。

そんなある日。

おばあちゃん家に行くことになりました。

その日も桂子に

『酔い止め薬飲んだ?ビニール袋持った?何か遊び道具持った?』と出発前に確認されました。

事件があったのは品川からの電車に乗ってボックス席に座ってた時です。

各々の位置は、

窓際の向かい側に桂子。

手前の通路側、桂子の隣にタケヒロ。

通路側タケヒロの前にけんじが座ってました。

桂子 タケヒロ  通

けんじ 路

↑こんな感じです。

(みんな向き合って)

ガッタンゴットン

ガッタンゴットン

電車が動きだします。

暫らくするとスーツ姿のいかにも営業マンというキッチリ決まっている男性が『すいません、』と言う感じで奥の席に座りました。

桂子 タケヒロ  通

男性 けんじ 路

↑こんな感じ。

ガッタンゴットン

ガッタンゴットン

横浜辺りを過ぎると

桂子が聞いてきました

『けんちゃん、大丈夫?大丈夫なの?』

タケヒロも聞いてきます

『けんじ、おまえ大丈夫か?』

キキーーーーイ

その駅でのブレーキは大丈夫でした。

ガタンゴトン、ガタンゴトン、

電車が走りだします

桂子が聞いてきます。

『けんちゃん、ダメになったら言いなさい?ボックス席なんだから吐いちゃだめよ!?』

タケヒロが圧をかけます

『お前、絶対吐くなよ?』

『けんじ!!聞いてるのか?』

誰が何を言ってるのか、いまいち分からなくなってました。

『けんちゃん!!』

『けんじ!!』

キキーーーーイ

『・・・・・。』

『けんちゃん!袋!!』 『けんじ!袋どうしたっ!袋っ!』

『・・・・・。』

ギリギリセーフでした。

ガッタンゴットン

電車が走りだします。

ただこのままじゃまずい

と思った桂子が言いました。

『けんちゃん!遊び道具は!?遊び道具!!』

『そうだ!お前、遊び道具何持ってきた!?』

『たけちゃん!けんちゃんのリュックから遊び道具出してっ!』

『けんじ!!ほらっ!これで気分紛らわせ!』

けんじは気を紛らわす為に自分が持ってきた本を読むことにしました。

『ウォーリーを探せ』です。

電車のブレーキ関係なくすぐに気持ち悪くなりました。

『けんじ!!大丈夫か!?』

『けんちゃん!!』

『けんじ?』

『けんちゃん?』

キキーーーーイ!!

ゲロゲロゲロー。

『あっ・・・・・・!』

『あっ!』

『。。。。』

すると兄貴がけんじの袋にからの匂いにやられたのでしょう。

『けんじ・・・、袋、ちょっと貸せ・・・・。』

ゲロゲロゲロー、

すると桂子が

『ちょっと!けんちゃん!たけちゃん!ボックス席でいい加減にしなさい!!

『あれ・・・お母さんもなんだか気持ち悪くなってきちゃった・・・・。』

ゲロゲロゲロー

桂子は鼻からゲロを出してました。

けんじとタケヒロは袋の中に出したのですが、

桂子は向かいの男性の膝に吐いてました。

~第一夜~『膝』

桂子(母親)は

『疲れた~』

『疲れたぁ』
『けんちゃん、お母さん疲れたよ~。』とよく嘆いていました。

桂子の『疲れた~』が口癖になっていたある日。

庭に出てみると、洗濯物がこんな干し方になってました。

普通、洗濯物を干す時って、乾きやすいように広げますが。

その日の桂子は疲れていたので。

こう。
選択物

森田は小学校の頃『少年サッカー』に入っていました。

写真は『最後の試合前日』の森田です。

コーチに怒られたり、夜遅くまで校庭を走り回ったり、ドリブルが下手で悔しくて泣いたり、そんな厳しい練習にも耐えてきた・・・。

いろいろありましたが、明日で最期!みんなで有終の美を飾ろう!

そんな気持ちで『少年サッカーとして最後の試合』に臨む、前日の森田です。

少年もりた

三夜連続でお送りしております。

最終夜の今夜は『新聞』です。

森田家の隣の住人は『金子』という人でした。

桂子の悪い癖があります。それは家の中で物がなくなると

『金子が盗ったんだわ。』と近所の『金子』を泥棒扱いにするのです。

例えば靴下が片方なくなったら

『あれ?けんちゃん。昨日買った靴下知らない?』

『知らないよ』

『金子が盗ったんだわ・・・・。』

『あれ?お兄ちゃん。洗濯したはずのバスタオル知らない?』

『知らないよ』

『また金子だ・・・。』

理由は単純です。

けんちゃんも、たけちゃんも知らない。

家にもない。

じゃぁ隣に住んでる金子しかいない。

と言うことです。

それを踏まえて。

『違うわ!!』という話。

兄貴・丈寛(タケヒロ)と兄弟喧嘩をすると陰湿な仕返しが待っています。

丈寛は『その日の新聞を自分の部屋に持っていって、隠す。』のです。

なぜ新聞を隠すのが仕返しなのか。

新聞のテレビ欄を見せないためです。

今日テレビで何がやるのか分からなくさせ、ビデオも取れなくさせるです。

ある時、また兄弟喧嘩をしてしまいました。

原因は。

アイスキャンディのファミリーBOXタイプを桂子1本、丈寛は1本しか食べてないのに、けんじが6本食べてしまったのです。

すると喧嘩したその日。

当然丈寛は仕返しをします。

朝4時30分ごろ。

『ブルン!ブルブルブル・・・・。(新聞配達のバイクの音。)』

『カタっ(新聞を入れた音)』

これらが聞こえると、丈寛は、2階から降りてきます。ポストに新聞が入った瞬間、取っていって、隠すのです。

けんじにも桂子にもバレないように。そーっと、そーっと、仕返しをします。

階段の『ミシ、ミシ』という足音が聞こえないように。そーっと。

玄関の『カチャ』っとノブを回す音が聞こえないように。そーっと。

ドアを開く時『ギギギっ、』と鳴らないように。そーと。

静かーに、朝刊を取りに行くのです。

あのムカつくけんじにテレビ欄を見せないため・・・。

全ては報復の為・・・。

徹底してます。

そして朝。

けんじ『今日の朝刊は?』桂子『まだ誰も取ってないんじゃない?』

『ポストにないよ?』

『おかしいわね』

『きっとお兄ちゃんが取ったんじゃない?』

『お兄ちゃんの訳ないじゃない!お兄ちゃん寝てるわよ?』

朝4時30分まで新聞を弟に見せない為だけに起きていた丈寛は疲れてグーグー2階で寝ています。

それでも桂子が丈寛に聞きます。

『お兄ちゃん?起きて!ねぇ!丈寛!新聞取った?』『ZZZ・・ん、ん?』

『朝刊!とった?』

『ん?取ってない・・ZZZ』

絶対こいつです。

こいつなんです。

この部屋のどこかにあるんです。

桂子は

『朝日新聞が入れ忘れたんだわ。電話して、持って来てもらうから、待ってて』

『あ、すみません。朝日新聞ですか?今日、朝刊休みですか?やってる?ポストに入ってないんですけど!!すぐ来てください。』

次の日の4時30分頃、

俺は起きてました。

絶対あいつはヤル・・・。またヤル・・。

すると・・・・。

ミシ・・ミシ・・、ミシ・・・ミシ・・ミシ・・・・、カチャ、ギギギ

(静寂)

朝です。

桂子が騒いでいます。

『朝日新聞さん?昨日も今日も。朝刊入ってないじゃないですか!!!え?確かに入れた?家の者、誰も取ってないんですよ?すぐ来てください!!(怒)』

その日の夜物音で起きてしまいました

ミシ・・・ミシ、ミシ・・・ミシ・、ミシ・・・ミシ・・ミシ・・・ミシ・・・・、カチャ、ギギギ

(静寂)

朝です

『朝日新聞さん、いい加減にしてください!!(怒)確実に入れた!?ウチの者誰も取ってませんよ!!早く来てください!(怒)』

その日の夜・・・。

ミシ・・・ミシ・・・・・・・・・。、カチャ、ギギギ

朝。

『え?確実に入れた?!お子さんに確認してください??ちょっと待ってください?』

『けんちゃん!!今日新聞取った?』

『取ってない』

『丈寛~!ちょっと!起きなさい!今日新聞取った?』

『取ってない』

ここで桂子の悪い癖がでてしまいました。

『金子だわ・・・・。』

『新聞』~最終夜~

三夜連続でお送りしております。

二夜目の今夜は『国語』というお話です。

桂子はよく『国語を勉強しなさい』といいました。

理由は、全ての学力は国語の『読解能力』次第だからだそうです。

兄貴は金にルーズで勉強をしません。

以下。よく森田家で日常的にあった丈寛と桂子の言い争い。

どうにか丈寛に国語をやらせたい桂子のやりとりです。

桂子『国語をやったら壱万円あげる』

丈寛『くれなきゃやらない』

『やるのね?じゃぁあげる』

『くれよ』

『ちゃんと国語やるんだよ?』

『あぁ』

『ハイ。壱万円。ちゃんとやるんだよ?』

『分かったようるせーな』

2、3日後。

『お帰り。夜遅くまでどこいってたの?図書館?』

『そうだよ。』

『図書館で国語やってたの?』

『そうだよ。』

2、3日後

『丈寛!』

『あ?』

『あんた国語全然やってないじゃないの!』

『やったよ!』

『ノートどれ?何にも書いてないじゃないの!』

『図書館に行ってないじゃないの!』

『行ったよ』

『今日は!?』

『今日も行ったよ』

『今日は図書館休みじゃないの!』

『・・・・。』

『男は国語ができないとダメだって言ってんのよ』

『うるせーな。』

『壱万円返してくれよ!』『使ったよ。』

『返せよ』

『使ったよ』

『・・・・。』

『・・・・。』

『あとアンタ。vodafone。』

『・・・。』

『月に6万円使ったんでしょ!』

『勝手に見んなよ』

『丸井のカードローンの請求も来てるし』

『・・・。』

『うすらバカ!』

『勝手に見んなよ』

『出てってくれよ!もういらないから!出てってくれよ!』

『・・・・。』

『けんじだけで十分だから!けんちゃんの方が優秀だから、あんたいらないよ!』

『・・・。』

『出てってくれよ!今すぐ!』

『あー、出てってやるよ!』

そう言ってそのまま手ぶらで家を飛び出していく兄貴。

(静寂)

あれ?終わったかな?とけんじが思っていると。

ガラガラガラ。

ノックもしないでけんじの部屋に突然はいってくる桂子。

一部始終聞いていたでしょ?みたいな顔つきで桂子が

『けんちゃん・・。お兄ちゃん・・・。国語やらないでほっつき歩いてるのよ。』

『・・・。』

『けんちゃんお兄ちゃんの事ぶっ叩いてくれないか?ぶっ叩いてやりたいよ。』『・・・。』

『vodafoneで6万円も使ってたのよ、お母さんやんなっちゃった・・・。あのうすらバカ・・・。けんちゃん。大学出たら就職するんでしょ?馬鹿な集団とドリフみたいな事やっちゃだめよ?』

『・・・・。』

2.3分後。

『・・・・。』

『・・・・。』

『あのさ』

『ん?』

『出てってくんない?』

『・・・。』

『あとさ、部屋入るときノックしてくんない?』

『たけちゃん遅いわね・・。どこいっちゃったんだろう、』

『・・・・。』

『お母さん探してくるからお風呂沸いたら止めといて?』

15分後。

(外から桂子と丈寛の声が聞こえる。)

『国語やる?』

『あぁ。』

『教科書買ってあげるから』

『あぁ。』

数日後。

ポストから手紙を取ってきた桂子が叫びます。

(けんじは部屋)

『丈寛!ちょっと来なさい!』

『なんだよ。』

『あんた、大学!単位足りてないじゃないの!どうすんのよ!』

『国語をやりなさい!っていってんじゃないよ!』

『・・・。』

『あれからやったの?』

『あぁ』

『やってないじゃないの!』

『・・・。』

『出てってくれよ!もうウチの子じゃないから!出てってくれよ!アコムから手紙きてるし!出てってくれよ!』

バタン!(家を飛び出す兄貴)

(静寂)

ガラガラガラ。

『けんちゃん・・・。』

『ノックしろよ』

『けんちゃん』

『聞いてんのか』

『たけちゃんね?留年・・・。』

『・・・・。』

『また大学生。3浪4溜。』『・・・・。』

『けんちゃん卒業したら就職するんでしょ?吉本とかいっちゃだめよ?』

『あぁ。』

『うん、そう。いい子ね・・・。けんちゃんはいい子・・。』

2、3日後。

ポストから戻ってきた桂子。

『けんじー!!あんた!!吉本行ってんの?』

『いってねーよ』

『何これ!?(NSC合格通知)』

『・・・。』

『けんじ。いい?あそこはヤクザなんだから。ヤクザの集団なんだから。辞めなさい!就職は?しないの?え?どうなの?』

『しない。』

『出てってくれよ!働かないんなら出てってくれよ!もうお前なんていらないから!馬鹿な集団とコントやるなら、今すぐ出てってくれよ!』

『お兄ちゃんの方がよっぽどかわいい!』

『国語』~第二夜~   完

三夜連続でお送りしております。

一夜目の今夜は『タケちゃんマン』というお話。

森田(以下、けんじ)が小学校2年生、兄貴(以下、丈寛、タケヒロ)が小学5年の頃。

『おーい!けんじ~!』 けんじの部屋に丈寛が入ってきました。

なんだろ?

すると唐突に丈寛は言いました。

『今日からお兄ちゃんは、お兄ちゃんではない!タケちゃんマンだ!』

うすうす気付いてはいましたが、ついに丈寛がヒーローになったのです。

今まで『点』だったのが、その瞬間『線』になりました。

詳しく聞く意味も込めて『どういう事?』と聞き返すと

『いいかけんじ。お兄ちゃんは、今日からタケちゃんマンだ。』

『タケちゃんマン?』

『そう。タケちゃんマン。お兄ちゃんの名前タケヒロだろ?だからタケちゃんマン。けんじが困った事があったらいつでも呼んでくれ。すぐ助けにいくから!但し呼び方があるから。』

『ヨビカタ?』

『そう。呼び方。右足をピーンと後ろに伸ばして、左足は中腰。手は口に添えて。おーい!タケちゃんマーン!たーすけーてくれー!こう呼んでくれ。』

正直小学校2年生のけんじは思いました。

『すげーな。』

『ただ注意があって、いいか?けんじ。聞いてくれよ?呼んだら到着するまでに時間が掛かるから。』

『どのくらい?』

『家の中から呼んだらなら走って10秒。外からなら走って30秒以内。』

『じゃぁ困ったことがあったら呼ぶね!』

そう言ってけんじが部屋から出ようとしたら、ぐぃっと腕を掴んで丈寛が言いました。

『けんじ!』

『何?』

『今呼べよ。』

『え?』

『今タケちゃんマン呼べよ!』

『でもまだ困ってないよ。』

『いいから呼べよ!』

なんて俺は愚鈍なんでしょう。なんで察しなかったんでしょう。

丈寛はどうやら、早くタケちゃんマンになりたくて待てないらしいのです。うずうずしているのです。早く変身したいのです。

けんじは『助け』は今必要としてないのに呼んでみました。

『たけちゃんマーン。たーすけーてくれー。』

すると目の前にいる兄貴が急に歌い始めたのです。『♪トュルットュ、ルールー。トュルットュルール。トュットュルットューー(登場時のテーマソングらしい)よーーー!(来た音)タケちゃんマンだよ?呼んだかい?』

タケちゃんマンです!確かにタケヒロはタケちゃんマンになっていたのです!そしてその場でけんじに言いました。

『どうしたんだい?』

そんな遊びをその日夕方やっていました。

けんじは部屋の電気を付ける時も、スリッパが片方見当たらない時も、布団を畳まないといけない時も、タケちゃんマンを呼んだのです。

しかし、タケチャンマン。最初は『トュルットュルール♪』

言って、弟の部屋の電気を消しに来たり、弟のスリッパ探したり、弟が寝た布団たたんだり、しましたが、

次第にゼーゼー言いながら登場したり、階段ダダダダっ急いでトュルットュルールール忘れて来たり、呼んでるのに完全に無視してテレビを見だしました。

そんな事があったその日の夜です。

事件は起こりました。

部屋でけんじが右足の裏で遊んでたら、足の裏がカチカチになっている部分があったのでタケちゃんマンを呼んでみようと思いました。

しかし呼んでも来ません。あれ?と思ったけんじはここで家の中聞こえる大きな声で『タケちゃんマン!!助けてよー!ねー!たけちゃんまーん!』5分くらいやってたら

2階からダッダッダッダ!ダン!

降りてくる音。

タケチャンマンが来た!と思ったら、

タケチャンマン。

障子を開けて、けんじを確認して、階段を降りたそのままの速度で、けんじの頭を叩きました。

丈寛です。タケチャンマン違います。丈寛が鼻息荒くして。丈寛がけんじを殴り。丈寛が今目の前に立っています。

そして、あんだけ何かあったら呼んでくれ、いつでも助けに行くから。といってた丈寛が『一家の長男・兄貴』としてこう言いました。

『けんじ!おまえタケちゃんマン呼びすぎなんだよ!』

『これじゃただの奴隷じゃねーか!』

第一夜『タケちゃんマン』完

高校生の頃の萎えた話。

その日教科書を忘れたモリタは好きな女の子に、

『教科書貸してくれない?』と聞いたら、

『私2冊持ってるからいいよ?』と言ってくれたんですよ。

やっぱ可愛いなぁなんて思ってたら

その女の子がバックから教科書を取り出そうとチャックを開けた

その瞬間。

萎えました。

その子の学生バックからなぜか知らないけど。

殿様バッタが出てきました。

そんな桂子(母)ですが

今日桂子から手紙が来ました。

~これを読まれる前に~

みなさんはもう一度『桂子(1)~(3)』『磯崎増五郎~終夜~』を見てください。より効果的だと思います。

それでは、さっそく今日届いた桂子からの手紙を読みたいと思います。

全部『ボケ』だと思って読んでください。

いきます。

賢二様へ

お母さんは成功しました。

お母さんは日本の大臣の仕事を茶道教授の資格でしていました。今回、お母さんは小泉さんを動かしていて、イラクから自衛隊が戻れるようになりました。(中略)

これからお母さんは政府からたのまれて、横浜開国、鉄道建設(横浜~新橋)をした磯崎増五郎さんの名前を世に出すため、横浜地方裁判所の法廷に出ます。

安心してください。

お母さんと一緒ですから安心してください。行かないと罰せられてしまいます。

横浜地方裁判所は横浜から3、4番線で2つ目の駅です。歩いて10分です。6階、602号法廷です。

成功するとイギリス留学のごほうびがあります。

母さんも本の出版でお目出多です。

この手紙はこのように〆られています。

横浜地方裁判所に出廷したら、まず、けんちゃんは

裁判官に『巻き込まれた!』と言ってください。

母親から手紙