桐野夏生「残虐記

残虐気

桐野夏生さんの「残虐記」は「自分は少女誘拐監禁事件の被害者だった、」という手記を残して作家が消える所から始まります。

男の欲望の捌け口になった少女がどうにか救出され、事件が解決されてもなお残る世間からの隠微な視線の中、その事件を二度と想像したくない自分と、もっと想像したいという興味本位の人々の狭間で苦悩するのですが、、、

桐野夏生さんの作品は男性によって踊らされる惨めな女性、女性である故にどこまでも逃れられない運命を綺麗事抜きに鋭く表している作品が多いです。

僕は桐野さんの作品は単純なミステリーとしてではなく「グロテスク」や「残虐記」にみられるように惨めでエグい「女性ホラー」だと思います。

そこに確実に存在する欲望から逃れられない恐怖を味わいたい方、言葉にならないショックを受けたい方は夏の夜にどうでしょうか。