これはなんだろう。

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駅構内にある電飾が賑やかな自販機のような物の前で眺めていると
たまに人がその上に乗って「ガッチャン!」と何やら起こった後
受け取り口から何かをもらっている。

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「体重計か」

受け取り口から重さが記載されたものが出てくるみたいだ。

わたしも乗ってみて2ルピーを入れてみる。

ガッチャン。

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何も出ない。

どうやらわたしは体重計からカツアゲされたみたいだ。

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ニューデリーを出た列車は窓から色々な衝撃を与える。

何も遮られていない線路。今走っている列車から3m程の距離で手を振る子供。
彼らのすぐ裏には雑草。奥には木材と瓦礫で作られた低い屋根の小屋。
ゴミ、牛、座ってをこちら見る人。

こうやって風景を眺めているとたまに大草原が現れる。
うっそうと茂っていて手入れされていないそこに人が立っている。
「あなたは今何をしているのですか?」と聞きたくなる。

列車は時折クラクションを鳴らす。
線路内にいるインド人がそれを耳にしてからゆっくり避ける。
もしこの国が「線路に人が侵入すると列車が停まる国」なら終日動かないだろう。

車内前方では給仕がミネラルウォーターと新聞を配る。
ミネラルウォーターと新聞。
ミネラルウォーターと新聞。
わたしも当然ミネラルウォーターと新聞・・・。

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なんで俺だけミネラルウォーターと汚い本なんだよ!

インド人は新聞好きなのだろうか、ネット環境が脆弱なインドでは新聞は貴重な
情報源なのかもしれない。

目線を戻すと線路周辺に遊んでいる人や、何をするでもなく歩いている人が多い。

彼らは通り過ぎるこちら側をずっと見つめている。
線路付近に住んでいながら毎回横切る列車に鬱陶しさを感じ、飽き飽きしそうなものだが、
彼らは列車が来るたびに表に出てきては
作業を一時停止したり、会話を中断したり、遊びをやめているようだ。
わたしは「乗りたいのかな?」と仮定してみる。
わたしはこの列車のチケットを500ルピーで購入したがクラスが低い席もある。
それらは100ルピーもあれば乗れるのだが、
今外にいる彼らの多くは大家族が大半で、それが移動となるとお金がかかり、
そもそも列車で移動する機会がほとんどないのかもしれないし。
わたしはニューデリーレイルウェイ駅構内で雑魚寝している家族を思い出した。

今外にいるインド人の多くは憧れているような眼差しで列車が通り過ぎるまで目で追っている。

車内では給仕が次にチャイのティーパックと紅茶のティーパック、ビスケット、マンゴージュース、ノンベジのライトミールを運んでくる。
さっきもらった水と既に持っていた水とチャイと紅茶とマンゴージュース。

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飲めるか!内臓溺れるわ!

外の風景はたまにもったいないぐらいの大草原が現れる。
背の高い雑草が生い茂っていてたまにその中に迷い込んだのかと思う人がぽつんといるのだが、
彼が何をしているのか分からない。
近くに重機はないし、何かしていた作業の形跡もない。
友達となにかの時間を共有している人もいる。

ぽつんと一人でもいる。

わたしは草原が現れる度にどこかに人がいないか探すようになった。
いた!!ほら、またいた!

何してるの?

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何してるの?

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ねぇ何してるの?

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あ、これは違うか。。。

給仕が食事を下げに来る。

「サー。もう終わりか?」

「それは?飲むのか?」みたいな顔をする。
「まだ飲む。」
「そうか。」

外は草原が現れたと思うと次には沼地に入る。
いつか観たネバーエンティングストーリーの全てを沈める「悲しみの沼」のような密林の間を列車は進み、
それが終わると雑草が始まり、瓦礫が始まり、集落が続く。

草原の中の人を探していると、急に窓の目の前に人が現れる。
こちらの速度に合わせて小さくなって見えなくなる。

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なんだろう。このデザインは。
さっきから多い。
広告なのだろうが、壁にペイントしたみたいだ。

車内には一人の外国人女性が反対側の席にいて、インド人男性とたわいもない話を英語で話していた。

わたしはたまに一眼レフのレンズをクリーニングして次の備えをしていた。

もうすぐ列車はハリドワードに着くみたいだ。

そしてその後わたしは車内にいた外国人女性と行動を共にすることになる。

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