「そろそろ時間だ。」
時間まで女の子とホテルのレストランで話していたがそろそろ時間だ。
「シール貼ってあげようか?」
仲良くなるため、コミュニケーションを取るきっかけとして女の子が持ち歩いてるシール。
ホテルの従業員にも選ばせては貼ってあげていた。
意外とみんな喜んでいる。
わたしはなるほどなぁとコミュニケーションのきっかけに感心していた。
「これとこれしかない。どっちにする?」
そこには日本と韓国の国旗のシールがある。
わたしは「こっち。」と、
韓国のそれを肩に貼ってもらった。
情けない話だが、
韓国の女の子との別れを惜しみ、込み上げる物があった。
部屋で荷づくりをしている時が一番ヤバかった。
「素敵」というと柄じゃないけど、
わたしはたくさんのそれに似たような類いの思い出をその子からもらった。
ホテルをチェックアウトする。
従業員一人一人握手をして別れを告げる。
前に停まってるリクシャーに僕一人乗り込みアーグラカント駅を目指す。
女の子は歩いて行くという。
ここでお別れ。
「シーユーアゲイン」
をわたしは初めて使用した。
そんな余韻関係なしにリクシャーは黙って行く。
今日もインド国中でクラクションが鳴っている。
人との『別れ』程辛い事はない。
わたしはその時「いつかまた会える」を希望にした。
じゃなければとっくに膝から落ちて、手をつき、
おいおいやっていただろう。
アーグラカント駅になんとか着いた。
これから4時間近く掛けて列車に乗りニューデリーに帰る。
そしてニューデリーからガンジー国際空港に向かう。
ふとわたしは今どんな顔をしているんだろう?と思った。
うん。
たくましい顔になったのかただ汚くなったのかよく分からない。
日本に帰ったら髭を剃らなくてはいけない。