暑いから起きた。

どうやらまた停電になっているみたいだ。

時計は朝10時を指している。
寝覚めは良くはないが体はもうこれ以上の休息は望んでいない感じだ。

腹を下さなかったことから判断すると昨日食べたイーバカフェの全ての食材は「大丈夫だった。」ということだ。

ベランダから下の階のベランダを見る。

「あれ?なくなってる!代わりに椅子が置いてある!」

わたしは何が起きたか理解に努める。

話はさかのぼって昨日サッカーを観る前。

Tシャツとパンツとバスタオルをベランダの手摺に掛けて干しておいた。

わたしはサッカーが終わると「もう乾いただろう。」とそれを回収しに自分の部屋のベランダへ。
「あ!」
なくなっている。
すぐ下を見る。

暗くて分からない。

風で飛ばされた?

干す時ビチャビチャで干しておいたから手摺によくくっついていたが

サラサラに乾いたTシャツはそのまま飛んでいったのだろう。

運良くパンツとバスタオルはベランダ側に落ちている。

先程インドで初めて充実した時間を過ごした矢先だったので僕は妙にプラス思考になり
「これはこういう事かもしれない。」と哲学する。

「成田から昨日までの3日間、ずーと同じTシャツを着てきた。
そして昨日までわたしはインドでかなりの辛酸を嘗めてきた。
しかし先程3日目にして初めて幸福を感じた。
そしたらTシャツが無くなった。

『昨日までのインド=昨日まで着ていたTシャツ』
だとしたら、

無くなった事は
「昨日までのインドをもう忘れろ!」と表しているのかもしれない。

そのように解釈した。

ただ次の瞬間
「俺シャツ2枚しか持ってきてないし!やっぱ困るわ!」と我に返った。

わたしは部屋を飛び出し、
階段を2段飛ばしで降りていった。

何が昨日までのインドだ!Tシャツなくなったら今日からのインドどうするんだ!

ホテルに庭はなく
もしわたしのベランダからボールを下に落としたら落下地点はゴミ置き場だ。

ただ無くしたのはボールではなくTシャツで、
飛んでいっても半径10mだろう。

一番最悪なイメージは
落ちている「黄色いTシャツ」をインド人が「あらこれちょっといいわね。」と取っていっちゃうパターン。

売っちゃったりするかもしれない。

ただ辺りは真っ暗だしすぐには落ちている事も気付かないだろう。
僕はそんな事を想定しながら真っ暗なホテル周辺を「あれー?ないなぁ、」とうろうろしてた。

周りのインド人にしてみれば「こんな時間に何やってんだこいつ。」だっただろう。

わたしはこういうとき英語でなんて言うんだろう。
必死に文章を組み立てて「どうした?」と心配そうに追ってきたパパに伝えた。
「アイロストマイシャツ。」までは伝わったが、

手摺に干していたから風で飛んでいった。
が言えなくて
とにかく「Tシャツイズフライング」を連呼する羽目になった。

パパにしてみれば
「Tシャツは飛んでる?ん?飛んでる??ん?ここら辺を?ぐるぐる?Tシャツが勝手に?」
だっただろう。

「もう暗いから明日にするよありがとう。」

探してくれたパパに伝えた。
明日探せばいい。

寝よ。

「このホテルはなんで石鹸を置いてないんだ!」と思い、
腹いせにツインのベッドを斜めに、
両方使って寝てやった。

アラームが5時に鳴る。
ボートの時間だ。

過去の自分に叩き起こされ、
目も開けられない状態で
ベランダに出る。

初めての朝ガンジス。
えーと、写メ、写メ。
携帯、携帯。
あった。
はい。

バラナシのガンジス川
バラナシのガンジス川

えーと、Tシャツはどこかな、
あるかな?
ベランダの下を確認してみる。

「あった!」

黄色いTシャツは下の階のベランダに3ヶ月ぐらい前からあるような顔をして落ちていた。

「後で『下の階のベランダに落ちていた』とフロントに伝えよう。

ボートはどうしよう、
まっいっか。
今日じゃなくても。

ちょっと寝足りない。
「もうちょっとだけ寝させて。」
起きしなの太陽に許しをもらってベッドに沈む。

「Tシャツあってよかったよかった・・・」

それからわたしは何時間後に「暑いから」起きた。

どうやらまた停電になっているみたいだ。

時計は朝10時を指している。
寝覚めは良くはないが体はもうこれ以上の休息は望んでいない感じだ。

腹を下さなかったことから判断すると昨日食べたイーバカフェの全ての食材は「大丈夫だった。」ということだ。

ベランダから下の階のベランダを見る。

「あれ?なくなってる!代わりに椅子が置いてある!」

わたしはフロントが見つけてくれて預かっているのかと思ったが聞いたら
「あったのか?知らない」という。

「え!!??」

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