「何を書いているの?」
ダシャーシュワメードガートでガンジスを眺めながらわたしは書き物をしていた。

すると14歳ぐらいの子供が『日本語』で話しかけてきた。

今から約一時間前にわたしは当初泊まる予定のホテルの階段を急いで降りるとオーナーの騒ぐ声に構わず外に出た。

5階の吹き抜けからオーナーの声と1階フロントにいるここまで連れてきた「男」のヒンドゥー語が飛び交う。

構わず降りて外に出た。
「ヘイヘイ!ジャポン!」
男が追ってくる。

わたしは黙って先を急ぐ。
メインストリートはどっちだろう?

しっかり帰り道を覚えてたつもりが迷った。

察して男が叫ぶ。
「そっちじゃない!」

「どっちだ?」

「そっちだ!どうしたんだ?何が起きた?」

余りにしつこい為教えてやる。

「お前とオーナーの言ってる事が違う。お前は250ルピーで最上階だと言った。あのオーナーは250でエアコンなしの下層階だった。
言ってる事が違う奴等と話しはしない。」

「じゃぁ別のホテルならどうだ?」

わたしの足取りが早いのと目線を二度と合わせなかった事で男は諦め
最後に去って行く僕の背中にヒンドゥー語で何か汚い言葉を吐き捨てた。

それはちらっとみた表情から分かった。
それが全てだろう。

気にしない。

交渉が決裂する事はよくあるだろう。

妥協案を探して譲れればいいが、
前提がひっくり返るような嘘だったり筋違いな事をしてくるのは納得がいかない。

わたしとあの捨て台詞を吐いた男は信頼関係を少しずつだが築いていた。

ただあのホテルのオーナーの態度を見ればわたしの足元を見ている事ぐらいすぐ分かる。

「ファッキンジャップぐらい分かるよバカヤロー!」だ。

あそこにはルピーは落とせない。

これからハリスチャンドラガートに向かい葬儀を見て
その周辺で今日泊まるホテルを探す。

まだ昼だがこのくらいの時間から探しておいてもいいだろう。

道は広いが瓦礫が多い。
バラナシはインドでも田舎の方なのだろう。

相変わらずクラクションの音が耳に通う。
相変わらずリクシャーが目と眉毛で商売してくる。
相変わらず喉が渇く国だ。

ダシャーシュワメードガート。
人の流れに従順にしていたら自然と着いた。

時間もあるしちょっと寄って行く。
一番大きくて有名なガートだ。
まず沐浴する人の数が多い。
そして家族が岸辺にパラソルの様なものを立てて順々に入水する。
これはジャパニーズ「海水浴場」だ。

「さてはただ暑いから入ってるだけだな?」

周りを見渡しても僕意外外国人がいない。

座っていたらヒンドゥー語で話しかけてくるインド人。
何を言ってるか分からない。
「いいから構わずどこかいけ。」という仕草をしてあげる。
じゃないとずっと話し掛けてくるだろう。

買う気や乗る気がないなら直ぐに追っ払った方がお互いの為だ。

わたしは今初めて一人でガンジスと対峙してセンチな気分になっている。

ヒンドゥーが続々と汚い川に入って行く。

「インドに来たんだなぁ」とふと思う。

たまに日本時間を気にする。
今昼12時だから日本は朝9時半か。

今腰を下ろし
スピーカーから聞こえてくる宗教の歌を聞きながら
ここまでの道のりに想いを馳せる。

ニューデリーより全然いいなぁ。

さっき「事件」にわざと片足を突っ込んだ。

成る程あんなもんか。

最大の『防犯』は
「相手がこうしたら絶対NOという」とか
「これだけは曲げられない」
というこちら側のルールだな。

それを周りの空気や相手によって変えない。

ポシェットからメモ帳を取り出す。
バラナシに来てから今まで感じたことやちょっとした事件をノートする。

その時
「何を書いているの?」
ダシャーシュワメードガートでこのような経緯で書き物をしていると14歳ぐらいの子供が『日本語』で話しかけてきた。

また「事件」の方からノックしてきた。

バラナシで会った日本語を話せる少年

バラナシで会った日本語を話せる少年

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