この頃からわたしは「アイアムコリアン」と言うようになった。

日本人はインドではなめられやすい。

お金を持っているし、騙しやすいし、意見がないからだろう。

インドではコリアンは気が強いというイメージなのだろうか。

先程話し掛けて来た客引きも「ホエアユーフロム?」と聞いてきた。
「フロムコリアン」と突き放した。

客引きは「ニーハオ!アイムインディアン!」と調子を合わせてきた。

それチャイニーズだし!知っとるわ!
思わず日本語が出てしまった。

インドに来てリクシャーには乗らないと決めていたがコンノートプレイスからラージガードまでの距離は乗らざるを得ない。

わたしは初めて自分の意思でリクシャーを停めた。

「アイウォントゥゴラージガード、ハウマッチ」
「70ルピー」

「70」といわれわたしは高いか安いか知らなかったが
高く吹っ掛けてるに決まっている。
「20にしろ」と言って強気に出た。
運転手は首を振って過ぎ去った。

わたしは「そんなに無理難題か?」と思いもう一台停めた。
「ハウマッチ?」と聞くと
「50!」という、
わたしはだめだ「20だ」という。
首を振って走り去った。

1台目と2台目が吹っ掛けてきた額が違う。
「ってことは1台目のヤローはかなり強気にきたってことだ。」

リクシャーは何台か停めてその距離の相場を知った方がいいと思った。

商品に料金が表示されていない国。
表示されていても「外国人料金だ!」と増してくる国。

僕の「20」という数字も向こうにしてみれば「いやいや!お客さん!」の額なのだろう。

僕は結局次に来たリクシャーで「50」で乗り込みラージガードに行ってもらった。

初めてのリクシャーだった。

インドのリキシャー

インドのリキシャー


風を感じて気持ちいい。
常に徒歩で移動していたので凄く涼しい。

クラクションをすぐに鳴らすし鳴らされる。
走っていてもガタガタ部品が取れそうだ。
「この距離は歩けないな」と思う。

インドに来てリクシャーに乗らないで色々回るのは無理な事が分かった。

そうなると付き合い方だ。

リクシャーでのよく聞くトラブルは最初に料金を決めておかないとあとでトラブルになるという事。
また間違えた所にわざと連れていかれ「あと30払ってくれないと行けない。」と無茶苦茶言われる事だ。

「こいつはどこに連れていくんだろう。」

やはりわたしの心が休む事はない。

わたしは逐一「ここはどこだ?次をどっちに曲がるんだ?あと何分掛かる?」

と時折マップと答え合わせをしながら相手を牽制をする。

「俺は知ってるぞ」とアピールする。

このリクシャーは確かに最短ルートを通っていた。

ラージガードに着いた。

「あ。本当に着いた。」
と感動したぐらいだ。

わたしは「ユーアーグッドドライバー、アイウィルペイサムチップ」というと

それまで黙っていた運転手はすごく照れ臭そうに笑って受け取った。

リクシャーに騙されるとよく聞く、
それは多分わたしの方も悪いのかも知れない。

ある程度場所までの道を頭に入れて確認しながら行くこと。
任せっきりにしないこと。
運転手の気分を乗せること。
おとなしそうだったり身なりが綺麗な運転手を選ぶこと。

多分これがインドでリクシャーを快適に乗りこなすコツだと思った。

わたしは無事ラージガードに着いた。
わたしはインドに行く前に映画「ガンジー」を観ていて、
「あ、ここがガンジーのお墓かぁ、」という思いに耽る。
思えばインドに来てこんなに綺麗に管理されている所は初めてだ。

ウンコが一つも落ちていない。
腐った臭いもしない場所。
客引きがいない。

クラクションの音が聞こえない。
初めてニューデリーでこんな綺麗な所を見て珍しいので写真を撮ってしまった。

ガンジー記念公園

ガンジー記念公園


ラージガードは入り口でパンフレットを配っているおっさんがいる。
「靴を脱げ。」という。

宗教上の理由か
「どうせお前らニューデリーでウンコ踏んできたんだろ?」か、

どっちかの理由だろう。

わたしはサンダルを預けてノーマネー?と聞く
「ノーマネーだ」という。
中に入る。
中に入るというというよりは先程歩いてきた続きで
公園が目の前にあるといった感じだ。

ゲートを通過すると四角く回れる順路になっていて

真ん中に黒い背の低い平たい大きな墓というか記念碑みたいのがある。

みんなそこで拝んでいる。
わたしはヒンドゥではないので拝まない代わりに写真も自粛したが、

それより何より地面が熱くて熱くて素足にはこたえる。
ぴったり足の裏で立っていられない。

僕は爪先立ちしながらマハートマー・ガンジーさんを想う。

だんだん爪先も熱くなってくる。

重心を変えてかかと立ちしてマハートマー・ガンジーさんを想う。

だんだんかかとも「あちっ」になる。

ならばと土踏まずでマハートマー・ガンジーさんを想う。

「あつっ。」となる。

今度はその間に冷やしといたおいた爪先でマハートマー、

もういい。

マハ・ガン。
やめだ!やめだ!

ただの「これができたら100万円」じゃないか。

非暴力が化けた暴力じゃないか。

照りつける太陽の光を吸っている石畳は本当に熱くて素足では無理だ。

拝んでいるインド人にしてみれば「プールサイドか!」と突っ込まれそうになりながら帰っていく東アジア人。
「あいつ何しに来たんだ?」だろう。

わたしは「靴を返して」と入り口で言うとおっさんは乱暴に靴を台の上に出され「引換券をよこせ」と言う。
「もらってない!」と言うと「100ルピーよこせ!」と言う。
わたしはその瞬間
「あ。こいつ、わざと渡さなかったな。」と確信し
無視してサンダルを履いて帰った。

本当に向こうが正当で必要なお金ら「お客さんちょっと!」と追ってくるはずだ。
だが走って追ってこない。
それが『答え』だ。

多分集団の外国人にはやらないのだろう。

一人で来ている日本人だからなめられた。

わたしはまたインド人にショックを受けた。

ちゃんと目的地で降ろすリクシャーもいればこういう奴もいる。

わたしはラージガードに隣接するガンジーが撃たれた場所「ガンジー博物館」に行くことにした。

ガンジー記念公園

ガンジー記念公園


ただ博物館に入ってみるがどこを探してもモニュメントはない。

後に聞くとニューデリーには
「ガンジー博物館」と「ガンジー記念博物館」があり
撃たれたモニュメントがあるのは「ガンジー記念博物館」だそうだ。
両者はとても離れている。

わたしは芥川龍之介が好きだが、
もし東京の同じ田端に
「芥川龍之介博物館」と「芥川龍之介記念博物館」があって
館長の僕が外国人に「こっちが博物館であなたが仰っているのは記念博物館です。博物館と記念博物館は違います。そして場所はかなり離れています。残念でした。」と説明したら
「紛らわしいんだよ!」と怒られそうだ。

「あー、喉乾いた、」と入った食堂でわたしは蝿のローリング族にブンブンおちょくられながらミネラルウォーターを飲みほすと「そろそろ時間か」と立ち上がる。

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