明洞
韓国のコンビニの前にはテーブルと椅子が置かれている。

学生とおぼしき人達がそこでみんなでワイワイやっている。

コンビニのテラス席が韓国には多い。

時刻は1時を回っている。
歩いていると龍山(ヨンサン)という駅に着いた。

龍山は日本でいう秋葉原だとガイドブックには書いてある。

表通りは電機街になっている。

深夜に着いたので日中は栄えてるのかどうか、
なんとも言えないが、
僕は最近の秋葉原の発展ぶりを知っているので「電機街」と銘打つここら辺にはちょっと物足りなさがあった。

見上げる建物は駅ぐらいで後は背の低い建物ばかりだからだ。

「龍山駅(ヨンサン)」は東京でいうと「豊洲ららぽーと」に似ている。
複合商業施設になっている。

舞台ステージなんかも駅の中にある。

深夜にそこら辺を歩いていると夜遊んでいたであろう男女のグループとすれ違う。

龍山の両方の出口を降りてみる。

電機街とは逆の出口は何もない。

電機街の一本路地を入ると風俗街がある。

僕は風俗は一切興味ない振りをして、
「ここは何だ?」みたいな顔をして周辺を歩いてみた。

歩いているとおばちゃんが僕の手を引っ張ってきて何か韓国語で言っている。

英語も伝わらない。

「アガシ!アガシ!」という。

通りすがりの韓国人が見ている。

ババアに引きずり込まれる僕。

ババアは腕を引っ張って雑居ビルに僕を押し込もうとする。

その手の力は普通に掴むというレベルではなく「絶対離すものか!」という意思を感じる。

僕は腕を振り払ってなんとか逃げた。

「なんだここら辺!」

一本路地を変えると変な雰囲気の道がある。
アガシ
ピンクの光が辺りを包む。

明らかにヤバそうだ。

もう一本向こうの路地に行ってみる。

ラブホの駐車場に入る時のような暖簾。

置屋街

風俗街。

僕はここでここの暖簾を潜るか否かの選択を迫られる。

ここで振り切るかどうか、
この旅の方向、顔の向きが決まるだろう。

行かないなら平々凡々。
OLさんが行ったような旅をなぞり、
同じ感想を言い合う答え合わせの旅になるだろう。

僕はヨンサンのこの選択でこの旅の進むべき方向を迫られたような気がした。